インフィニット・ストラトス 世界への反抗 作:鉄血のブリュンヒルデ
「ラウラ!止まってくれ!頼む!」
ダメだ。俺の声は届かない。一度ラウラを裏切った俺じゃ、無理だ。
「それでも、黙って見てるなんて出来ねぇだろうが!」
俺はウィザーソードガンを振り抜き、ラウラを包む黒いものを切り裂く。だがそれはすぐに修復され、俺は奴の振るう腕に弾き飛ばされた。
「一夏!」
「サンキュー、シャル」
弾かれた俺を、シャルが触手で受け止めた。
「一人じゃ無理だよ。僕も行く」
「あぁ、頼む」
シャルは腕から生える爪を構え、そして走り出した。
「ハァ!」
ガキンッ!
黒いもので形成された雪片とシュマンの爪が鍔競り合う間に、俺は考えていた。
(どうすればラウラを救える………どうすればあれを倒せる!)
考えても仕方が無いと、俺は戦いに加わる。だが、迷いのある俺の攻撃じゃ、ラウラには届かない。
『オイオイ、何やってんだよ』
「っ?!」
その時、俺の脳裏に俺の声が響いた。いや、正確には俺と同じ声だ。
「誰だ!」
『俺はお前だよ、織斑 一夏』
「まさか、櫂の言っていた俺の闇?」
『そういう事だ』
まさかこんなタイミングで出てくるなんて思いもしなかった。
『お前、力が欲しいか?』
「え?」
闇が言った言葉に、俺は一瞬戸惑った。
「力って、なんだよ」
『そのままの意味さ。気に入らない運命を、ねじ曲げる為の力だ』
「それがあれば、ラウラを救えるのか?!」
『あぁ、救えるさ』
もう俺には、迷いは無かった。
「欲しい!俺には、その力が!」
『ならば存分に使え!闇の力を!』
俺の左手のウォーターウィザードリングが弾き飛ばされ、別のリングが現れた。
「……これが、俺の闇」
俺はドライバーを操作して、変身待機状態にさせた。そしてゴーグルパーツを下げ、拳を握り締めてラウラに向けた。
「変身!」
俺は手を開いて、ドライバーに翳した。
〈ダーク・ナウ〉
俺の目の前に紫色の魔法陣が現れた。それはゆっくりと俺に近付き、覚悟を問いかけるようだった。
「………出来てるよ」
俺がそう言うと、魔法陣は俺を通過して俺の体を紫炎で包んだ。その力は、初めて使う筈なのに、何故か懐かしい様な感覚になった。
「そんな事より、今はラウラだ!」
俺は無駄な考えをやめて、ウィザーソードガンをガンモードで構える。
「シャル!退け!」
「分かった!」
俺の声を聞いてシャルは飛び退く。
〈キャモナ・シューティング・シェイクハンズ!〉
〈ダーク!シューティングストライク!〉
「くらえ!」
俺の放った紫炎の弾丸は、ラウラに当たると同時に弾けて黒いものを多く削った。
「シャル!その隙間を維持してくれ!」
「分かった!」
シャルは触手を使って閉じようとする穴を押し広げる。
「櫂!今だ!」
「言われなくても!」
俺が呼ぶと、俺の横を真っ赤に染った姿のウィザードが駆け抜けた。
「ラウラ!俺はお前を傷付けた!でも、俺はお前を救いたい!」
櫂は走りながら叫ぶ。そんな櫂を邪魔する様に飛び散った黒い物体が刃物となって櫂を襲う。
「邪魔してんじゃねぇよ!」
俺はそれらを撃ち落とし、斬り落とし、櫂の隣に並んだ。
「策は?!」
「行ってから考える!」
「ねぇのかよ!」
「対策なんざ、行ってから考えりゃいいんだよ!」
櫂はそう言いながら俺の肩を叩いた。
「そら!この前の!」
「了解!」
俺はすぐさまウィザーソードガンのモードを切り替えて、ハンドオーサーを展開した。
〈キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!〉
〈ダーク!スラッシュストライク!〉
そして斬撃を放つと、ラウラの正面に切れ目が生まれた。
「行け!櫂!」
「オッケー!」
櫂は勢いを付けてそこへ飛び込む。すると暴れていたラウラは、急に動きを止めた。
「うっ!」
「一夏!」
倒れ込みそうになる俺を、残った触手を放ったままのシャルが受け止めた。
「櫂、頼んだぜ」
俺は飛び込んだ親友に、俺達の思いを託した。
一夏の変身は笛木奏(白い魔法使い)の変身ポーズを勢いよくやった感じです。