ようこそ木須岳通り商店街へ   作:デオク・レ・ダークホース

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ようこそ木須岳通り商店街へ7

やっぱり火曜日はなんだかちょっと嬉しい日なのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

◆木須岳通り商店街へようこそ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は焦っていた

 

唯一の客である男が姿を見せなくなって半年近く過ぎている

 

にもかかわらずその客は半年分の料金を前払いして俺が他の客に入らないようにしているというのだから驚きを通り越して引く気持ち半分、稼ぎがなくなるとアニさんへの指名権を失うのではないかという不安が半分

 

このままいくとあと一ヶ月で予約の期限が切れる

それから先、俺はオッサンの客と唾液交換することになるんだろうが、今になって知らねぇオッサンとアレをするとなると、とてつもなく抵抗感がある

ありまくる

っていうか抵抗感しかない

今だってイケメン相手でも無理があるのに禿げ上がった中年太りのオッサンとなんか考えたくもねぇ

 

 

 

キモいパンツまでプレゼントしてきたくせに一度も来ねぇで何やってんだよあの男は!

 

 

 

 

 

「お久し振りですチイタくん、来月頭に予約入ったので忘れずに来てくださいね」

 

しかしその心配も学食で飯を食ってた時に鳴った着信でぶっ飛んだ

 

「あ、あと約束していた件ですが」

 

聞かれたらまずいと外に出る

オッサンとの唾液交換回避して決まったイケメン捕手との唾液交換に一瞬だけ喜んだ自分に気分が悪くなって萎えた気持ちも

 

「アニくんは来週の火曜日なら空いてますが、どうします?」

 

 

 

 

「やっっ、ったーー!!!!」

 

 

 

ぶっ飛んだ

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

 

現金よし、歯磨きよし、ニオイも…よし!

 

 

初めて一瞬も寝ずに講義を受け、練習をバリバリこなしてからソッコーで帰宅してシャワーまで済ませた

髪を上げてくか迷ったが、今日はキメてくしかねぇだろうと気合い入れてセット完了

ふう、と息を吐いて鏡をみると目が充血している

 

 

正直昨日は眠れずに徹夜で抜きまくった

 

 

明日暴走しないようにしねぇとな…と、はじめはお気に入りの動画を見ていたが、なんか違う気がして目を閉じるとフラッシュバックするのは待機部屋で見たアニさんの画像

 

一目で憧れたあの人の

サイズの小さいパンツからはみ出る肉を…

 

目に悪いくらい白く引き締まった

あの俺より小さな体を…

 

こっちにケツを向けて

溶けかけの棒アイスを股に挟んだ接地面を…

 

「う…っ、はぁ…」

 

 

気づけば朝

 

 

一心不乱にシゴかれたちんこはピリピリと痛んだが、オナニーズハイとでもいうのか俺は爛々としていた

そのお陰で寝ずに勉強し、守備だけでなくバッティングも今までにない好調ぶりで、逆におかしく思われないように勝手にニヤニヤする口許を必死で抑えたくらいだ

 

 

こうして今から俺は働く側としてではなく

初の風俗デビューを果たす!

 

 

「あ、チイタくん久しぶり!今日はお客さんなんだってね、楽しんできなよ」

 

といっても今まで通りに従業員口から入って事務所に顔を出すよう言われていたから勢いは削がれた

 

「お久し振りです、おはようございます」

 

事務所に入ろうとしたらちょうど出てきたサトザキさんに挨拶してから中へ入る

タオルを抱えていたからコインランドリーに行くところだろう

あの人相変わらずチャラいな、鼻ピアスが増えてる

 

「いつもより早いですね、座って」

 

「あ、はい…おはようございます」

 

どうでもいいことを考えながら店長のデスクの前に立つと挨拶もおざなりにはやく座るように言われ、なんだかいつもと違う妙な雰囲気に緊張した俺はただ黙る

 

「規則、頭に入ってますよね、ちゃんと」

 

営業スマイルを常に保っていても目の奥が笑っていなくてめちゃくちゃ怖い

それなのに声だけは優しいから気色悪いったらねぇ

 

「コースは事前に予約していた通り、今回は特例なのでそれ以上のオプションなし

 

あなたに金を払ってくれる方に感謝すること、次の出勤は来月4日の火曜10時遅刻は厳禁

 

あとは彼の接客を肌で感じて少しは勉強するなりしなさい

 

これから私は忙しいので帰りは寄らずに必ず従業員口から出ること、部屋は201」

 

さあ出ていけという風に話し終わるとすぐ電話をかけ始めた

今まで怖いくらいに丁寧な話し方をしていた店長らしくない言葉に短く返事をして、用意していた現金を机に置きオドオドしながら事務所を出て非常階段から二階に降りていくと、そこにはランドリーに行ったはずのサトザキさんがいた

 

「ごめんね!マネージャー機嫌悪かったでしょ?タイミング悪かっただけでチイタくんが悪いことした訳じゃないから気にしないで!じゃあ俺急ぐから!」

 

そう言って走って車に乗り込み出ていったのを見送る

なんだかどっと疲れた俺はプレイどころじゃなく萎えていた気分が少しだけ晴れてサトザキさんに感謝した

 

一体何があったのか考えてみても見当もつかない

こんな商売してたら色々あるんだろうな

 

俺は自分の考えの及ぶ世界じゃないと振り切った

 

 

ピン、ポーン…

 

 

非常口から二階のフロアに入り、一番手前の部屋のインターホンを押す

さっきのことがあって気が逸れたのが逆に良かったのか家を出る前より落ち着いている

 

足音が聞こえて気持ち背筋を伸ばした

 

「やっと来たね」

 

扉が開いた瞬間、ニッと笑ってそう言ったアニさんの姿に、落ち着いていたはずの心臓がドクドクと音をたてて脈打つ

 

「あっ、あの、はい、えっ…その格好…」

 

第一声は童貞みたいにならないように練習したはずなのに結局どもってしまった

 

それもそのはず

 

なんと彼は野球のユニフォームを着ていた

完全に想定外

しかも有名な高校名が入っているのでコスプレではなく私物!

完っ全に想定外!

なんだ?どの客にもこんなことしてるっていうのか?!

 

俺が真っ赤になったり他のオッサンたちに嫉妬したり、どうせ誰にでもいつもこんなことしてるんだと謎の怒りを抱いていると

 

「これね、お前が喜ぶと思って実家から引っ張り出してきた

 

ねぇはやく入って」

 

ぐっ

 

思わず心臓を押さえた

 

俺のマイナスな思考を全てぶっ飛ばすような言葉だけでなく、まだ廊下に突っ立ってた俺の手をスルッと掴んで、はやくはやくとまるで久しぶりに会った彼女のように少し拗ねながらグイグイ引っ張ってくる

 

いやもうこれは俺の彼女だろ

 

そうだいまから一時間は俺の彼女になるんだ

 

早速アニさんのペースにのせられた俺はいいように錯覚してふわふわした気持ちで急かされながら部屋に上がった

 

これからキスするとわかってる相手で、キスしかできないとわかってる相手の部屋に、とうとう来た

 

「事務所から来たの?機嫌悪かったでしょ、タイミング悪かったね」

 

俺がいつも使っている部屋と家具が少し違うくらいだなとソワソワしていると誘導されてそのまま二人でソファーに座った

それからずっと掴まれていた手を自然と恋人繋ぎにされて汗が吹き出す

俺が黙ってるから向こうがニコニコと話題を振ってくれるが、もうそれどころじゃない

 

リップを塗っているみたいで、唇が間接照明の光で照らされ、喋るたびにてらてらと光っているのがエロすぎて、まだ何もしてないのに出し切ったはずのちんこがまだいけそうだと存在感を強めてきやがった

 

「なんか言われた?」

 

ぼうっと惚けていたらその顔が近寄ってきて大袈裟にびくりとしてしまう

 

「あ、あのいや、ルール守れとか…勉強してこいとか…」

 

まともに喋りもきれない俺の言葉を急かすこともせず相づちをはさみながら聞いてくれるアニさんにドキドキしながら、ゆっくりとあった出来事を話すと

 

「そんな言い方しなくてもいいのにね、いつもはそんなこと言う人じゃないから怖かったでしょ?

 

俺は何も考えずに楽しんでくれたら嬉しいから

 

ほらもっと近くにきて…お前が来るってわかってから昔のユニまで出してきてんの恥ずかしいんだからね、空回りしてるかもって不安なんだよこれでも」

 

「えっ、いやあのっ、スゲー…イイです…ほんとに…」

 

優しく聖母のような言葉を言った後に俺の彼女に変わるというチェンジアップに俺の方が空振りしているので安心してください!

 

バッターボックスでボール球にフルスイングしてるくせに笑顔の俺は、高校時代のユニフォームを実家へ取りに行き弟に何に使うのか質問攻めされて困ったという話を聞きながら、家族構成とか高校とか俺にそんなに個人情報話してもいいと思ってくれてるんだなぁと違う方向へ順調に勘違いしながら、うんうんと話を聞いていると

 

「もう!だから安心させてって言ってるんだけど!」

 

ぷん、と怒られてしまった

 

「えっ!あの、可愛いです!とても!」

 

「そうじゃないでしょ」

 

「か、かっこいいです似合ってます!!嬉しいです!!」

 

「当たり前じゃん、でもちがう」

 

「え!え~…と」

 

うわーなんだこれめんどくさい彼女じゃん!

当たりねぇクイズ出してくるやつじゃん!

何言っても当たりはねぇやつ!!

 

でも…これ、楽しい…

 

めんどうな彼女の醍醐味ってやつか…

 

わーい俺のめんどうで可愛くてエロい彼女!とニヤニヤとしながら、素直にわからないっスごめんなさいと頭をかくと

 

「何しに俺を指名したの?喋りたかっただけ?

 

それならやっぱり…

 

俺が空回りしてるじゃん…」

 

ぷんぷんしてたのから眉を下げてシュンとしてしまった姿に

 

「ちーーーがいます!したいです!しにきました!!」

 

ブンッと空振りを豪快に決めて、いいんだな!?もうしてもいいんだな?!と膝立ちになって迫ると

 

「言って」

 

「へ?」

 

「俺となにしたいか、ちゃんと言って」

 

めんどくせーー!!でもそこがイイ!!

 

「き、キスが…したいです!」

 

どもりながらそう言った瞬間

 

「うん、俺も」

 

ニコーっと笑ってキスされた

 

一瞬で離れた可愛いキスに、やっと当たったと思った球にバットをへし折られた気分で

ダァーーー!!!!と仰け反ってソファーの横に置いてあった観葉植物に頭を突っ込む

 

エロい彼女サイコー…と止まらない唾液を垂れ流しながら短くはっはっはっと息を荒げる

 

たまんねぇなと思いつつも、さっきの反省から手は自分の後ろについて身体を支え、なるべく膝の上の体温に意識がいないように唾液を垂れ流す機械になっていると

 

じゅっ、と舌全体を吸い

俺のベトベトになってる顎まで舐め

んちゅ…と音を鳴らして離れていく

 

ごくんと喉を鳴らせて、ピンク色になった頬と真っ赤になって存在感が増した唇が揺れて目が合う

 

「ありがとう」

 

え?

 

「何日も前からベロも綺麗に磨いてたでしょ?俺のために」

 

ぼわっと全身から火が出たんじゃないかと思った

 

そんなの当たり前だろ!!!気にするだろ!!!

予約入れた日からネットで「キス 引かれる」で検索して何が嫌がられるか見まくって舌が白いと引くとか書いてあったから急いで鏡みたんだよ!!!

そしたら割りと綺麗にしてると思ってたのに気になりすぎて舌専用の歯ブラシも買ったよ!!!一番イイやつ!普通の歯ブラシも職人が作った~とかいうのにしたし歯みがき粉だって二種類使い分けてっ…

 

これも心のなかだけ饒舌で、何も言わず真っ赤になってる俺の首に腕を回してきたアニさんは瀕死の俺に続けて

 

「おれがコレするの、おれのこと想って気を使ってくれてるのがわかるからなんだよ

 

だからうれしい…」

 

そうです予約入れたときからあなたのことしか考えていませんでしたと腹を見せて降服したい

 

「味もね、相性がわかるっていうけどホントだね」

 

おいしいよ、おまえの…と囁かれ

グググッと自分の喉が鳴った

 

「うう、うおお

 

お俺にも確かめさせてくださいっ!!!!」

 

反省してたはずなのにこれはもう俺は悪くないぞと思いっきり抱き締めると、ヘタクソなキスをしながらもっと密着したくて脇に手を入れ抱えてアニさんのケツが自分のちんこの上にくるように降ろした

遠慮なく勃起ちんこを擦り付ける

そのまま親指で控え目にポツリと浮かぶ乳首を探し当ててグリグリと中心を押し込んだ

肩を叩かれ少し抵抗された辺りで緩急をつけて黙らせる

周りを優しくクリクリしたり、親指の腹で先端に触れるか触れないかの部分を撫でているうちに芯を持ちぷっくりとしていて、もう布一枚ではその存在を隠しきれない

もどかしくて強く押し潰してほしそうに身体をよじるのをしっかり股間で感じながら気付かないフリをして焦らす

 

興奮しすぎで逆に冷静になった俺は日々ゲームのコントローラーを弄って鍛えた親指の動きの精密さに感動した

薄手のアンダー越しの乳首は最高だとみんなに教えたい

まさか勃起しながら男の乳首を触る日が来るなんて思わなかった

 

股間の上にのせて忙しなく好き勝手に身体を触りキスをしてたら、アニさんが膝を立てて上から被さり俺が唾液を飲みやすいようにしてくれる

俺は乳首を構い倒すのに必死でキスは任せきりだったので、今度はちゃんと全部こぼさず飲む勢いで舌を絡めて吸う

すると肩に置かれていた腕に、頭を包むようにして抱き締め返された

俺の髪に指を通してセットを乱してくる

 

その動きがなんだかすごく求められている感じがして、完全に自分の立場も忘れ、触らないようにしていた下半身にも手を伸ばしてしまった

 

小ぶりだが肉のついた弾力のあるケツを両手で鷲掴んで揉んだ

 

「あ、だめ…」

 

全然聞けねぇよそんなの!

甘えた声出しやがって!!

 

強気の俺は抱き抱えて頭をぶつけないように注意しながら、それでも多少強引にソファーへ押し倒した

その勢いでぎゅう…と頭を胸に押し付けられる

自分の荒い息と見慣れたアンダーに浮かぶ俺が育てた突起が思考を鈍らせる

ダメだこんなこと、と思う気持ちと

今しかない、と思う気持ちがぶつかって

直接じゃなく邪魔でもどかしいアンダーの上からしっかり主張してるそれを吸おうとした

 

そのとき

 

 

 

「…くらもち」

 

「え」

 

「あ」

 

 

 

◆

 

 

「申し訳ありませんでした!!!!」

 

俺は初めての風俗のプレイルームでお手本のような綺麗な土下座をキメていた

勢いが良すぎてごつん、と音が響く

床に擦り付けるためにデコを出して来たワケじゃねぇが

俺のデコはいま、床に擦り付けるためにある

 

「もうなにお前、童貞みたい

 

可愛かったから黙っといてあげる」

 

あと下に響くからそれやめな、と言われて顔を上げると

真っ赤になっちゃってる、と微笑みながらよしよしと撫でられた

 

天使か…

可愛いのはアンタだ…

 

それに童貞じゃないですと言い訳はしたいが今はそれどころじゃない

 

「驚かせてごめん

 

俺の元チームメイトがお前のとこの大学にいるからさ」

 

俺と商店街の前で出会った後

その元チームメイトと遊んでいるときに見せられた飲み会の写メに俺がいたのを見つけ、しっかり名前と足は速いけど打率が~なんてことも聞いて知っていたらしい

 

「俺だけ知ってるのも悪い気がするし、お前にバレても悪用される気もしないから」

 

そう言ってアニさんこと小湊亮介さんは

 

「俺はまぁ兄貴だからアニって名前にしたんだけど

 

お前、足速いからチーターでチイタでしょ」

 

わかったとき笑っちゃったよ、と目をきゅっと釣り上げて笑った

 

あ、かわいい

すきです…

 

本格的に惚れたらどうしようか

 

「それ店長につけられたんですよ、チイタって」

 

「いいじゃん、合ってるよなんか

 

あ、そういえば店長の話だけど」

 

どうやら今日はご法度中のご法度が起きてしまい、そのことでみんなピリピリしているらしい

 

そのご法度というのはつまり本番だ

 

「みんな各々わりと好きにやってるんだよ

 

手しか触らないなんて信用のない相手に対する時くらいでさ

じゃなきゃいくらいいお客さんでもずっと

固定ではいてくれないし

 

それでも守るとこ守んないと、会員制でも客は客同士のコミュニティがあって情報交換してるから『いくら払えばあの子は本番あり』なんて広められたらその子に客が集中して、他の子たちは色々要求に答えていかないと指名されなくなって店全体のモラルが下がるでしょ

 

それを店長は一番避けたがってんだよね」

 

あの店長はハードルは低く安全性の高い働きやすいシステムを売りにして人材を集めていると言っていた

その根底を崩されたとなると、そりゃ怒るだろうな

 

「アイツ本番やってんな…ってわかると、自分のいい客も影響されて要求してくるようになるかもしれない危機感があってお互い監視し合ってるから、お前も気を付けなよ」

 

チクるぜ、ってことか

そういえばゴミ箱も備え付けのタオルもいちいちチェックされるし、客の中に店が雇った人間が潜入してるらしいから本番やそれに近い行為を要求して「OK」なんか出した時には出ていくことになるんだろう

 

「どこまでなにが出来るかなんて人それぞれだけど、射精するさせるっていうのは別のお店があるんだからさ

 

ここはキス専門だし、その強みを無くさないようにしようね」

 

「あだっ…!」

 

チョップされた…

これ何してくれてンだって怒られてるよな

申し訳ありませんでした

 

正直、あの店長は威圧感しかなくてスゲー気分悪かったけど、なんだかんだ働いてる俺たちのことを考えているとわかれば納得はいく

 

みんな自分のお気に入りの固定客にはそれなりにサービスはしているらしいが、どこから集客しているのか新規の客は絶えないらしく過激なサービスをしてまでして繋ぎ止める必要はないと最初に他の先輩キャストから説明されるんだと

 

証拠に新規でも常連でも調子に乗ってキャストの意思を無視して規則を破り即刻出禁になる客も少なくないという

 

俺は最初からあのプロ野球選手のお陰でいい待遇を受けているし、新人だからとナメられて変な要求を受けたこともない

 

知らなかったが

ここは人の紹介でしか来れない謂わば高級店で、裏で繋がってる無数の風俗店の顧客の『評判のいい客』にしか場所を教えないような隠れ家的VIP専用風俗店

ここで出禁になると当人とその紹介した人物まで他の風俗に情報が回ってしまうというから徹底している

 

この店を知っているだけでそれなりのステータスになるなんて意味不明だが

俺…なんてとこにいるんだか…

 

一人の客に数回の接客で半年分の金をまとめて貰っている俺にはわからない苦労や修羅場が多すぎて、いくらキスだけって言っても風俗店にはかわりねぇんだなと今さら怖くなった

 

「あの…なんでそんなに詳しいんですか?」

 

ふと疑問に思ってつい何も考えず聞いてしまったが、もしかしたら金に困って中学くらいからやってるとか元々違う店にいたバリバリの玄人とかだったらどうしようと焦るも

 

「ん?ここの従業員半分俺の客だから」

 

色々教えてくれるんだよね、とニッコリ

 

俺は別の意味で泣いた

 

見覚えのあるスタッフを思い浮かべて全員ぶん殴る

 

「月に一回好きな子指名できるのが福利厚生らしいよ」

 

変だよね、と笑う亮介さんに

俺はここに就職しようかと一瞬本気で迷った

 

今回は金払いのいい客のお陰で特例としてキャストの俺が客として来れているが、関係者以外でここへ来るのは難しそうで、俺が社会人になってツテを手に入れた時にはもう亮介さんはいないだろう

 

「あ、もう時間だね」

 

あっという間だった

日常とかけ離れた場所で超絶好みの子とイチャイチャできるこの空間は天国で、帰るのが惜しい

 

重い腰を上げて、正座でいて足が痺れているのを悟られないように精一杯踏ん張りながら部屋を出ようとすると

 

「なに帰ろうとしてんの?」

 

「アぐっ!!!!?!」

 

その一番痺れていた部分に亮介さんの蹴りがジャストミートして俺は奇声をあげながら簡単に崩れ落ちた

 

「俺に あんなことシといて このまま 帰るんだ?」

 

言葉を分かりやすく区切りながら丁寧に足をグッ、グッ、グッと押し揉まれ、やめてください、さわらないでくださいと唸る俺はニコニコと見下ろす亮介さんと目が合った瞬間、秒で誠意を見せろと言われていると気付いて財布を献上する

 

黙っといてやるけど許してはない、とその目は語っていた

 

あぁ金を多目に財布に入れておいてよかった…

キャバ嬢がオッサンに貢がせた金でホストに貢ぐ心理がわかる

俺の金なんて全部あの男の金だし、よければ全部もっていってくださいという気分だ

 

 

「お前ほんと可愛いね」

 

 

天使のような微笑みで返された財布は綺麗にカラになっていた

 

 

股間もすっかりおとなしくなり足の痺れも引いて、お世話になりましたと部屋を出ると、ちょん…と袖を引かれる

 

 

「俺も、お前が指名してくれたときからいっぱいしてたよ

 

歯みがき」

 

 

じゃあまたね、と息の止まった俺のことなんか無視して扉はバタンと閉まった

質素な生活感のないただの古びたオフィスのような廊下で放心状態の俺

 

煽りに煽って寸止めされ

追加料金ぶんだくられても

またここに来て弄ばれたいと思っている自分がいる

 

 

 

あ、悪魔だ…

 

 

 

 

 

 

これが俺の甘くて苦い、夢のような風俗初体験だった

 

 

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 

当店人気のアニくん!

 

 

猫に虐げられたいタイプの男性におすすめ!

 

高飛車猫ちゃんだけど

 

いい子には優しいです

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