インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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再訪

「それで、気付いたら手の中にあったって?」

 

櫂の提案で面影堂に来た俺達は、今まさに櫂が説教されるという珍しい光景を目の当たりにしている。

 

「はい」

 

「使ったのか」

 

「これしか方法が無かったんで」

 

櫂は申し訳なさそうにしているが、多分それが最善だったと確信している。それは輪島さんも分かってるみたいで、その目は少し諦めていた。それでも心配なんだろう。輪島さんは尚も続ける

 

「それでも、これは使っちゃダメだ。調べた結果、これは「絶望が力の源、でしょ?」………知っていたのか」

 

絶望が力の源?それって魔法の根底を覆す事じゃねぇのか?

俺がそんな事を考えていると、晴香が身を乗り出した。

 

「輪島さん!それはどういう事ですか!」

 

「言葉のままさ。このリングは希望では無く絶望を力に変える。本来それは魔法使いじゃなくてファントムの使う力だ。だが櫂はそれが使えた」

 

「つまり、ファントムの力の活性化が、もう魔力に現れているという、事ですか?」

 

鈴の顔が、深い悲しみに染まった。それは俺と晴香も同じで、その言葉の重みが少ししか理解出来ていない千冬姉は困惑した。

 

「ま、待って下さい!」

 

「貴方が、織斑 千冬さんですか?」

 

「………はい」

 

輪島さんは落ち着いた声色で静かに言う。千冬姉もそれに応じて、落ち着いた声で答えた。

 

「櫂は、怪物になるんですか?」

 

「このまま力を使い続ければ、確実に」

 

「どうして、櫂なんですか?魔力が強いからですか?変身出来るからですか?」

 

千冬姉は、普段からは考えられない様な弱々しい声で言う。

 

「どうして、子供にこんな残酷な運命を背負わせるんですか?どうして……どうして誰も代わろうとしないんですか?どうして櫂だけがいつも苦しむんですか!」

 

次に千冬姉は涙目になりながら叫ぶ。その姿に、俺達は呆気にとられた。

 

「………千冬さん。俺達も色々尽くしました。ですが、誰もウィザードの力を使えなかった。俺達だって、櫂一人に全てを背負わせたくない。ですが、これが現実です」

 

「………分かっています。どうしようも無い事くらい……ですが、本当に私達大人に出来る事は何も無いんですか?」

 

千冬姉は、本当に泣きそうになっていた。どうして千冬姉が俺達に戦わせる事を避けたがるかは分からない。多分、千冬姉には千冬姉なりの理由があるんだ。

 

「………待て。あるかもしれねぇぞ」

 

その時、櫂が何か思い付いた様にハッとした表情で千冬姉を見た。

 

「お前、どうやって魔法砕いたんだ?」

 

「え?魔法を砕いた?!どういう事よ櫂!」

 

鈴が大声で問いただす。その声に、櫂は片耳を塞ぎながら答えた。

 

「今の所はディフェンドだけだが、コイツは確かに俺の魔法を砕いている。しかも二回」

 

「魔法を砕く、魔法ですか?」

 

「いや、千冬は魔力を吸い取られている。その状態で魔法は発動しな……………いや、待てよ。そもそもファントムの活性化もしてない肉体から魔力が吸い取るなんて不可能だ」

 

櫂は急に考え込む様な仕草をとった。

 

「……もしかして、魔力は吸収されたのでは無く、入れ替えられた?」

 

晴香の言葉に、櫂と鈴、そして輪島さんが目を見開いた。

 

「な、なぁ、入れ替えたってなんなんだ?」

 

俺は訳が分からずに、櫂達に聞いた。

 

「つまり、元々あった魔力を抜き取る代わりに、全く別の魔力に置き換えられたかもしれないって事よ」

 

「?」

 

「それじゃ分かんねぇだろ。簡単に言うと、俺の中のファントムと、お前の中のファントムをそのまま入れ替えたって事だよ」

 

「え?!そんな事出来んのか?!」

 

それなら、櫂の中のファントムを誰かに移す事も出来んじゃ!

そう言おうとした俺に、櫂は首を横に振った。

 

「多分お前の考えてる事はハズレだ。今のウィザーズやその協力者にも、その技術は無い」

 

櫂はそう言いながら怠そうに椅子に座った。

 

「つまり、やったのは白い魔法使いだ」

 

「っ!もし、それが本当なら、ウィザーズの存在意義が根底から覆るわ」

 

「そうだな。そもそもアイツがウィザーズを作った理由が分からねぇ」

 

え?理由って、そんなの一つしかないんじゃ。

 

「待って下さい!櫂さん、白い魔法使いは、私達サバトで生き残った人達の保護と、ファントム殲滅の為にウィザーズを作ったんじゃないんですか?」

 

俺もそう思っていた。だからこそ、俺達が襲われたのはそれなりの理由があるんだって納得していた。

 

「そうだと最初は思ったさ。だが、一つの可能性に思い至ったんだ」

 

櫂は服の内側のポケットから一枚の写真を取り出した。

 

「これを見ろ。これはサバトの後にウィザーズの現場検証で発見されたカメラのSDから見つかった画像だ」

 

そこには、体にヒビが入り苦しむ人達が写っており、正直見るも耐えない惨状だった。

 

「そこじゃねぇよ。奥だ奥」

 

そう言って櫂が指さした場所には、ブレてはいるが白いローブを着た様な人影が写っていた。

 

「これって!」

 

鈴が身を乗り出して写真を覗き込む。それを見て櫂は次の言葉を発した。

 

「俺の思いついた可能性。サバトを起こしたのは、白い魔法使いだ」

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