序章惨劇 (1 )
序章 惨劇(1)
「はぁはぁ……後もうちょっとだ。
頑張れさお り!」
午後七時半 学園都市第七学区のとある公園の中 を、二人の男女が手をつないで走っていた。
夜の闇を駆けるその姿は、年の頃十代後半の男と十代前半の少女のように見える。
男は小笠原俊一(しゅんいち)十八歳 この学園 都市の、第七学区にある平凡な高校に通う高 校三年生
ちなみに学園都市とは独自の研究により超能力 を人口的に作る事が出来る都市であり、東京都西部に存在し面積は東京の3分の1ほど、その名が示す通り総人口230万人の人口のうちほんとんどが学生の町である。
もう一方の十代前半ぐらいの少女の名は水原さおり。
13歳で小笠原俊一の彼女であり、名門常盤台 中学の一年生でもある。
なお常盤台中学とは、学園都市内でも、五指に 入る名門のお嬢様学校の事である。
なぜ平凡高校の生徒と常盤台のお嬢様が、恋人 同士なのかと言うと 単純に両者がいとこ同士で、幼い頃から親しい間がらだったからだ。ちなみに実家も御近所同士という、リア充である。
その彼らが何故?夜の公園を走っているのかと 言うと、話しは今朝にさかのぼる。
今朝
この日久しぶりに、二人の予定が
あい朝から デートした。
だが…二人共久しぶりのためつい時を、忘れて 遊んでしまったのだ
常盤台中学の寮の門限が厳しいと言う事も忘れ て。
幸い寮の近くの漫画喫茶にいたので慌てて全力 疾走して今に至ると言う訳だ。
「この公園を抜ければ寮はすぐだ。 寮についたら思う存分休めるだから……頑張 れ!」
年下の恋人の手を握り、走りながら俊一は彼女を励ます。
「はぁ…はぁ」
しかしその励ましもむなしくさおりは息を荒げ、スピードはど んどん失速していく。
ついでに言うと右左に体 が揺れて今にも転けてしまいそうなオマケ付 き。
(無理もないか)
そんな、恋人の様子を眺めながら、俊一は心で納得する。
約三分全力疾走で駆けてき たのだ。
引退したとはいえ野球部のレギュラーを三年間 勤めていた 俊一に対し典型的な文化系のさおりとでは基礎 体力が違いすぎる。
俊一は身長百178の長身それに対し、さおり は140センチと小柄。
また手をつないで走ってきたのでさおりは俊一 の早さに合わせねばならない。
文化系で日頃運動不足のさおりに俊一の健脚に ついていくのはどだい無理な相談だった。
(不味いな、このスピードじゃ、門限には間に合わないぞ)
俊一は息も絶え絶えで、汗を滴らせながら、懸命に走る恋人を見ながら、冷静に考える
(俺がつれ回して、遅くなりましたって、寮監に詫び入れるぐらいいくらでもいれるけど、さおりに聞いた感じ、
話の通じる相手じゃないようだしな)
俊一は以前さおりに寝物語に、聞いた話の内容を思い出す。
何でも彼女が言うには、彼女の住む常盤台の寮監は、例え1秒門限が遅れただけでも、首閉めの罰を与えるという。
しかもその罰からは、その寮に住む某レベル 5ですら、抵抗出来ないのだそうだ。
(どんな化けもんだよ)
俊一は思いだした内容に思わず体が身震いする。
そんな震える俊一の隣で、ガッと地面を蹴る音が聞こえる。
いや蹴るのではなく、けつまずいた音が、その音が聞こえると同時に、一緒に走っていた、恋人が前向きに地面に向かって倒れていく。
手を繋いでいたため、俊一にもその重さがかかり、前に数歩たたらを踏んでしまう。
(危ねぇ、危うく俺も一緒にこけるところだった)
しかし野球部で鍛えたその肉体は、片手一本で、こけそうになるさおりを支えこけるのを防ぎ、足は踏み止まる。
さらに俊一は掴んでる腕で、そのまま彼女を持ち上げ、自分の胸元に近づける。
「……限界だな」
顔を近づけ、恋人の顔色の悪さを見た俊一はそう呟くと、さらにさおりを自分の胸に引き付け、そのまま胸に抱き止めると、腕を両足の太ももに回すと
力を込めて、抱え上げた。
いわゆるお姫様抱っこというやつだ。
「ちょっと……俊ちゃん……ぼそっ……」
突然の事態に驚いて、それだけ言うが、後はぼそぼそ言って言葉にならない。
当然さおりの顔はゆでダコのように真っ赤になってる。
「門限に遅れるわけには、いかないだろ。このまま俺が抱えて走れば、ギリギリ間に合う」
「でも……恥ずかしいよ」
「お姫様抱っこなんて、お前が風呂から一緒に出るときしょっちゅうやってるだろうが、今さら恥ずかしがるなよ
」
「それは、密室だし二人きりだからだよ。
町中で誰かいるかもしれないのに、話が別だよ」
「だったらこのままヘロヘロで走って門限に間に合わなくて首を絞め
られるのを選ぶんだな」
俊一はちょっとにらみながら、自分の左手を自分の首の辺りに持ってきて、首をきゅっと絞める、振りをする
それを見たさおりは顔を真っ青にしながら、くびを何度も振る
「それはいや!」
「だったらしっかり掴まってろ。
後あまり喋るなよ舌噛むぞ」
そう言うと俊一は静かになった恋人を
お姫様抱っこで抱えながら、映画のワンシーンのように、夜の町を駆けて行くのだった。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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