インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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特別編 part.15 テメェの限界

「ん、んん……ハッ!」

 

俺の視界に光が差し込む。それと同時に、俺は顔を顰めた。

 

「あ、一夏、大丈夫?」

 

視界の端から声が聞こえる。その声の主を探すと、すぐ隣だった。

 

「シャル?」

 

「一夏、あれから半日も寝てたんだよ?急に倒れて心配したんだから!」

 

心配、かけたのか。けど半日って事は、もう決闘まで時間が無いか。まずいな。

 

「シャル、櫂は?」

 

「一階でゲームしてるよ」

 

「心配しろよ……」

 

幼馴染の親友より出会ってそんなに経ってない友達の方が心配してるってのはどうかと思う。いや、マジで。

 

「いや、櫂なら「アイツならどうせ大丈夫だろ」って言ってたよ」

 

「複雑だわ」

 

信頼されると喜べばいいのか、それとも放っておかれてると嘆けばいいのか。

 

「とりあえず一回に降りるか。って言うか、ここどこだ?」

 

今まで忘れていた。ここがどこか俺はまだ知らない。

 

「あぁ、ここは櫂の家だよ」

 

「ふーん」

 

櫂の家か。なら櫂がゲームしてても不思議は…………ん?

 

「櫂の家?!」

 

「え?うん。どうしたの?」

 

櫂が家に人を上げた?そんな馬鹿な。小学校と中学校の間では、櫂の家は絶対に入れない城塞だって言われる程櫂は人を家に上げなかったのに、なんでだ?!

 

「とりあえず下に降りよ?分からない事は櫂に聞けばいいじゃない」

 

「それもそうだな。とりあえず降りよう」

 

とにかく今は、櫂に現状とか色々聞かなきゃいけない。俺達が一階に降りてリビングと思われる部屋に向かうと、中から多分ゲームの音と数人の声が聞こえた。

 

「あっ、お前そこ撃てよ!」

 

「仕方ないでしょ!私初めてなのよ!」

 

「これなら勝てますわ!」

 

「おいセシリア!それは私だ!」

 

なんか、人が倒れたのにめちゃくちゃ遊んでるじゃねぇか。

 

ガチャッ

 

「ん?おぉ、起きたのか一夏。っておい!今攻撃するのは無しだろ!」

 

何をやってるのかと思えば、最近発売されたばかりの『バンバンシューティング』っていうゲームだ。ここの開発したゲームは基本的にバカ売れする。近い内にバンバンシューティングともう一つの『タドルクエスト』の続編が発売されるらしい。もう予約分は完売。店頭販売も一時間も他の保てるか分からないらしい。

 

「櫂。お前なんで俺達を家に上げたんだ?あの頃は嫌がってたろ」

 

「は?理由なんてねぇよ。ただ俺達の立場上病院使えねぇからここに来たんだよ……証拠隠滅も終わったしな」ボソッ

 

「え?なんて言った?」

 

最後だけが聞き取れなかった。櫂の近くにいた皆も同じらしく、皆が聞きたそうな顔をした。

 

「は?何も言ってねぇよ。耳おかしいのか?お前ら」

 

不自然だ。今までならなんとも思わなかっただろうけど、今のは明らかに不自然だ。コイツのこういう態度は信頼とかから来るんだと思ってた。けど、今ならハッキリと言える。違うんだ。

 

「うっせぇな。とりあえず俺にもやらせろよ」

 

「ほらよ。変われ」

 

コイツは何か隠している。けど、良いんだ。櫂が話したくないなら別に。

それから俺達はゲームで盛り上がった。その間に代わる代わる作戦を立てたりしていた。そして、俺は少しトイレに行きたくなり、席を外した。そしてリビングに戻ろうとした時、ふと目に一つのドアが映りこんだ。

 

「なんだ?」

 

不思議と、俺はそのドアに引かれた。何故だか分からないけど、俺はこの先にある何かが見たい。

 

「ったく、一夏遅せぇぞ!どんだけトイレに………おい、お前、なんでその部屋が見えてんだよ」

 

櫂の声が聞こえる気がする。けど、今はどうでもいい。この扉を開けて、この先にある物を。

 

「おい!やめろ!その部屋を開けるな!」

 

ドタドタと音が聞こえる。音が近付いてくる。まぁ、どうでもいいや。

 

ガチャッ

 

俺の目の前には、赤で染まった部屋があった。厳密に言えば違うが。色々何色があったが、特に赤が多かった。それも、他の何かを描く様に付いているのではなく、ただ、飛び散った様に壁や地面。そして天井にこびりついていた。

 

「え?」

 

そこで俺は、自分が何をしているのか分からなくなった。けど、目の前のこの光景に、俺は感じた。

 

ここで、人が苦しんだんだと。

 

「おい!出ろ!」

 

櫂が俺を部屋から引っ張り出した。それと同時にドアを閉める。けど、俺は咄嗟に部屋の中にあった一つの箱を取り、コネクトの魔法を常時繋げている懐に忍ばせた。

 

「お前、見たのか。この中を」

 

「見た。なんだよあれ」

 

「忘れろ。あれはなんでもねぇ」

 

櫂も俺も、言葉が単調になる。互いに焦っていた。少なくとも俺は、自分の行動に。

 

「あの赤いの何だよ」

 

「ペンキだ」

 

「んな訳ねぇだろ」

 

「証明出来んのかよ」

 

櫂の声色が段々と怒りに染まる。だが、俺も譲れない。こればかりは聞かなきゃいけない。

 

「じゃあ、あれは一体なんなんだよ!血だろ!誰の血だよ!お前のか!お前の父さんのか!」

 

「黙れぇーーーー!」

 

〈フレイム・プリーズ〉

 

「断る!」

 

〈ダーク・ナウ〉

 

ドカァアンッ!

 

衝撃波が空気に迸る。家の中だろうと関係無い。今はコイツの口を割る!

 

「うおら!」

 

「シャラァ!」

 

二つの力がぶつかる。異変に気が付いたのか、リビングから皆が飛び出す。

 

「おい、お前達!何をしている!」

 

千冬姉が怒鳴る。だが、俺も櫂もそんな声に聞く耳なんて持ってない。

 

「聞き出す!」

 

「忘れさせる!」

 

相対する二つの意思。交わる事の無い感情。人間はこういう状況に陥ると、必ずとる行動がある。

 

「何があった!」

 

「教えねぇよ!」

 

相手を殴る。物理的か精神的か、それは問わずとも。

 

「あぁクソ!リングあるから殴りづれぇ!」

 

「変身解くか!」

 

「それしかねぇな!クソが!」

 

俺達は変身を解いた。衝動的にしただけだったから別にすぐに解いたな、とかは思わなかった。

 

俺達はリングを外して殴り合った。けど、変身を解いた瞬間に俺達二人の顔が歪んだ。拳の形に。

 

「いい加減にしろ!」

 

「「ゴバァ?!」」

 

多分、千冬姉だ。声的に。けど、ここまで本気で殴るか?めちゃくちゃ痛てぇぞ。

 

俺達の意識はそこで落ちた。またかよ………。

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