織斑一夏はIS学園のセックスシンボルだ   作:桃次郎

13 / 34
おまたせ、本編しか無かったけど良いかな?


魅惑のオトコ

一夏達が臨海学校を満喫していた頃とほぼ同時刻、アメリカ合衆国某州、某所、人里離れた荒野地帯にぽつんとその施設はあった。砂埃で煤けた看板には気象観測所と書かれており、その施設の持つ価値がそれ以上でも以下でもない事を対外的に示していた。

 

「来たか…」

 

施設のメインゲートの窓口にて門衛を勤める黒人の男が小さな声で呟いた、その表情は勤務の退屈さを隠そうともしない。持参のラジオから流れる素人臭さの抜けきらない田舎DJの段取りの悪い喋りが暑い陽射しに伴う不快感をより一層深める。男の視線の先には白い大型トレーラーが黒塗りのSUV二台に率いられて、今まさに施設のゲート前に差し掛かるところだった。

 

「よう、調子はどうだ?」

 

「いいと思うか?」

 

トレーラーの運転手が呑気な声で門衛に話しかける、この運転と門衛は施設内への物品搬入の度に顔を合わせる顔なじみだった。SUVに乗っている人間もそうだ、搬入の際の人員はこの門衛がこの施設に配属されてからほぼ変わらない。

 

「また面倒そうなモン持ってきやがって」

 

「いつもの事だろ?そら、ゲートを開けてくれ」

 

「あいよ」

 

トレーラーとSUVはゲートを通過し施設内に入ってゆく。守衛は自分の左手首に巻かれた腕時計に目をやった、時計の針は門衛の勤務交代時間まであと1時間をきった所だった。

 

「あと57分…」

 

備え付けのソファーに深く腰掛けて再び田舎DJのラジオに耳を傾ける門衛の男、しかし暇だ。男は退屈しのぎにふと男は壁立てかけてある物へ語りかけた、漆黒のゴツゴツとした物へと。

 

「お前も暇だよなぁオイ」

 

M4カービン、アクセサリをふんだんに装着されたそれは壁際になんでもないような日用品の様にこの部屋の中に溶け込んでいた。気象観測所の警備員が装備する物にしては些か過剰な威力の銃火器だった。

 

 

 

 

 

「あのゲートは半ば飾りのようなものでね、チェックはこちらで行う」

 

仕立てのいいビジネススーツを来た壮年の白人男性がSUVの後部座席にて隣に座る女に話しかけた、美しい女だった。今は地味なスーツを着てはいるが着飾ればハリウッドスターにも引けを取らないのではないかといった美貌だ。

 

「すまないねナターシャ、君をこんな辺鄙な土地に連れてきてしまって」

 

「お気になさらないでください、室長」

 

施設内の暗く長い搬入用通路を抜けていくトレーラーとSUV、お互い退屈凌ぎに男とナターシャは話しを続けた。

 

「あの門衛は一般の警備会社の者ではありませんね?」

 

「よく気づいたね、あれはウチのOBが代表を務めているPMCの社員だよ、あのゲートだけじゃない。ココの警備員は皆そこの社員さ」

 

「随分と退屈そうでしたね」

 

「しょうがないよ、奴らは2年前まで紛争地帯で銃を振り回してた生粋の戦争屋共さ。血と火薬の匂いが身近になければ生きられない連中なんだよ」

 

「何故そのような者達をココの警備に?」

 

ナターシャの質問に痛いところを突かれたとばかりに苦い表情をする男、男は苦々しい表情で問いに答えた。

 

「苦肉の策だったんだよ、軍に警備を要請すれば何かと面倒だ、そこでウチのOBが立ち上げたPMCの人間を使う事にしたんだ。奴ら経歴の偽装は骨が折れたが、後々の事を考えたら安いもんさ」

 

「そこまで面倒な事をしてまで外部の人間を使うのだったらいっそ軍に警備を任せても良かったのでは?」

 

「そりゃ私もソレは真っ先に考えたさ、でも軍人ってガサツだしさぁオマケにしつこいと来た。1度でもヤツらに頭下げたら後は恩を返せと言わんばかりに難癖つけられて最終的に研究成果丸ごと持っていかれちまうのがオチだよ」

 

「それでこの施設を?」

 

「そう!だからわざわざこんな辺鄙な土地にIS専門研究施設なんて物を作ったの!全く、面倒ったらありゃしない」

 

アメリカ合衆国軍は現在、IS至上主義が蔓延する現代において唯一ISの研究には消極的な国だ。理由はただ一つ、陸海空軍並びに海兵隊、沿岸警備隊いわゆる「五軍」の各上層部が未だISに対して懐疑的な見方が強いからである。

 

「女しか使えない兵器に一体何の戦略的価値があるのか」

 

「なんだあの競泳水着みたいなスーツは、売女か」

 

「空飛ぶビッチ共に俺たちの空は渡さねえ!」

 

「500にも満たない兵器に国防を委ねろだと、正気か」

 

「戦いは数だよ!兄貴!」

 

IS台頭以前の男社会のまま、まるでシーラカンスのように変化を拒み、旧体制に固執する生きた化石というのが現在のアメリカ軍の現状だ、元より彼らはISに頼らずとも強大な軍事力を保有している。

軍は恐れているのだ、ISが軍に参入する事により自分たちがお払い箱になる事を。

 

そして米国政府の頭痛の種になっているのが、それら軍の維持費及び国防費の爆発的増加だ。これはIS台頭以前から政治家達が頭を抱えてきた難題だったが、近年のそれは最早、国を病む癌と言える程の深刻な問題となっていた。

 

IS発表直後、まず軍が危惧したのはISがテロへ悪用されないかだった。そしてその懸念は程なくして現実のものとなった。

 

『白騎士事件』

 

アメリカの同盟国である日本に向けて、2000以上のミサイルが撃ち込まれ、そしてそれら1機のISが尽く撃墜したあのふざけた事件だ。

 

あの事件以降、軍はISへの不信感をより一層強めた。

 

「ほら、俺の言う通りになったろ」

 

当時の空軍参謀総長がしたり顔で言い放った言葉だ。そして軍は政府に対して国防費とは別に「対IS使用テロ対策費」なるものを新たに要求した、その額は………最早口にするのも馬鹿馬鹿しくなる程の金額だ。

 

 

 

「室長!ナターシャも!そろそろ着きます、ご準備を」

 

SUVの運転手が後部座席で話し込む二人に声をかけた、二人はシートベルトを外しつつ出る準備をしながら会話を続けた。どうせこの後も暇なのだ、出来るだけ時間を潰したいのが二人の共通目的だった。

 

「軍拡を図りつつISの参入を阻止したい軍と、ISを国防投入し軍事費を浮かせたい政府、板挟みになる我々の身にもなって欲しいものだよ」

 

「大統領(プレジデント)は、どの様なお考えなのですか?」

 

「将来的には沿岸警備隊に数機ほど配備したいようだが、連中も強情だからなぁ…何時になるやら」

 

「はぁ…何だか不安です、私…この先軍でやって行けるか」

 

「オイオイ頼むよナターシャ、君は我がDARPA(国防高等研究計画局)の肝入りなんだ。軍からはそれ相応の階級を貰う予定なんだろう?」

 

「はい、この実験が無事に成功すれば…その後私は大尉『相当』の階級を貰ってそのまま軍に出向する予定です」

 

『大尉』外部から招いた人間に与える階級としては破格のものだろう。まあ出向したとして腫れ物扱いされるのは目に見えてはいるが。

項垂れるナターシャ、これから汗臭い軍人共に混じって仕事をするのかと思うと今からでも室長に辞表を叩きつけてやりたい気分だ。

 

「あー…もう、勘弁してくださいよ室長、何で私なんですかぁ…」

 

「仕方ないだろう、あのトレーラーの中のISのコアに最も同調したのが君なんだから」

 

彼女『ナターシャ・ファイルス』はあの白いトレーラーの中に鎮座している”半”自律戦闘用IS『シルバリオ・ゴスペル』のテストパイロットを若くして務める才女だ。

 

 

 

半自律戦闘用IS、それがあのトレーラーに積まれた荷物の正体だった。前文において説明した軍と政府の確執によって生まれた鬼子だ。

これは簡単に説明すると『状況により有人操縦、自律戦闘を任意で選択する事が出来るIS』である。

 

このISが誕生した経緯はプロジェクトXも真っ青なドラマティックな制作過程を経ているがココでは割愛させてもらう。そろそろ作者が書くのに飽きてきたからだ。

 

 

 

 

 

「で、これがあの子に搭載するコア(人工知能)ですか…」

 

「あぁ、まっさらな状態の赤ん坊さ。これからこの赤ん坊の教育を我々で行うわけだ」

 

今回行われる研究はコアに様々な情報を与える事により人工知能の発育を促すというものだ。ナターシャはおもむろに持参のタブレットを取り出すとある画像を液晶画面に写した。

 

「ナターシャ、それは…?」

 

「今回の実験の為にティナに……後輩から貰った写真です」

 

「そうか、君はIS学園のOGだったね」

 

タブレットの画面には織斑一夏の写真が映し出されていた、ナターシャは更に画面をスライドさせる。随分と大量に送ってもらったようだった。

 

「コレとかー…あとコレとか!実験に使えると思うんですよねー、どうですか室長!」

 

「随分と…こう、なんて言うか。刺激的な写真だね…」

 

先程の車内でのローテンションとは打って変わり、生き生きとしたテンションのナターシャに押されつつ室長は画像に対する感想を答えた。

画像の中には明らかに盗撮じゃないかといったアングルの写真もあったが、室長は敢えて口に出すことはなかった。

 

「早速この子のコアにこの画像を見せてみましょう!何か反応があるかもしれません!」

 

「あ、あぁ…」

 

「Hey!boy!」

 

同伴していた研究員へ、この画像を人工知能に見せるよう指示を出すナターシャ。研究員は内心引きつつも断らずに画像をコアへと送る、するとコアが早速反応を示した。

 

「反応ありました!」

 

「マジかよ」

 

「YES!」

 

コアには様々な言語の言葉がデジタル表記で洪水のように流れていく。やがてそれらの言語はひとつのモノへと統一されてゆく。

 

「言語がEnglishに統一されていきます…」

 

研究員が観測されたコアの反応を記録していく、室長とナターシャ、それに研究員たちはそれを固唾を飲んで見守った。

 

『Ichika Orimura………Ichika Orimura………Ichika Orimura………Ichika Orimura………Ichika Orimura………Ichika Orimura………』

 

『Ichika Orimura…Ichika Orimura…Ichika Orimura…Ichika Orimura…Ichika Orimura…Ichika Orimura…Ichika Orimura…』

 

『Ichika Orimura………………Ichika………Ichika……Ichika…!!!』

 

 

 

 

 

『Ichika………………………sexy』

 

 

 

 

 

地獄の扉が開いた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局癒子主催のビーチバレーはゲームとして成立せずにそのまま有耶無耶で終わってしまった。一夏はその後クラスメイト達と砂浜でつかの間のバカンスを満喫し。そして日は暮れ、太陽が月にバトンタッチをする頃、臨海学校に参加している一夏を含めた全生徒達は、数時間前まで教師達が酒盛りをしていた例の大部屋まで集まっていた。

 

「はーいみんな集まったかなー?」

 

学年主任は先程の酒の席での醜態が嘘だったかのように教師然とした態度で生徒達をまとめていく。その手腕は横から見ていた千冬や麻耶でさえ未だ及ばない、まさにベテランの手際だった。

 

(本当に酒さえ入らなければ教育者の鑑と言っても過言ではない人なんだが…)

 

千冬は先の荒れ狂う主任の姿と、現在の主任の姿を照らし合わせるが何一つ合致しなかった。ほんの数時間前に自分が目撃したあの酒に溺れた主任の姿は、自分が生み出した幻覚かなにかだったのではと千冬は思ったが、主任の吐く息に若干酒の匂いが混じっていたのを千冬の優れた嗅覚は嗅ぎ逃さなかった。

やはりあれは夢現ではなかったと千冬は否応なしにでも自覚させられる、千冬はため息を漏らしながら先程の主任との会話を思い出していた。

 

 

 

「チフユたんは恋人とかいるゥ!?」

 

「私はそのような者は…」

 

同僚たちに押し付けられる形で主任の相手をさせられる千冬、何が悲しくてこんな30半ばを超えた酒乱女の話し相手を自分がしなくてはならないのかと千冬は主任の話に適当に相槌を打ちながらこの地獄の酒盛りが早く終わる事を願っていた。

そんな千冬の態度がいけなかった、主任は突然立ち上がったかと思ったらおもむろに千冬のビキニのトップを剥ぎ取ったのだ。

 

「なぁっ!?」

 

「ちふゆたァん!!!」

 

女だらけの宴会に突如、異性はもちろん同性すら魅了する極上の女の裸体が献上された。揺れるバストが悩ましくも色めかしい。

主任の突然の凶行を同僚たちは呆気にとられ身動きが取れない。千冬は胸を左腕で隠しながら右手で奪われたトップを取り返そうとする。

 

「ちふゆたん私のお話ちゃんと聴いてよォ!」

 

「聴く!聴きますから返してください主任!」

 

「おぉー!いいぞー!ヤれー!」

 

トップレスで主任と格闘戦を繰り広げる千冬、嘗てブリュンヒルデの称号を手にした女と30半ばを超えた酔っ払っい女のキャットファイトは酒の席の余興としても滑稽極まりなかった。

 

「ひゅー!千冬おっぱいプルンプルン!!」

 

「あわわ…先輩のおっぱいがバルンバルン跳ねてます!」

 

「流石ブリュンヒルデ!乳揺れも世界一だァ!!」

 

そんなカオスな状況を酒の肴に同僚たちはますます酒を煽る、負のスパイラルは解決の糸口を見いだせぬまま、千冬が主任から水着のトップを奪い返してそのまま宴会から飛び出して締めとなった。

 

 

 

幸いにもあの場には教員しか居なかった為、千冬の痴態が生徒たちに知られる事はなかったものの。もし仮に生徒があの場面を目撃していればこの臨海学校の風紀と秩序は赤子が積木を倒すが如く簡単に崩壊していただろう、これ以上のモラルハザードを許すわけにはいかないのだ。

 

「さ、先輩も早く食べましょ!せっかくの豪華な食事です、早く食べないと勿体ないですよ」

 

「あ、あぁ…」

 

麻耶の言葉に現実に引き戻された千冬は、自分の席から少し離れた席に座り料理に舌鼓を打つ主任の姿を横目に箸を手に取る。千冬の胸の中では主任の放った一言が反響していた。

 

(彼氏…か)

 

織斑千冬は処女だ。男性経験など皆無、これは千冬の情報の中でもトップシークレットの情報だ。何せ一夏に人並みの生活をさせようと身を粉にしてこれまで働いてきたのだ、男にうつつを抜かしている暇などなかった。

 

そんな千冬だがかつて1度だけ、同僚に所謂『合コン』というものに誘われた事があった。千冬も初めての経験で、精一杯オシャレをし、合コンへと赴いた。

そして顔を合わせた男性陣からの質問が「やっぱり鉄とか斬れるんですか」だった。

 

千冬は数秒黙った後、静かに「…斬れます」とだけ答えた。

 

おぉー…と感嘆する男性陣を死んだ目で見つめる千冬、男たちの視線は魅力的な女性を見る目ではなく、熟練の技を持つ達人を見る目だった。

 

 

 

「先輩どうしました?具合でも…」

 

「いや…なんでもない…」

 

唐突に蘇った苦い記憶を再び脳の奥底へと沈める千冬、そうだ千冬、お前はまだ若い。私はまだイケると自己暗示を掛ける千冬。

その行為自体が既に後がない人間が行うものだという事を千冬は知る由もない。

 

 

 

そして遠く離れたアメリカでISが暴走を始めたというのは、もっと知らない。

 

 

 




投稿遅れてすみません!FGOが悪いよ、FGOが(責任転嫁)

文字数稼ぎと無人機騒動の導入部分をいっぺんにやろうとした結果がこれだよ!

そして本文の文字数が過去最高のものに…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。