インフィニット・ストラトス 世界への反抗   作:鉄血のブリュンヒルデ

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蘇る想い

「ウォォォ!」

 

「フンッ!」

 

俺の放った拳が、真木さん…恐竜グリードの拳と衝突する。威力はほぼ互角。ただ、メダルが倍ある恐竜グリードの方が、少し上だ。

 

「ハァ!」

 

俺は更に左手で恐竜グリードのメダルを奪おうと手を伸ばす。

 

ガシッ

 

「二度も同じ手は通じませんよ」

 

だが、それは恐竜グリードの左手に阻まれる。

 

「火野!」

 

バンバンバンッ!

 

「ッ!」

 

恐竜グリードの左手に後藤さんの放った攻撃が命中した。あまりダメージは入ってないけど、一瞬だけ怯ませる事が出来た。俺はその隙に恐竜グリードから素早く離れた。

 

「ありがとうございます、後藤さん」

 

「いい。それより、勝てそうか?」

 

「少なくとも、やっと手が届きました。後は、掴むだけです」

 

でも、それが一番難しい。どれだけやっても、やはりオーズは三枚のメダルしか使えない。完全態のグリードと戦う時には伊達さんや後藤さんのサポートが不可欠だった。

恐竜グリードは、不完全態でも通常の完全態グリードを圧倒できるくらいの力を持っている。プトティラコンボもそれは変わらないけど、やはりメダルの枚数は戦力差としては大きい。それが、大きな力を持つメダルなら尚更だ。

 

「後藤さんは援護をお願いします。奪えなくても、せめて砕くくらいはしたいので」

 

「あぁ、分かった」

 

弱体化させてからじゃないと、倒すのは難しい筈だ。だから、必死で食らい付く。

 

「ウオォォ!」

 

「馬鹿の一つ覚えですね。またこのメダルの衝動に支配されましたか」

 

「違います!俺はもう、力に呑まれたりしない!アイツが安心して蘇れる場所を護る為に、俺は貴方を倒す!今の俺には、その為の力がある!」

 

俺は、仮面ライダーとしてだけじゃない。アイツが……アンクが蘇った時に、また面白そうに笑う顔を見たい。その為にも、負けられない!

 

「諦めなさい。今の君では、私を倒す事は不可能です」

 

そう言いながら、恐竜グリードは腕を振るう。俺はギリギリでそれを避けて、更に攻撃を仕掛けようとした。けど、その時だった。

 

「っ?!グアァァ!」

 

俺の体を、鋭い痛みが襲った。まるで、体の中に稲妻が走っているみたいな。

 

「どうやら、力が大きすぎたようですね。好都合です。フンッ!」

 

ドカァァァァン!

 

「グアァァァァ!」

 

俺は恐竜グリードの放った紫炎に直撃して、吹き飛ばされた。そしてその際に、三枚のメダルを落としてしまった。

 

「く、そ!」

 

俺は這いずりながら、それを掴もうと手を伸ばした。だが、その手を誰かが踏みつけた。この状況で誰が踏みつけたかだなんて、火を見るより明らかだ。

 

「メダル、返してもらいますよ」

 

恐竜グリードはメダルを拾って、それを体内に吸収した。

 

「……ヌゥンッ!」

 

ゴォォォォォォォォ!

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

俺はそれにより生じた余波で、地面を転がった。

 

「さて、それでは……貴方に、良き終末を」

 

恐竜グリードは俺の胸倉を掴んで持ち上げる。

 

「火野ぉぉ!」

 

〈セル・バースト〉

 

ズドォォォォォォォン!

 

後藤さんが恐竜グリードの背中に強力な一撃を撃ち込んだ。

 

「……その程度ですか?」

 

「クッソ!何度でも!」

 

後藤さんがセルメダルを入れ替えてもう一度放つ。

 

〈セル・バースト〉

 

ズドォォォォォォォン!

 

「効きませんよ」

 

恐竜グリードが無造作に手を横に振る。すると、地面から屑ヤミーが湧き出た。

 

「クソッ!邪魔だ!」

 

後藤さんがそれらを倒しながらこっちに突っ込んでくる。

 

「おい映司」

 

「っ!」

 

その時、声が聞こえた。恐竜グリードが驚いてる。ってことは、幻聴じゃないな。けど、この声何処かで?

 

「相変わらず毎度毎度ボロボロだなぁ」

 

懐かしい声だ。俺がずっと求めてた声だ。俺が、取り戻したい声だ。

 

「まさか、あなたも記憶から生まれたのですか?」

 

「さぁな………おい映司ィ!起きろ!」

 

「っ!」

 

なんか、手が離された。地面を転げて、止まった。あぁ、誰かが見下ろしてる。

 

「アホ面は変わらねぇなぁ」

 

うるさいなぁ。いったい誰だ?

 

「起きろ!」

 

そう言いながら乱暴に腕を引っ張って立たせられた。

 

「もう少し丁寧に立たせてよ、アンク」

 

アンク?俺は何を言ってるんだ?アンクのメダルはまだここに……まさか、アンクも?

 

「記憶?」

 

「俺が知るか」

 

「なんで知らないんだよ」

 

「気が付いたらそこに居たんだよ」

 

 

…………………………

 

 

「ウオォォォォォ!」

 

「ハアァァァァァ!」

 

ガキィィィィンッ!

 

俺と戒斗の武器がぶつかる。その衝撃が空気を震わせ、辺りの崖を崩していく。

 

「戒斗!なんであんな奴の言う事聞いてんだ!お前が記憶から生まれていても、抗えた筈だろ!」

 

「下らん!俺は貴様と戦えるのならそれで構わん!」

 

「この分からず屋が!」

 

ガキィィンッ!

 

またぶつかった。何度も何度もそれを繰り返し、先によろめいたのは俺の方だった。

 

「…………何故だ。何故本気で戦わない!」

 

そう。おれはまだ最強の力を使っていない。カチドキじゃ勝てないって、分かってても、俺には使えなかった。

 

「俺は!お前を倒したくないんだ!あの日お前を殺して、知恵の実を食べた。そしてヘルヘイムを全く違う星に移して、世界を救ったって思ってた……けど!死んだ皆を、俺は助けられなかった。最後に、お前も殺して、舞と二人でオーバーロードになった。でも!やっぱりそれじゃダメなんだ!誰も傷付けたくないんだ!」

 

「……下らん。フンッ!」

 

「グアァァ!」

 

戒斗が放った攻撃が、俺を弾き飛ばした。

 

「貴様には呆れたぞ!お前は真の強者だと思った俺の判断は間違っていた様だな!」

 

戒斗はそう言いながら俺に背を向けた。

 

「戒斗、どこに行くつもりだ!」

 

「お前が戦う気が無いなら、俺はあの世界を破壊する!この世界を守る為には、それしか道は無い!」

 

あの世界を、破壊する?それじゃあ、櫂達の世界が消えちまう!

 

「ダメだ戒斗!そんな事したら、この世界まで消えちまうかも知れないんだぞ?!」

 

「消えればその程度の世界だったというだけだ」

 

コイツは、まだ、そんな事言ってんのか!

 

「そんな事ぜってぇさせねぇ!」

 

〈フルーツバスケット!〉

 

「もうお前に、そんな事はさせない!」

 

〈ロックオープン!〉

 

その声と共にクラックが開き、そこから大量のアームズが降ってくる。

 

〈極アームズ!大・大・大・大・大将軍!〉

 

そして俺の体に引き寄せられて弾ける。そして俺は、禁断の力を解き放つ。

 

「ここからは、俺のステージだ!」




今回まではこんな感じですが、次回からはコラボラッシュとなります!今までお待たせして申し訳御座いません!次回からはばんばんコラボを回収していきますのでそれまでお待ちください!

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