転校生(2)
「連続カップル殺人事件か。
学園都市も随分物騒になったものだ」
黒子と初春が電話を終えた。
同時刻
一人の少年がつい最近入寮したばかりの新しい部屋で、新聞片手に紅茶を飲みながら椅子に座っていた。
短い黒髪に、Tシャツに短パンと言う
ラフな格好である。
この部屋は第七学区にある柵川中学校の
男子寮の一部屋である。
本来二人部屋なのだが、少年は急に来たので同居人がおらず、一人で使っている。
少年は昨日の朝この寮に入寮した。
彼が先に送っていた荷物を整理し
どうにか人が生活できるような、体裁が整ったのは、夜中の10時をまわった頃だった。
少年の名は藤田学(ふじたまなぶ)
初春と黒子の二人が、目下絶賛注目中の転校生その人である。
夜中の10時に荷物の整理を終えた、
学は風呂に入ったあと、11時には
就寝。
その後朝4時に起床し、一時間のロードワーク、筋トレ、ロープ等の
自主練を終えた彼は、シャワーで汗を流して今に至っていた。
美少年と言っても差し支えない美形の顔を、険しくしながら学は新聞の
記事を目で追う。
その目から、事件を追ってる刑事のごとき鋭さが見える。
もしここに他の人がいたら、只者ではない雰囲気を感じ取っていただろう。
年に似合わない大人びた知的な笑みを浮かべた学は、右手に持っている コップから紅茶を一口すする。
「被害者は6名。
うち殆どが一撃で仕留められ、凶器は日本刀と思われるって辻斬りかよ!
また時代錯誤な」
そう呆れたような声で呟いた学は、チラッとテレビの上に置いてる時計を見る。
ただし、新聞に集中したいのでテレビのスイッチは切っていたが。
テレビの上の時計の針は午前7時30分を指していた。
「もうこんな時間か。
転校初日から遅刻するわけにもいかないし、ちょっと早いが支度するか」
学は新聞を閉じると、クローゼットのある部屋に移動するのだった。
学の部屋のクローゼットは、物置きように、一段棚があってその下にハンガーを掛けるようの棒があり、彼はそこに、10着ほどの上着とズボンを
セットにして掛けてある。
他は、箪笥か使用頻度の少ないものは
今だ段ボールの中という物もある。
学はそのクローゼットの一番左端に掛けてある、ハンガーの上着とズボンを取り出した。
水色の、龍の大きな顔の絵のブレザーと、二匹の龍の刺繍が入ったズボン
だ。
それを学はため息を吐きながら、見る。
「結局間に合わなかったなぁ、柵川の制服」
学が手にしてるのは前の学校の制服の蒼天飛翔館中学校の物だ。
制服なのにド派手でその上20万という保護者泣かせな値段である。
ちなみにこれは冬服上下セットの値段で夏服は15万である。
学は前の学校を転校する日に柵川中学校の制服を注文したのだが、転校初日の今日には間に合わなかった。
なので彼はこの前の学校の制服を着ていくしかない。
蒼天飛翔より緩い校風とはいえ、流石に私服登校は許されていない。
蒼天在学の頃からあまり好きな制服ではないが、背にはらは変えられない。
学は、気が進まないとばかりにゆっくりと渋々、前の学校の制服に袖を通していくのだった。
着替えながら、学はこれから学校生活に思いを巡らす。
だがその表情は暗い。
「只でさえ蒼天からの転校生って事で
変な目で見られるってのに、蒼天のド派手な制服に身を包んでの初登校か。
畜生せめて新しい制服が間に合ってれば、まだましなんだが」
ちなみにその新しい制服は一週間 から二週間掛かると、業者からのありがたい電話があったのは、昨日の6時だったりする。
「 無い物ねだりしても仕方ないか。
体操服とかなら、制服よりは早く来るだろう。
体操服が届いたら、制服来るまでは
体操服で一日過ごす!!」
学は決意を決め、顔の前で拳を握りしめる。
その後ズボンを履き終え、学の着替えは終わった。
「着替え完了。鞄に弁当は入れたし、
携帯と財布はポケットに入れたし
OKだな」
荷物の確認をした学は、次に部屋の電気や、戸締まり等を始める。
戸締まり等をして、その後確認終えた学が、携帯電話の時計を見ると時間は7時45分になっている。
「一時間前か。
教室に入る前に、学校の周りを見るのも一興か」
学はそう言うと、扉を開けて新たな
学舎柵川中学校へと向かうのだった。
藤田学の転校初日はこうして始まったのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
前回文字数が多かったので、今回はちょっと少なめに
しました。
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