インフィニット・ストラトス 世界への反抗 作:鉄血のブリュンヒルデ
『お母様!どうして!どうして私を置いて行くの?!行かないで!お母様!』
『強く生きて。そして、いつか………』
『嫌だよ!お母様!』
…………………………
「お母様!……………夢?」
目覚めた私の体は、汗で濡れていました。まるで、悪夢を見たかの様に。いえ、実際に見たのですわ。
「何故、今日に限ってこんな夢を…」
今日は、あの男との決闘の日。敗北は絶対に許されない。なのに………。
「…お母様」
今、私の頬に流れたのは汗だと思い込みましょう。そうでないと。
…………………………
「あー、だりー………」
「この期に及んで何言ってんだよ」
また始まった。なんでこいつはいつもはこうなんだろう。
「だって、勝ち確実のゲームとか面白くねぇじゃん」
「ていうかなんでお前そんな自信満々なんだ?俺と違って事前に貰ってたのに訓練とかもしてなかったし」
「必要ねぇもん」
本当にこの自身は何処から来るんだろう。
「竜川、時間だ。準備をしろ」
「へいへい」
櫂はそう言いながら、自分のISをピットに置いてアリーナへと歩いていく。………はぁ?!あいつ何やってんだ?!
「待て。竜川、何故ISを纏わない」
「必要ねぇって言ったろ?」
「いや、それ訓練の話じゃねぇの?」
「いや、IS自体いらねぇよ」
櫂はそう飄々と言ってアリーナへと続くレールの様な所を歩いていく。そして。
「お、おい!待て!」
千冬姉は慌てて声をかける。ピットと地面との高低差はそこそこあり、生身で飛び降りれば骨折は確実だ。
「よっと」
「っ?!」
けど、櫂は痛がる素振りも見せない。それどころか余裕そうな顔で。
「なにアホみたいな顔してんだよ」
試合を見に来ていた生徒とオルコットに喧嘩を売った。
「逃げずに来ましたのね。しかしISを纏わないとは何事ですか?もしかして、許しを請うというのですか?それなら「はぁ?お前何言ってんだ?」え?」
「ISなんて使うかよ。あのウサギが可哀想だろ」
「ウサギ?貴方、何を言ってますの?」
「あぁ、気にすんな。とりま、準備すっか」
櫂はそう言いながら制服の前を開いた。すると、今まで隠れていたベルトが露わになる。そこには手形のバックルの様な物があった。
「さてと、ちょっくら遊んでやるよ」
そう言って右手と左手の中指に指輪をはめた。そして右手をバックルにかざす。
〈ドライバーオン、プリーズ〉
バックルから声が聞こえた。それは俺の幻聴ではなく、アリーナの観客と千冬姉、そしてオルコットも驚いていた。そして櫂は次に声と共に変化していたベルトを操作して、手の部分を反対に向けさせた。
〈シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!〉
今回ははっきりと聞こえた。さっきの様に一言だけではない。まるで歌でも歌っている様な。櫂は左手の指輪のカバーの様な物を下ろすと、静かに言った。
「変身」
そう言って左手をベルトにかざした。
〈フレイム、プリーズ〉
そして櫂の左に燃える様な赤色の魔法陣が現れて、それに手をかざすように左手を肩の高さまで上げた。
〈ヒー・ヒー・ヒーヒーヒー!〉
魔法陣は櫂の体を通過してその姿を変えさせていく。
「すげぇ…」
俺はついそんな声を漏らしてしまった。そして、魔法陣は通過しきると消え、そこに立っていたのは櫂の姿では無かった。
「あ、あなたは何者なんですの?!」
「俺か?俺はウィザード。ただの魔法使いだよ」
「魔法、使い?」
櫂の言葉に、アリーナは騒然とした。しかし、ピットにいた俺と千冬姉は違った。
「お前だったのか、櫂」
千冬姉はそう言って拳を強く握った。そして櫂はそんなアリーナの観客や俺達など気にもせずに言った。
「さぁ、ショータイムだ」
バトルシーンは次やる。きっと、多分、やるはず