インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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特別編 part.2 櫂の交渉術

〈コネクト・プリーズ〉

 

「乗れ」

 

急いで駐車場まで来た俺達は、櫂のマシンウィンガーに乗った。俺がヘルメットを被ったのを確認すると、櫂はアクセルを入れてバイクを発進させた。

 

「どこに向かうんだ?」

 

「テレビ局だ。今日生中継される番組の中で紹介される一週間前に発見された鉱石を盗むって予告があったらしい。俺達はそれを解決する為に雇われた探偵って事になってる」

 

「探偵って、俺達そんな知識とかねぇだろ」

 

「その場のノリで乗り切る!」

 

先行きが不安でしかない。

 

それから三十分程走り、ようやく辿り着いた場所は、東京にある大きなテレビ局。真ん中に球体があるのが特徴だ。

 

「あの、私は件の予告状の件で雇われた探偵の者なのですが、今社長はこちらにいらっしゃいますか?」

 

うわ、すげぇ外面。

 

「申し訳ありません。アポイントメントはありますでしょうか?」

 

「はい。探偵が来たとお伝えいただければ分かると思います」

 

「分かりました。少々お待ち下さい。確認を取りますので」

 

そう言って受付嬢の人は電話を取った。

 

(なぁ櫂。お前本当にアポなんてとってんのかよ)

 

(いや、とってねぇよ。言ったろ?その場のノリって)

 

ダメだ。これ絶対ダメな奴だ。

 

「お客様、確認が取れましたのでどうぞこちらへ」

 

「へ?」

 

なんと、取れた?でも櫂はアポなんてとってねぇって。

 

「はい、ありがとうございます。何してんだ、行くぞ一冬(かずと)

 

「は?誰だそれ」

 

(馬鹿か。お前の偽名だよ。織斑 一夏って今や世界中誰でも知ってんだぞ)

 

(それだったらお前もだろ)

 

俺と一緒に見つかった男性操縦者。櫂も知られている筈だ。

 

(俺はもう偽名で名乗ってるよ)

 

(え?)

 

「どうぞこちらへ、左 翔太郎様」

 

いや、櫂、それはアカン奴や。ていうかいつの間にか帽子被ってるし…。

 

「ほら、来い」

 

(一応俺達には認識阻害の魔法をかけてる。ある程度は大丈夫だ)

 

「あ、おう!」

 

とにかく今は行くしかない。怪盗ルパンからドライバーを取り返す為に。

 

 

…………………………

 

 

「やぁやぁ、ようこそ我が社へ。探偵君」

 

「初めまして、秋山社長」

 

櫂とテレビ局の社長と握手を交わす。互いににこやかだが、何処か探り合ってる感じだ。

 

「さて、では本題に入りましょう」

 

「まぁ待て。そう焦る必要は無い。少し世間話をしようじゃないか」

 

櫂が本題に入ろうとしたが、それを社長が止めた。何か意図があるのか?

 

「そもそも、怪盗アルセーヌ・ルパンが世界に名を馳せたのは二十世紀初期だ。彼が生きている事はまず有り得ない」

 

「恐らく二世を名乗る者でしょう。予告状にその様な事は書かれていないんですか?」

 

「炙り出しの可能性も試したが、どうだろうね。何か”普通の人間”には分からない仕掛けがあるなら別だが、ね?」

 

圧倒的な存在感だ。並の人間に出せるものじゃない。

 

「それはどういう事ですか?」

 

櫂も警戒を強めて、しかし冷静に聞き返す。

 

「ふむ。まだそれを通すか。ならば率直に問おう。君達の目的はなんだ?竜川 櫂。織斑 一夏」

 

バレていた。認識阻害の魔法をかけてる筈なのに。

 

「バレてるなら演技しても仕方ねぇ。率直に言う。今回の警備と調査に俺達も参加させろ」

 

「それをするにあたっての君達のメリットはなんだ?」

 

「奴は俺とコイツが所属する組織からも重要な物を奪っている。だから捕まえたい。そしてアンタらは重要な企画の目玉を奪われたら困る。正直、この取り引きはどちらにも利がある」

 

櫂は本当に取り引きをする様に言う。いや、実際に取り引きの様なものなんだろう。

 

「しかし、君達を警備と調査に参加させる理由にはならんだろう?」

 

確かにそうだ。しかし櫂はその表情を崩さずに、懐からリングを取り出した。

 

「これはウィザードリングという。奴はこれと同じ物を持っている。つまり、俺達は奴と同じ力を使える。しかも奴は俺達以外に倒せない。意味が分かるか?」

 

「なるほど、それが理由か。分かった。君達に警備と捜査を依頼しよう。報酬は?」

 

「今回狙われている、悪霊の眼球だ」

 

え?なんでそんなもの要求するんだ?そもそも、報酬なんて貰って大丈夫な物か…。

 

「あれは普通の人間の手に負える物じゃねぇ。いずれ膨れ上がった力が爆発するだろうな」

 

「だから渡せと?あれは私の家が代々受け継ぐ物だ。そう簡単には渡せんよ」

 

二人の会話は、互いに何処か含みのある言葉ばかりだ。恐らく、互いに互いを試しているんだろう。

 

「なら、何をご所望だ?」

 

「実は、数日前から娘が寝込んでしまってね。しかしどうも病気ではないらしい。いくら診察しても、身体は完全な健康体らしい」

 

「それを、俺達に何とかしろと?」

 

「あぁ、それが出来れば君達に譲ろう。正直言うとあんな宝石一つより、娘の命が惜しいんだ」

 

いい人だ。俺はそう思った。きっとこの人の娘さんは、幸せだろうな。

 

「分かった。だが、俺達にも行かなきゃならない場所がある。予告は明日の太陽が真上に登りし時、だったよな?」

 

「あぁ、それまでに戻ってくれるならば、幾らでも待とう」

 

「ありがてぇ。行くぞ一夏。少しでも時間が惜しい」

 

「あぁ、分かった」

 

俺は一礼して社長室を出た。そしてテレビ局から一番近い駅で千冬姉達と合流した。




今回出てきた社長は完全にオリジナルです。
建物はまぁ……あれですけど
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