インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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希望

「お、おい!何だよこれ!」

 

一夏がこっちに駆け寄ってくる。その顔には焦りが見られ、いつもならからかってやりたい所だが。

 

「最悪な状況だ。比喩無しにな」

 

オルコットの容態を見るが、見ているだけじゃヒビは止まらずにコイツを蝕む。

 

「何とかなんねぇのかよ!」

 

「方法が無けりゃ態々構うかよ」

 

俺はそう言ってウィザードリングを一つ取り出す。

 

「コイツは今絶望してる。理由は、まぁ俺への敗北だろうな」

 

「絶望?」

 

「一部の人間は心の底から絶望するとこうなる。そして放っときゃこのヒビはコイツを破壊する」

 

(ん?でも、今回ファントム居なかったぞ?)

 

「そうなったら、コイツはどうなるんだ?」

 

「え?あ、あぁ。怪物になる」

 

「怪物………」

 

一夏はそう言って黙り込む。何か思い当たる節でもあんのか?っと、んな事考えてる場合じゃねぇな。

 

「まぁ、仕方ねぇ。救ってやるか」

 

「その指輪でか?」

 

「おう」

 

そして、俺はオルコットの右手を持ち上げて中指にウィザードリングをはめてウィザードライバーのハンドオーサーを操作して魔法発動の準備をする。

 

〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉

〈エンゲージ、プリーズ〉

 

エンゲージリングの魔力が開放されると、オルコットの上には魔法陣が出現する。見慣れた光景だ。

 

「俺が、最後の希望だ」

 

俺はそう言い、魔法陣に飛び込む。

 

 

…………………………

 

 

俺はセシリアのアンダーワールドに侵入した。アンダーワールドってのはゲートの、つまり今だとオルコットの精神世界だ。ゲートってのはさっき一夏にいった怪物、ファントムのエネルギーとされる強力な魔力を持った人間だ。

 

「さてと、今回はどんな野郎だ?っと」

 

その時、誰かの笑い声が聞こえた。

 

「あれは、小さい頃のオルコットか?」

 

そこには、見た目幼いオルコットと、一人の女性が居た。

 

『お母様は、お父様が嫌いなの?』

 

『ん?どうして?』

 

『だって、皆が言うんだもん。お母様がお父様の事を虐めてるって』

 

『そんな訳無いでしょ?私お父さんの事大好きだもん』

 

幼いオルコットを抱きかかえながら、女性は言う。

 

『でもね、メイドは皆言うの。男なんて皆女の奴隷なんだって』

 

『………ねぇ、セシリア。この世界には、とっても意地悪な人も居れば、とっても優しい人が居る。貴方にはまだ難しいかもしれないけど、この世界は今とっても混乱してるの。もしあなたがそんな世界に絶望しそうになっても………』

 

バリーーーーンッ!

 

「ギャーーーーァ!」

 

「うおい?!今良い所だったろうが!」

 

突如その風景を突き破り、一体の大きなファントムが現れた。

 

「よっ、ほっと。さて、やられっ放しは面白くねぇ。そろそろ行くぜ!」

 

俺はハンドオーサーを一度変身状態にしてから魔法発動状態に戻す。

 

〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉

 

恒例の音楽が流れる中、俺は右手の指輪を交換する。

 

〈ドラゴライズ、プリーズ〉

 

正直この魔法はそんなに好きじゃない。何故なら。

 

「ギャーーーーオォ!」

 

こいつが出てくるから。こいつはドラゴン。俺の中に眠るファントムだ。

 

「ちっ!やっぱりかよ!」

 

バリーーンッ!

 

ドラゴンは周りなどお構い無しに敵のファントムを攻撃する。

 

「これだから脳筋は嫌いなんだよ!」

 

俺はイライラしつつ、コネクトのリングを指にはめる。

 

〈コネクト、プリーズ〉

 

俺は愛車、マシンウィンガーを呼び出すと、それに跨ってドラゴンを追いかける。

 

「毎回毎回同じことやらせてんじゃねぇよ!」

 

マシンウィンガーの車体を思いっきり持ち上げる。するとマシンウィンガーの車体は中心部分から展開して、翼の様に広がる。そしてそのまま滑空して、ドラゴンの体に乗っかる。

 

「ドラゴン!俺に従え!」

 

そう言うと、ドラゴンは大人しくなる。こうなればこっちの物だ。

 

「シャラァ!行くぜ!」

 

ドラゴンは俺の言葉を聞いて、ファントムに突っ込む。俺はウィザーソードガンを構える。

 

「おっらぁ!」

 

すれ違い際に、ウィザーソードガンで切り裂くが、流石に硬い。ドラゴンの炎や爪、牙等が基本的には有効だ。だが、極力コイツには頼りたくない。

 

「クッソ!そうも言ってらんねぇか!」

 

ファントムの攻撃は激しさを増す。このままじゃオルコットの心が砕ける!

 

『拘っている場合じゃ無いんじゃないか?』

 

「黙れ!少なくともお前の手は借りねぇ!」

 

『いいのか?このファントムは今のお前じゃ一人では倒せんぞ?』

 

「………あぁクソが!またお前に頼んのかよ!」

 

正直イライラする。こいつはいつも俺を煽って自分の力を使わせようとする。だが、手段は選べない。俺は右手の指輪を変える。それは先程オルコットを落とした時にも使った指輪だ。

 

「これでフィナーレだ!」

 

〈ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!〉

〈チョーイイネ!キックストライク!サイコー!〉

 

俺はドラゴンを足場に飛び上がる。それを追う様に上昇したドラゴンは、その体を変形させてまるで龍の足の様になる。それにマシンウィンガーを接続して、それを自分の体重を利用してファントム目掛けて落とす。

 

「ハァーーー!」

 

「ギャーーーーー!」

 

ファントムは爆散し、ひび割れた景色は元に戻っていく。

 

「さてと、帰るか………ん?」

 

その時、さっきファントムが突き抜けてきた場所の修復が終わってそこには先程の続きの記憶が流れる。

 

『もしあなたがそんな世界に絶望しそうになっても、きっとそこから救い出してくれる人がきっと現れるわ。だから、強く生きて。そしてその人に、いつか会わせてね』

 

にこやかに微笑むその顔は、まるで宝石の様に輝いていた。

 

「show is over」

 

俺はそう呟いて、現れた魔法陣を潜った。




最後の台詞分かる人いるかな?
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