インフィニット・ストラトス 世界への反抗 作:鉄血のブリュンヒルデ
「くっ!オラァ!」
「…………」
櫂が紫色のウィザードになり戦闘を始めて十分程が経った。さっきとは違って、櫂はファントムの攻撃を受け流しつつ的確にダメージを与えていく。
「なんだよ!さっきとはまるで違ぇぞ!」
ファントムは叫びながら、鎌を振りかぶる。
「死ねぇ!」
「はっ!」
「グアァ?!」
櫂の力はさっきとは全然違う。なんて言うか、怖い。何でかは分からないけど、あの姿はダメな気がする。
「ちっ!仕方ねぇ。レベルアップだ」
ファントムはそう言いながら体を一瞬だけ光らせると、スピードが明らかに上がっていた。
「くっ!」
櫂は一瞬だけ苦しそうな声を出したけど、すぐに体制を立て直してさっき同じ戦い方を続ける。
「くらえ!」
「グッ?!」
けど、それはいつまでもは続かない。櫂の攻撃は躱され、反撃をくらってよろめく。
〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉
櫂は必殺技を使う為にベルトを操作して魔法を発動させる状態にした。
〈チョーイイネ!キックストライク!サイコー!〉
「…………はぁ!」
櫂はいつもみたいなアクロバティックな動きはせずに、紫炎を纏わせた右足を前に突き出した。
「グアァ?!」
そこにはちょうどファントムが現れて、櫂の必殺技が命中した。
「なーんてな!」
「グッ!」
櫂の攻撃をギリギリのタイミングでガードしていたファントムは、足をガッチリと掴んだ。
「分かってんだよ!」
〈バインド・プリーズ〉
櫂はそれを狙っていたかの様に、魔法を発動させた。櫂とファントムの周りに魔法陣が現れ、そこから紫炎の鎖が飛び出して二人を拘束した。
「なんのつもりだ!」
「この距離なら、ご自慢の防御力も関係ねぇだろ!」
〈キャモナ・シューティング・シェイクハンズ!〉
〈ダーク・シューティングストライク!〉
「てめぇ?!」
「くらえ!」
櫂はゼロ距離で必殺を放った。その威力で辺りは一瞬光に包まれ、光が晴れてに立っていたのはファントムだけだった。
「おい!櫂!大丈夫か!」
「櫂!」
「櫂さん!」
俺達は叫んだ。だが櫂は倒れたまま動かない。
「クソっ!いくらレベル2とはいえ、俺がここまでやられるとはな」
ファントムはよろけながら後ろに下がった。
「今日はこのくらいにしといてやる」
ファントムは現れた魔法陣を潜って、どこかへ消えた。
「おい!お前達!大丈夫か!」
ファントムが消えるのと同時に、千冬姉と山田先生が駆け寄ってきた。
「俺達は無事だよ!でも、櫂が!」
「っ!櫂!起きろ櫂!」
千冬姉は教師としての立場を忘れ、櫂の名を呼ぶ。
「織斑先生!櫂さんの様態はどうなんですか!」
「…………ただ、気絶しているだけの様だ」
良かった。もしかしたら、櫂が死んだんじゃないかと思った……。
「…………あんなリング、知らない」
「え?」
「あんなリング、ウィザーズの資料に無かった。あの指輪は何?」
「確かに、そうだね。そもそも、あんな色の魔法石自体見た事が無いよ」
どういう事だ?鈴達は、何を言っているんだ?
「…………櫂が、作り出したって事?」
指輪を櫂が作り出した?一体、どういう事なんだ?
「今はとにかく櫂を医務室に運ぶぞ!」
「お、おう!」
「はい!」
「分かったわ」
「分かりました!」
櫂を背負った千冬の言葉に、全員が医務室へと足を向けた。