とある野望の凶刃(凍結)   作:翔馬

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最新話投稿です
今回も長いです(-.-)


惨劇(5)

序章5

 

(……やられた。ちくしょう)

 

俊一は振り向いて、自分の腹に刀が突き刺さっているのがわかり、愕然とし己が死ぬ運命にあるのを理解した。

 

さらに自分を刺した刀は刃を横向きに刺されていた。

これは平突きといい、かの新撰組の副長土方歳三が考案したものだ。

突きを外しても、横薙ぎに移行できるという、実践的な技術だ。

刀をこんな風に扱うものが、突きを仕損じるほど未熟であるはずがない。

 

「ぐはっ…… ちくしょうこんなところで、死ぬのか俺は」

 

俊一は背後の村上を首を捻ってみながら、口から血をはき、眼を大きく見開く。

 

信じられないという感じだ。

 

そんな驚愕の表情を見せる俊一の顔を

嗜虐的な笑みを浮かべ、愉しそうな様子で村上は見ていた。

 

 

「なかなか用心深かったが……残念だったなぁ。

でも、今までの連中に比べたら結構もった方だな。

それについては褒めてやる」

 

「そらご褒美だ」と言いながら、村上は前後に刀を小刻みに動かし、刺した

腹を更に抉りながら、さっきまで手のひらで、玩んでいたタクティカルペンを地面に捨てると片手ではなく、両手で刀を小刻みに動かしだす。

 

俊一は脂汗と口から血を滴らせ、痛みに耐えていたが、俯き首が垂れその後

地面に両膝を付けた。

 

 

それでも暫く、腹の傷を小刻みに抉って刀から手を村上は離さない。

 

「何だ?もう終わりかよ。つまんねぇ

この後勢いよく刀を抜いて、盛大な血のシャワーを見せてやろうと思ったのによ。

あぁ俺が見れてもお前が見れないか?

 

村上はようやく刀から手を放した。

支えがなくなり、俊一はお辞儀でもするように、顔が地面に傾いてぶつける。

 

そのまま尻を移動中の尺取り虫みたいに尻を突き上げ動かなくなる。

時たま、手足をピクッピクッと痙攣させて動かしているが、もう長くはないだろう。

 

村上は冷めた目で、俊一を見下ろしながら、ズボンの尻ポケットに入れてある、彼の財布を抜き取る。

 

「5000円と避妊用品って、しけてるなぁ〜」

 

抜き取った財布の中味を物色しながら、村上は更に調べる。

 

「金券もなしか……正直盗むほどのものでもないが、今までのカップルは全部盗んでるからなぁ。

一応もらっとくわ」

 

5000円と避妊用品だけ、財布から抜き取り、自分のポケットに入れた村上は、財布を地面に捨てた。

 

「俊……ちゃん」

 

少女の小さな声が村上の耳に届いた。

 

「あぁ忘れてた。もう一匹いたんだったっけ」

 

村上はさおりの方をチラッと一瞥すると、「これで充分だろ」と呟くと予備の武器として懐に入れていた、ナイフを取り出すと、さおりのいる方に向かっていった。

 

 

(何んで俊ちゃんが刺されてるの?)

 

恋人を突然刺されたのを見たさおりは、パニック状態におちいっていた。

ただ俊一の姿を見続けているだけで、助けを呼んだりとか逃げ出すという当たり前の行動すら取れず、 恋人の名を呟き続けるだけ。

ちなみに村上が、聞き取ったのは、彼女が5回目に名を呼んだ時だ。

 

「お待たせ」

 

恋人の姿を見続けただ立っているだけのさおりの耳に、 声が届く。

 

「っ!」

 

さおりの声を聞きつけた後、静かに気配を消し、だが迅速に移動した村上は

さおりの気づかないうちに、接近を終えていた。

 

さおりの目の前に立つ村上は右手にナイフを握っている。

ナイフの刃が月明かりを浴びて、鈍く光る。

 

 

 

「ひいっ!」

 

さおりは悲鳴をあげ、ここでようやく

身の危険を自覚し、逃げようと、体を捻るが、その前に村上が、無言でナイフを突き出す方が早い。

 

風をきり、ナイフがさおりの心臓めがけて突き進む。

 

勿論左手はさおりの肩を掴み、動かないようにしている。

 

「ん?」

 

ふと村上は背後から何かが、飛んでくるような風切り音が聞こえた。

 

音が随分近くから聞こえるため、村上はナイフを突きだした状態だったが構わず左側に横っ飛びに飛んだ。

振り向いたら反応が遅れると思ったのだろう。

その判断は正しかった。

 

飛んできたものは、村上が先ほどまで立っていた空間を通りすぎ、そのまま一瞬木の幹に突き刺さった後、木から抜け落ちて、地面に転がったからだ。

 

その正体は鋭利な刃物、仕込み杖だった。

 

「どういう事だ?」

 

村上は地面に転がっている、刀を怪訝な顔で見ながら、膝だちから立ち上がる。

咄嗟だったため、跳ぶだけで、着地まで考えられなかったのだ。

 

「何で男の方に刺した刀が、俺向かって飛んでくるんだ?」

 

 

村上は何故刀が飛んできたのか不思議に思ったが、 とりあえず刀を回収するため、転がってる刀の方に歩き出す。

女の方を仕留めた後は、男の死体から抜き取る筈だったものだ。

急に空を飛んできた理由は解らないが、回収しない訳にはいかない。

無銘だがそこそこの業物なのだ。

 

「さおりー!……がはっ、はぁ

……逃げろーこいつは……ぐっカップル連続殺人事件の犯人だー」

 

 

「……貴様、不死身か」

あまりの事に、体を震わせながら、驚愕の表情を浮かべ、村上は呟く。

 

愛刀を回収しようとした、村上を殺した筈の男の絶叫が止めた。

 

死んだ筈の男、小笠原俊一は腹から流れる血を左手で抑えながら、唇から二筋の血を流しながら、今にも倒れそうにふらつくが、それでも立ち続け、吠える。

 

「さおりー!ぐぅ。

痛い……聞こえてるなら返事しろー」

 

「俊ちゃーん」

 

さおりは涙声だが、はっきりと恋人の名を呼んだ。

 

 

俊一はさおりの顔を見ると安堵すると、次に村上の方を見る。

 

「迂闊だったな

雰囲気から無能力者だと思っていたんだが、能力者だったのか?」

 

 

恋人同士が無事を確認しあっている隙に愛刀を取り戻して、冷静になった村上が問いかける。

左手にナイフ、右手に仕込み刀の変則二刀流だ。

 

「まぁいい。

腹を抉ってダメなら、心臓を突き刺すか首を斬りとばしてやる」

村上はそう言うと、刀とナイフの両方をだらんと垂らしたまま、俊一に向かって走り出した。

 

 

時は少し遡る。

 

「ふう〜厳しい門限から解放されるとはいえ、出来れば仕事ではなく、もっと他の事での方がいいですわね。

お姉様と、遊んだりとか、お姉様とデートとかなら大歓迎なのですが」

午後8時5をまわったのを自身の、携帯で確認した、白井黒子は疲れた声で呟いた。

ちょっと前に起こった第三次世界大戦 から、学園都市の治安は悪化した。

学園都市に融資していた、外の企業が

学園都市から離れたり、友好国が関係を切ろうとしたり色々あった。

何より治安悪化による、 凶悪事件の増加、大戦による、警備員の不足により、風紀委員も激務に追われた。

白井黒子はそんな風紀委員の一人である。

今日も彼女は子供の身でありながら、夜回りをしている。

本来なら、警備員が一手に行っていたが、人手不足により、風紀委員が一部任されるようになった。

ツインテールの髪に、常盤台中学の制服が映える。

 

「さて夜回りも終わった事ですし、早く帰りませんと睡眠不足はお肌の大敵ですの」

白井黒子は肩を叩き、疲れを癒しながら帰り道を歩く。

 

暫く歩いていると、突然胸が振動した。

白井の胸ポケットに入れてる携帯がバイブで振動している。

 

「はぁ〜やれやれですの」

 

白井は盛大なため息をつくと、電話に出る。

 

 

「もしもし、白井ですけど」

 

『あっ白井さん初春です 』

電話から風紀委員でタッグを組む

相棒の初春飾利の声が聞こえる。

相変わらずあめ玉を転がすような

甘ったるい声だが、その声に僅かな緊張があるのを、白井は見逃さない。

 

「事件ですの初春?」

 

『いえ……まだ事件と決まったわけではないのですが、ちょっと気になりまして』

 

「もったいぶらずに、早く教えて下さいですの。

門限は免除されるとはいえ、あまり夜遅くなるのはごめん被りたいですわ」

 

白井が強く言うと、初春はちょっと黙りこむが、意を決して話をさいかいする。

 

『わかりました。

実は近くの警備員の詰所に、通報が入ったんです』

 

「何て入りましたの

通報内容は?」

 

白井は初春に話を進めるようにせかす

 

『それが、無言ですぐに切れたんです。

警備員はいたずらではないかと思い 放置することにしたんですが、うちの177支部に一応何かあるかも知れないから確認するように言われたので、

白井さんにお願いを……』

 

 

初春は言いにくそうに、小声で喋る。

無理もない、ただでさえ、最近は忙しく、もう二週間も共に非番を取っていないのだ、夜回りがやっと終わったのに、また仕事など初春だっていやだ。

 

だが警備員の要請である以上伝えない訳にはいかない。

 

「はぁ〜最近人手不足だ、何だと自分たちの仕事をよく押し付けてきますわね。

警備員も」

 

白井はため息をつき、警備員の横暴に嘆く。

 

『白井さん……」

 

「でも事件性がある可能性はあるという。

意見に私も賛成ですの

私が行きますわ。

初春場所はどこですの」

 

 

『ありがとうございます。

白井さん』

 

初春は文句1つ言わない、相棒に感激の声をあげる。

 

「別にいいですの。

それより場所は!」

 

礼を言う初春に、強い口調で早口で場所を聞く。

『ああすみません。

場所ですが、通報が途絶えた場所は

常盤台女子寮、白井さん達が住んでいる学舎の園外の寮の近くです。

詳しい場所まではわかりませんが、電波を追跡した結果、半径200メートル以内のどこかだと思われます』

初春も白井に急かされたので、早口で

伝える。

 

「寮の近くなら、テレポートですぐですの。

もし何かありましたら、連絡しますわ」

 

 

白井はそれだけ言うと電話を切ったと同時に白井の姿が消える。

白井は自分の保有能力テレポートを使い寮の方に急行したのだった。

警備員から面倒とばかりに、押しつけられた、仕事が大事件に発展する事を

白井はまだ知らない。

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
しかし読むのと違って書くのは難しい。(-.-)
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