インフィニット・ストラトス 世界への反抗 作:鉄血のブリュンヒルデ
「さぁ、ショータイムだ」
「ふんっ!所詮は見掛け倒しですわ!」
そう言ってオルコットはライフル型の武器を取り出して、トリガーを引いた。そして銃口から放たれたのは、実弾は無くビームだった。
「おっと、危ない」
櫂はそれを余裕で避けると、その間に右手の指輪を交換した。
「そっちが武器使うなら、こっちも使わなきゃ不公平だよな?」
〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉
〈コネクト、プリーズ〉
またベルトから声が。櫂の口ぶりだと、あれが魔法ということになる。櫂は現れた魔法陣に手を突っ込むと、何処からとも無く銃型の武器を取り出した。
「そら行け!」
櫂はそう言いながらトリガーを引く。そこから放たれた弾丸は真っ直ぐオルコットに向かっていく。だがそれはいとも簡単に避けられる。そこから反撃に転じようとするオルコットだったが、突如背中に衝撃を受ける。
「な、なんですの?!」
確かにオルコットは櫂の放った弾丸を避けた。しかし、その弾丸は空中でまるで生きているかの様にオルコットの背中を追った。
「まさか、フレキシブル?!」
「ちげぇよ。魔法だ、魔法」
「貴方、ふざけるのもいい加減にしなさい!」
「ふざけてねぇよ。じゃあ見てみるか?」
そう言って櫂はさっきと同じように右手の指輪を付け替える。あれ何個あるんだよ。
〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉
〈コピー、プリーズ〉
今度の魔法の効果は一体どんな物か。そう思いながら見ていると、二つの魔法陣が現れて同じ動きをし始めた。一つ目は櫂を通過したがなんの変化も無し。二つ目も櫂には何の変化も………。あれ?増えてる?!
「「フフーン」」
二人の櫂はそう言って腰に両手を当てて、足を組んだ。声的に多分今ドヤ顔してる。
「な?!何がどうなって!」
「「だから魔法だって」」
「二人同時に喋らないでくださる?!気持ち悪いですわ!」
「「んな事言ったって仕方ねぇだろ。どっちも俺なんだし」」
櫂二人は、当たり前かの様に言う。二人ともタイミングを外さずに。外から見ても相当イライラする光景に、オルコットはあからさまに肩を震わせて怒りを露にする。
「もう喋らないでくださる?!」
「「……………」」
オルコットの言葉と共に、櫂は二人とも黙って直立した。
「あぁもう!いいですわ!」
オルコットはそう言いながらビームを二発両方の櫂に向けて撃った。
「「よっと」」
そんな声を出しながら、櫂は突然脈絡も無く現れた魔法陣を二人同時に潜ると、今度は一人に戻っていた。
「ほえー。マジか」
櫂は関心した様な声を出して、ビームの当たった地面を見る。
「何をしているんですの?」
「いや、お前すげぇな」
「え?」
櫂からの突然の褒め言葉に、オルコットは耳を疑った。
「あそこまでキレててここまで正確な狙撃が出来るとかスゲェよ。こりゃIS使ってたら勝てなかったわ」
「どういうことですの?」
「ほら、ISってでかいじゃん?あれだと動き辛いし、当たってたよ」
櫂が人を褒めるなんて珍しい。基本的に馬鹿にしたりするばかりだからあまり見ない。それを会って間もない、それも対立している相手に使われたとなると、親友としては少し複雑だ。
「まぁ、賛美はこの位にしといて再開すっか。これじゃあ埒が明かないし、そろそろ本腰いれるか」
そう言って櫂はまた指輪を変える。
〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉
〈コネクト、プリーズ〉
現れた魔法陣から、今度はバイクが出てきた。
「よっと。行くぜ!」
櫂はそう言ってバイクに乗って走り出した。
そこからはひたすら撃ち合いが続き、途中でオルコットはビットみたいな物を出したりもしたが、櫂はちゃっかり落としていた。そして二人とも疲弊した所で、オルコットは銃を降ろして櫂はバイクから降りた。
「さぁ、次で決めるか」
櫂は右手の指輪を交換した。
〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉
〈チョーイイネ!キックストライク!サイコー!〉
「はぁ………はぁ!」
掛け声と共に、櫂は側転等をした後に飛び上がり、そのまま空中で回転して蹴りを放つ。
「はぁぁーーーー!」
「え?きゃーーーー!」
『試合終了!勝者、竜川 櫂!』
そのアナウンスと共に、アリーナは歓声に包まれた。中には櫂を褒め称える者や、オルコットの健闘を称える声もあったが、どれもが明るい声だった。
「フィー」
櫂はそう息を漏らしながら、こちらにサムズアップをしてきた。気が付いたら、俺はピットの先に立っていた。だから櫂にしっかり見えるように手を上げようとした瞬間、アリーナの一部から悲鳴が上がった。
「何あれ!オルコットさんの体が!」
「え?」
櫂は険しそうな声を出して後ろのオルコットの方に振り返る。
「おいおい、嘘だろ!」
そう言って櫂は変身を解除せずに走り出した。その先に横たわるオルコットの体には、まるでガラスの様なヒビが走っていた。