インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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語られた真実

「さて、竜川。いや、櫂」

 

「ほい」

 

「訳を聞かせろ」

 

「へい」

 

こいつは、真面目に聞く気は無いのか!

ちなみに時刻は夜。ここは職員寮の一室。織斑千冬の、つまり私の部屋だ。今はここで櫂と二人だけで事情聴取だ。二人だけ………はっ?!私は何を考えている!相手は櫂なんだぞ?!

 

「おーい、どったー?」

 

「はっ!…んんっ!とにかく、質問だ。今日決闘で使った機体は何だ?確かウィザードとか言っていたか」

 

「いやいや、言ったじゃん?魔法だよ」

 

「ふざけるな」

 

こいつは、私の気も知らないで。お前が魔法使いなら、私は!

 

「ふざけてねぇよ。魔法は本物だ。オルコットのあれ見ただろ?」

 

「決闘の後に出来たヒビの事か」

 

「そそ。あれはオルコットが魔力を持っていた証拠だ」

 

「なるほど。しかし、条件無しにはあの状態にはならんだろ?」

 

「流石世界最強(ブリュンヒルデ)。鋭いな」

 

いつもならここで「茶化すな」と言う所だが、今日は抑えて聞き手に徹する。

 

「あれは内側から魔力が本体を壊そうとして生まれるんだ」

 

「本体を?なんだ。魔力に意思があるとでも言うのか?」

 

That's right(あたり)…と言いたい所だが、半分不正解。意思は”ある”んじゃなくて”生まれる”んだ」

 

「生まれる?」

 

「魔力を持つ人間はある条件を満たして絶望すると、魔力を抑える力が弱まる。リミッターの弱まった魔力は力が高まり、そして意思を持つ。そして人間の支配を抜け出して、体を得ようとする。そしてその力に耐えられなくなると、人間は死んで、怪物ファントムの誕生って訳だ」

 

正直、嘗めていた。ただ魔法が使える様になるのだと思っていた。絶望するだけで魔法が使える様になるのなら安い物だ。だが、そこに死という対価がつき、更に自分の体は怪物になる。それでは何の意味も………いや待て。待て待て!

 

「ならお前は何なんだ!」

 

「あぁ、やっぱりそうなるよな」

 

「答えろ!お前は人間なのか?違うのか…。もしお前が怪物なら、私はっ!」

 

…お前を殺さなければいけない。

 

「残念ながらどっちでもねぇ。どっちかって言うと人間だけど」

 

「どういう、事だ?」

 

「俺の中にはファントムがいる。自力の魔力とコイツで抑えてんだよ」

 

そう言って櫂は自分のベルトの手の装飾を叩いた。

 

「こいつはウィザードライバーって言って、俺の魔力を使って指輪の魔法を開放する為の道具だ」

 

「何処で手に入れた」

 

「始まりのあの日に。儀式場で」

 

「始まりのあの日?」

 

「覚えてるか?二年前の集団行方不明事件」

 

「あぁ、私と一夏がモンド・グロッソでドイツに行っている間に起こった事件だな。それがどうしたんだ?」

 

「あの時行方不明になった人の中に共通点のある人は殆ど居なかった。あっても些細なものだ。表向きには、な」

 

「まさか!」

 

私は先程の櫂の言葉と今の言葉が結びつき、恐ろしい可能性を思い浮かべた。

 

「今度こそThat's right(あたり)だ。全員の共通点、それは全員がファントムになるに足りうる魔力を持っていた事だ。そしてその時に”俺達”は儀式の実験台にされて、化け物に変えられた」

 

「俺達?まさか、お前もその犠牲者なのか?そして、その時には魔法を持っていて絶望しなかったのか?」

 

「また半分正解で半分不正解。俺はその時ただの中学二年生だよ。俺は魔法があったから絶望しなかったんじゃない。絶望しなかったから魔法が手に入ったんだ。だから魔法使いになれたんだ」

 

櫂の言葉に、私は驚愕した。私達だけが苦悩しているのだと思っていた。だがこいつは、私と一夏が比にならない程の、まさしく絶望を味わっていたと言うのか?何故こいつなんだ!私でいいだろ!私に魔力が無いからか?そんなの関係無いだろ!

 

「まぁ、俺が巻き込まれた事は別に良いんだけどな。プラスもあったし」

 

「ふざけるな!」

 

つい大声を上げてしまった。だが一度溢れた感情は止まらない。これでは一夏の事を言えないな。

 

「お前は分かっているのか?!一歩踏み違えば化け物になる所だったんだぞ!なのに何でお前はそんなに平気なんだ!」

 

「平気?んな訳ねぇだろ」

 

突如私の心に刺さったのは、櫂にしては珍しく低く唸る様な声だった。

 

「目の前の人達が怪物になっていって、自分の体もひび割れていって、それでも!絶望なんかしてる暇ねぇんだよ!俺は死んじゃいけねぇんだよ。他の死んだ人達の為にもな」

 

「………櫂」

 

「わりぃ、今日は帰るわ。明日また話す」

 

「あっ………待って、くれ…」

 

私は馬鹿か?傷付かない筈が無い。いくら櫂でも、心はまだ中学生だったんだぞ?

 

私の制止の声を聞かずに、櫂は寮へと帰っていく。私は自分の愚かさを、酷く憎んだ。

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