決闘(1)
(はぁ〜、良い意味でも悪い意味でも
注目の的になるとは思ってたが)
目の前で腕を組んで、睨み付けている。
大人並みの体格を誇る長田少年を
見て、学は心のなかでうんざりする。
(さてどうしたものか)
学は無礼な自己紹介にどう答えようかと悩む。
(一応自己紹介してくれたから、こっちも返した方が良いよな?)
学は、とりあえず自己紹介しかえす
事に決める。
「え〜とはじ……」
『長田!!転校してきたばかりの、藤田さんに失礼じゃない。
謝んなさいよ』
だが学の返答より先に佐天が口火を切る方が早かった。
佐天は鋭い目で長田を睨む。
自分のクラスメイトの、学に対するあまりな態度に憤慨したのだ。
佐天は長田を睨み続けながら、近づいていく。
「佐天さん……落ち着いて」
親友の剣幕の強さにおどおどしながらも、初春は宥めようと声をかける。
「……」
だが気圧された初春の声は、か細く
小声だったので、佐天には聞こえず
佐天は長田に近づくのをやめない。
春上は突然の急展開についていけず、
ぼ〜っとその様子を見ている。
一方、学は……
(へぇ〜さっきあったばかりの人間のためにそこまで怒れるとは、容姿だけでなく中味も良いんだな)
とさっき知り合ったばかりの佐天を感心しながらみた。
(惜しいな。後5歳程歳上だったら
好みのどストライク、惚れてたかも)
などと呑気な事を考えている内に
佐天は長田の至近距離まで来ていた。
二人の距離は1メートルもない、約
50センチぐらいだろう。
険しい顔で佐天は目の前に立つ長田を
見上げる。
長田の身長は178センチあるので、160センチしかない佐天は見上げるしかないのだ。
「 長田。謝るの?、謝らないの」
佐天は強い口調で長田にそう言うてから黙って長田を睨む。
1分程、経っただろうか。
今まで佐天の方を見なかった、長田が
ようやく佐天を見下ろす形で、見る。
「謝罪しろだと……意味がわからんな」
長田は馬鹿にするような口調でそう言うと、両手を広げて肩をすくめる。
「意味がわからないですって?」
長田の小バカにしたような態度に、佐天は大声を上げる。
「そうだ何故謝らないといけないのだ」
「あんたが藤田さんに、喧嘩を吹っ掛けたからよ」
佐天が即答する。
「ほう〜それは初耳だ」
長田はとぼけた感じで答える。
「初対面の人に、悪意込めて悪口いったら喧嘩売ってるのと、変わらないわよ」
佐天は興奮して止まらない。
「佐天さん。
とにかく落ち着いてください。
それにもう8時20分ですよ
あと10分で朝礼です」
やばいと思った、初春が佐天を宥める。
(確かにあんな、がたいの良いやつに
女の子が突っかかっていくのは、宜しくないな)
学は初春に加勢しようと、佐天達の元に歩いていく。
直後、大きな音が辺りに響き渡る。
「何だ!」
学は歩くのをやめ走り出すと、音の聞こえた方にあっという間に着く。
「おい。さっきの音は一体?!」
学は、何故か口を開け、目を見開いて
突っ立っている、初春に話しかける。
「佐天さんが……佐天さんが」
初春は学に話しかけられたのに、気づかずうわ言の様にそう呟いている。
「佐天さん?」
学はそういや佐天がいないと思い、辺りを見渡す。
そして直ぐ様佐天を発見する。
「おい!!これは何だ?!」
思わず学は叫び声をあげた。
佐天は、道路の端にある電柱にうずくまるように座り込んで、頭から血を流していた。
発見した丁度その時、朝礼5分前の予鈴のチャイムが鳴っていったが、佐天に気を取られていた学は気づかなかった。
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