「あー、アリシアがいない」
『だから何だよ。
てかそっちを去ってもう随分経ったのに、まだ言ってるの?』
キャスちゃんに先導されながら可愛い後輩のもとに行こうとした途端直接脳に響いた一応夫の声に分かりやすく顔をゆがめる
「えー・・・
あ、知ってるかいアリシア。ウサギはかまってくれないと死んでしまうんだぞぉ」
『だから?』
「ほら、僕ウサギに似てるだろう?『どこが?は?どこが?』・・い、いや最後まで一応聞いて?だから、構ってくれないかい?たまにでいいから、五分に一回でいいから」
『どこがたまになんだよ。それもう謂わばずっとじゃん。
あと、ウサギがなんちゃらって言ってたけど、それ嘘だからね。知ってるでしょう?』
はぁ、と首を振ると長いブロンド色の髪が宙を舞う。
邪魔だから一度切ろうとしたら止められたのでそのままにしてたが、腰まである髪はやっぱり邪魔でしかない。
もう成長は止まっているからこれ以上髪が伸びることはないので切るときはよく考えなければならないのだが・・・
よし、三つ編みに縛るか。
「あー、アリシアが自分で髪を縛ってるぅ、それは僕の仕事だったのに」
『しょうがないでしょう。確かにマーリンは手先が器用だから髪を縛るの頼んではいたけど、今は近くにいないんだから』
「・・・会いに行こうかなぁ」
『それだけの理由でこっちに来ないでよ?ちょ、待ってマジ来ないで』
シッシと空中で手を払うとえーと不満げな声が聞こえた。
「って、おっとアブナイ。その先の角を曲がったところに君が会いたがっている後輩二人がいるよ。」
『お、もう着いたのか』
いつの間にか前を歩いていたキャスちゃんはマシュちゃんの肩の上に陣取っていた。
くるっと角を曲がることで結った三つ編みがふわりと揺れる。
『やあ!なんだい三人して。私を除いて楽しそうじゃないか』
「あ!アリシアさん!!先輩、この人がさっき話していたアリシアさんです。アリシア・ハイデルバッハさん。フォウさんのお世話係の一人で、いまだ謎多き女性です。」
謎多きって、いや、まあ、そうなんだけど。
「本人の前で謎多きって言っちゃうんだ・・・。
初めまして。藤丸リツカです。よろしくお願いしますね、アリシアさん!」
『うんうん、元気がいい女の子は私好きだよ。よろしくねリツカちゃん』
「フォウ!」
『ほら、キャスちゃんもよろしくって言ってるわ」
「・・・キャスちゃん?フォウさん?」
ん?どっちだ?と悩む彼女を見てにこりと笑う。
『(あぁ、この子が未来を背負う48番目の最後のマスターね。うん、頑張れる子はすきよ、私。)』
クスクスとほんわかとした
『って、ほらリツカちゃん。こんなとこにいていいの?君、これから所長の話を聞かないといけないんでしょ?』
「あぁ!そうでした!あ、いやでもここ、どこ!!?」
「だ、大丈夫です!先輩落ち着いてください!」
『ふふふ、あははは!』
「フォウ!(人が困るのを平気でするとこ、マーリンにそっくりなんだよな)」
その後、リツカちゃんは私とマシュちゃんが一緒に案内するということで落ち着いた。