「やっと来たか一夏ぁ…!」
一夏は遂に海へとやって来てしまった、ビーチは既に劣情に満たされていた。頭の中真っピンクの生徒達は、下卑た視線を容赦なく一夏へと浴びかかる。
一夏の素肌の上に着たパーカーの中は暑さと緊張で汗に濡れ、パーカーの生地が一夏の柔肌を刺激した。紅潮する一夏の表情が生徒達の欲情を更に煽る。
「織斑くぅんどうしたのぉ…?顔真っ赤だよぉ……?」
「暑いならそのパーカー脱いだらぁ………?」
「恥ずかしいのぉ?織斑くぅん」
やたら粘着質な視線が一夏の躰に絡みつく、まるで視線だけで犯しているようだ。
もし彼女たちに男性器が備わっていたなら、今頃一夏の服を無理矢理剥ぎ取りマワしているだろう。そうさせるだけの色香が今の一夏にはあった。
「さあ一夏!脱げ!!男なら全てをさらけ出せ!!!」
声高らかに叫ぶ箒、背筋を伸ばし、凛とした声で一夏に呼びかけるその姿は見るものに一種のカリスマ性さえ感じさせた。目が情欲で黒々としていなければの話だが。
「全てを見せろ一夏!!胸、乳首!尻、ち………局部!!全てをさらけ出せ!!安心しろ一夏、ここには私たちだけしか居ない!だから全てを見せろ!!」
何が安心出来るのか。
「あの…脱ぐから、さ…」
「んんっ!?どうした一夏ぁ…」
「どうしたどうした織斑ぁ」
「はぁはぁはぁっ………!」
鼻息荒く一夏を取り囲む生徒達、彼女らは剥き出しの性欲を隠そうともせず一夏へとにじり寄り、重圧を掛けていく。その様はまさに獲物を集団で追い込む肉食獣のそれだ。
「脱ぐからっ!だからちょっと離れてくれよ…」
「えぇ!?どうしてぇ」
「私たちはただ織斑くんの水着姿を間近で見たいだけなんだよ…」
「そうそう…」
手を伸ばせば触れられる程一夏に接近する彼女達、もう既に欲情で理性は溶けていた。彼女らの脳内を支配するのは己と一夏が交わる情景のみだった。
「みんな見たいんだよ!織斑くんの水着姿が!!」
熱の篭った叫びにたじろぐ一夏、もう逃げ場はない。退路を塞がれた哀れな獲物を煽り立てるかのように、マスター布仏が号令を下す。
「おりむーの水着姿が見たい人ー!挙手ー!」
「はい!」
「はいはい!!」
「はいはいはい!!」
まるで授業参観日の小学校低学年のように元気よく手を掲げる生徒達、その熱気はまさに狂信者のそれだ。
本音は更に生徒達に号令をかける。
「じゃあおりむーの水着姿が見たくない人ー!挙手ー!」
「…」
「……」
「………」
先程の元気は何処へやら、まるで電源を落とされたかのように一斉に沈黙する生徒達。先程まで目に滾っていた熱狂が嘘のように目が死んでいた。
「わかるおりむー?ココに居る人みーんなおりむーの水着姿が見たいんだよー…!」
両手を広げ一夏ににじり寄る本音、言葉一つで生徒達をコントロールする様は独裁者のようだ。
もう逃げられない。一夏は悟った、気付くのが遅かった。
「…わかった…」
パーカーのジッパーを左手の指で挟む一夏、観念したかのようにゆっくりと、それを下まで下げていく。
ジリリリリリリリリ…
先程までの熱狂が嘘のように静まり返っていた。寄せる波の音と、生唾を飲む音と、ジッパーを下げる音だけが砂浜に響く。
皆釘付けだった、パーカーの隙間から露になる、汗に濡れた一夏の肌に。身悶え、羞恥に染まる一夏の表情に。
「んっ…」
既に何人かの生徒は極度の興奮で膝をついていた、肩で息をする彼女たち。ここで気をやる訳にはいかない、一夏の水着姿を見るまで倒れるわけにはいかない。
そして一夏の足元にパーカーが落ちた、もう一夏の上半身を隠すものは存在しない。遂に太陽の下に一夏の肌は晒された。
そこにあるのは、黒のローレグ水着を着た少年の、極上の裸体だった。
黒の水着は一夏の白い肌に映え、タイトなサイズではあったがギリギリ食い込みながらも尻を隠せていた。
右側の鼠径部には虹色のラインが三本絡みつく様な模様を描いたデザインが入っており、見るものにセクシャルな印象を抱かせた。
日々の訓練により形造られた、無駄な贅肉のない、それでいて余計な筋肉もついていない、理想的な美しい胸板と背中は発汗して濡れており。そこから流れ落ちた汗が水着に染み込み、形の良い尻のラインをより一層引き立てる。
降り注ぐ視線に耐えきれなくなった一夏の顔は真っ赤になって目線を逸らした。
まるでエロ本から飛び出して来たような一夏の姿に生徒達は歓喜した。鼻血が噴き乱れ、何人かは気絶している。
そんな死屍累々の状況下に置いても鋼の精神で意識を保ったのが1年1組の精鋭たちだった。
「織斑くん恥ずかしがる事ないよぉ」
「そうだよ織斑くん…」
彼女たちの目は最早人のそれではなかった、目を見開き、瞳孔を限界まで拡大させたその姿はネコ科の肉食獣を思わせた。
「織斑くん恥ずかしがってるけどさぁ…自分で選んだんでしょその水着…」
「お尻食い込んじゃってるよ水着…見られたかったの?」
「ちっ…違…!」
クラスメイト達は一夏を弄りつつも”次”への準備をしていた。一夏の躰に合法的に触る、”次”への伏線を…
「あ、織斑くんさ!まだ日焼け止め塗ってないでしょ?」
「あ…そういえば…」
「だったらさ!私たちが塗ってあげようか?」
日焼け止め、それは夏場の女子達に欠かせない必需品だ。紫外線による肌へのダメージを軽減し、白い肌を保つ為の物だ。
そして彼女らはそれを今日、有効活用すべく動いていた。
「そういえば俺、日焼け止め持ってくるの忘れてたな…」
「でしょー織斑くん、だから私達のを塗ってあげる!」
「お、おう…」
一夏は気づかなかった、この安請け合いが彼女達の狂気を更に加速させることに…
短いけどどうしても今日中に投稿したかったのでここで投稿します
夏は紫外線に気をつけないと