インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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絶望の果て

「ここが、アンダーワールドか」

 

俺は櫂に言われた通りに、シャルロットのアンダーワールドに入り込んだ。するとそこは大きな屋敷の様な場所だった。そしていつの間にか変身は解けていた。

 

「シャルロットって、やっぱり金持ちだったんだな」

 

なんとなくそう呟きながら歩いていると、いつの間にか景色が大きなベッドのある部屋に変わっていた。

 

「お母さん!見て見て!これ綺麗でしょ?」

 

そう言って少女は母親らしき女性に抱きついた。恐らくあの女の子がシャルロットなんだろうな。

 

「そうね、シャルロット。とっても綺麗」

 

女性は細い腕で少女の頭を撫でる。本当に愛しそうに。

 

「うっ、ケホッ、ケホッ!」

 

「お母さん、大丈夫?!」

 

「え、えぇ、大丈夫よ」

 

女性は苦しそうな声を出しながらも笑顔で答えた。

 

「ねぇ、シャルロット?」

 

「何?お母さん」

 

ふと気が付くと景色はやや変わり、少女は成長し、女性は対照的に腕は更に細くなっていた。

 

「もし私が居なくなったら、悲しい?」

 

「嫌だ!お母さんはずっと私と居るの!」

 

少女は泣きそうになりながら答えた。その少女をみて女性は微笑んだ。

 

「もう、冗談よ。ほら泣かないの」

 

女性は微笑みながら少女の涙を拭った。

 

「なら、頑張らなきゃね」ボソッ

 

「ん?お母さん、何か言った?」

 

「なんでもないわ」

 

か細い腕は、震えながらもしっかりと少女を抱いた。

 

「ゲホッ!ゲホゲホッ!」

 

「っ!お母さん!しっかりして!」

 

更に景色は移る。少女は制服に身を包み、激しく咳き込む女性の背中を摩った。

 

「大丈夫?苦しい?」

 

「いえ、大丈夫よ。それよりあなたは宿題をしなきゃ」

 

「宿題なんて、いつでも出来るよ」

 

「そうね。シャルロットは頭が良いものね」

 

女性は少女を撫でようと腕を上げたが、それは肩の高さで止まった。

 

「もういい。もういいよお母さん………」

 

「ごめん、ね?シャル、ロット………」

 

突然だった。そう言った女性の腕が落ちたのは。

 

「…お母さん?ねぇお母さん?ねぇ!お母さん返事をしてよ!ねぇ!」

 

少女は必死に呼びかけるが、女性は目を瞑ったままピクリとも動かない。

 

ギギイィィィ…

 

その時、俺の近くの扉が開いた。気が付けば部屋は夕日に照らされていた。

 

「とうとう死んだか。呆気無い物ですね」

 

扉から入ってきた白服の男は、女性の遺体を、まるでゴミでも見る様な目で見下ろす。

 

「………あなたは、知っていたんですか?母の病状を」

 

「知っていましたとも。それがどうしたのです」

 

「何か、治療等はしたんですか?特別な薬は?」

 

「こんな女に使う金など無い。あの人はそう仰っていましたよ」

 

その時、少女の中で何かが切れた。

 

「そうですか。なるほど」

 

少女は立ち上がる。その頬には、ひびが入っていた。

 

「その人を殺せば、お母さんは浮かばれますか?」

 

「そうでしょうね」

 

少女の背中から、黒い鎌のついた触手の様な物が生えた。

 

「なら、殺さなきゃ!」

 

その鎌は、男めがけて高速で迫った。

 

「まだ不完全ですね。ですがそれでもこの威力ですか。将来有望ですね」

 

男は片手でそれを受け止めると、その触手を握って少女を振り回して壁や床に叩き付けた。

 

「ガハッ?!」

 

「貴方には付いてきて貰います。そして、我々の実験に協力して頂きますよ」

 

「うっ……」

 

男は少女の溝を殴り気絶させると、そのまま担いで連れて行く。

 

「おい!待てよ!」

 

俺は白服の男を捕まえようとした。だけどその手はすり抜けた。

 

「そうか、ここはシャルロットの記憶の中……でも、こんなの悲しすぎるだろ!」

 

一夏は壁を殴りながらそう叫んだ。

 

「……見たんだ。僕の過去」

 

「っ?!」

 

そこには、IS学園の制服を着たシャルロットが立っていた。

 

「なぁ、お前は何なんだ?お前からはファントムみたいな雰囲気は感じないんだ」

 

「へぇ、あれはファントムって言うんだ。じゃあ、僕は何だろう。シュマン、とかかな?」

 

「シュマン?」

 

「フランス語の『ア ミ=シュマン』から取ったんだよ。意味は中途半端、さ」

 

俺は、悲しくなった。シャルロットの心を、どうにかして救いたいと思った。

 

「シャルロット!俺がお前を救う!俺が、最後の希望になる!」

 

「じゃあまずは、僕を殺してみなよ!」

 

そう言ったシャルロットの体は見る見るうちに変化していく。

 

「止めてやる。お前の悲しみも、絶望も!変身!」

 

〈ボルケーノ・ナウ〉

 

俺は魔方陣を潜る。そして俺の姿はウィザードに変わる。

 

「心火。心の火だ………心火を燃やして、お前を救う!」

 

俺はそう言いながら、戦いへと身を投じた。

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