インフィニット・ストラトス 世界への反抗 作:鉄血のブリュンヒルデ
ここはウィザーズの小型拠点。俺達はそこの会議室を使わせて貰っている。
「本当にすまなかった!娘の為だとしても、私は、取り返しが付かない事を!」
社長が俺達に向って土下座をする。
「頭上げろ。何もテメェが全部悪いわけじゃない。まぁ、事が済めば償って貰うがな」
ここで慰めを入れないのが、なんとも櫂らしい。恐らく、慰めが本人の為にならない事をよく理解しているのだろう。
「しかし、これからどうするんだ。奴を探す手がかりは無いんだぞ」
「簡単だ。世界が一つになろうとする瞬間、奴は必ず現れる。そこを狙えばいい」
「いや、それでは世界が滅んでしまうだろう」
「完全に溶け合う前に終わらせればいい。それで全て解決だ」
だいぶ無茶な作戦だとは思う。けど、それしかないなら、やるっきゃない!
「やろう!この世界を救うんだ!俺達の手で!」
俺が言うと、全員の目に闘志が宿る。
「フッ、言うようになったじゃないか」
千冬姉が少し笑いながら壁にもたれていた背を離す。
「今回、我々は独自に動いている。この事を軍に話しても協力を仰げるかどうかは分からない。それ以前に、信じられるかどうかも危うい。つまり、我々が用意出来る戦力はここに居る人間だけだ」
「俺達以外に世界は守れない。俺達が負ければ世界が終わる。いいか。俺達は絶対に勝つんだ。それ以外は認めない」
櫂の強い言い方にも意味があると、知っているからこそ俺達はその言葉を受け止めた。
「俺があの世界の内一つの奴と会話が出来る。ソイツと同時に世界に干渉出来る力を放つ。そうすれば、世界は一時的に混ざり合った瞬間が生まれる。その間に奴を片付ける」
作戦は、言ってしまえば簡単に聞こえた。だが、極めて難しい作戦だという事はしっかりと理解した。
「メンバーを選別する。基本的に専用機持ちには露払いを頼みたい。晴香はもしもの時の為にいつでも避難させられる様に準備を整えておいてくれ。千冬はその付き添いだ」
「分かった。けど、基本的にってのは?」
鈴がそういって問う。櫂は鈴の方を向きながら応えた。
「恐らくは敵が出たとしてもグールだ。それが終われば避難誘導に加わってくれ」
「そういうことね。分かったわ」
鈴は納得した様に一歩下がった。
「僕は?」
「シャルロットは一夏のサポートだ。恐らく奴は俺と一夏を真っ先に潰そうとする。なら、経験の少ない一夏じゃすぐにやられちまうからな」
確かにそれが一番得策かもしれない。俺がそれを聞いてシャルの方を向くと、シャルも力強く頷く。
「わ、私はどうすればいい」
その時、隣の部屋で寝ていた筈の箒が扉にもたれながらも歩いていた。
「ばーか、休んでろ」
「しかし!私だけが何もせずに見ているなど!うぅっ!」
その時、腕に巻かれた包帯に血が滲んだ。
「おい、落ち着けよ。こんな怪我じゃしょうがないだろ。ていうか、その怪我は俺達が原因だ。その分はしっかり俺達で戦うさ」
俺は箒の血の滲んだ部分をそっと撫でながら言う。
「お、おい、汚れるぞ」
「何言ってんだよ。俺達の為に傷ついて流した血だ。汚くなんてねぇよ」
「っ!ば、馬鹿かお前は!何を言っている!」
ん?なんか箒の顔が赤いぞ?………なんだ?この漂う冷気みたいなのは!
((((((呆れた…))))))
「まぁとりあえず、明日の準備しよーぜ」
「そうね」
「鈴、フォーメーションの確認しよ」
「いいわよ」
櫂の一言で視線が散る。けど、まだ一方向からの視線が……。え、シャル?
(一夏ってああいうこと誰にでも平気で言っちゃうんだ。フンッ)プイッ
あ、顔そらしてどっか行った。なんなんだ?
ま、まぁ、そんなこんなで、決戦に向けて準備を着々と進めるのだった。
コラボ回が近付いて来る………緊張がえげつない……。