「それでお前は妹に専用機を渡す為にここへ来たと」
「そ、そーです…痛い痛い……!!」
千冬渾身のアイアンクローを顔面に受け苦悶の表情で事の詳細を明かす束、額にめり込んだ千冬の五指が束の頭蓋を万力の様に締め上げる。そうやって暫く束をシメると千冬は束を解放した。束の顔には五つの跡がくっきりと残った。
千冬は箒の方へと向き直ると、箒へこのISをどうするのかを説いた。箒は言い淀むこと無く返答した。
「…篠ノ之。どうだ?その『紅なんとか』を装着するか?」
「はい!この『紅なんとか』を私の専用機とします!」
「紅椿ね…」
束は顔をさすりながら涙目で箒の専用機の名前を訂正する、自身会心の一作の名前を蔑ろにされ束は内心少し泣いた。
三人のやり取りを見ていた周囲の反応は人それぞれだ。
「篠ノ之さん専用機貰えるんだー」
「いいなー」
「織斑くん…!ハァハァ…」
「織斑くん………ウッ!」
尤も彼女達の目下の関心の大半は一夏にあり三人の事などほとんど見向きもしていなかったが。そんな人混みの中から我らがセックスシンボル一夏がタオルで汗を拭きながら束の前に歩み寄って来た。
「束さんお久しぶりです」
「やーいっくん!元気にしてた………!」
「?」
束は一夏を目の前にして硬直する、そんな束の様子を何事かと不思議そうな顔で見る一夏。
今の一夏の姿はとても扇情的だった、先程の鈴との模擬戦で汗を流し紅潮しており、乱れた頭髪と相まって何処か性的な印象を束に抱かせた。やめろいっくん小首を傾げるな、エロいだろ。
「………ふーっ…元気してた?いっくん」
「はい!」
暫しの硬直の後、束は改めて一夏へ挨拶を返した。初対面の人物ならばその一夏の発するフェロモンに気を失う所だがそこはかの天才篠ノ之束。天才故に一夏のフェロモンに見事耐えてみせた。
(篠ノ之博士凄い…!)
(織斑くんのフェロモンに耐えるなんて)
(流石天才…!)
周囲は束を凄いと褒め讃えたが本人は内心冷や汗をかいていた、一夏のフェロモンはかつて束が出会った子供の頃のそれとは最早別次元のものだった。
(…っぶねー…!エロいよいっくん)
一夏の今の姿と子供の頃の姿を脳裏で照らし合わせ、その成長具合に恐れをなす束。同時に束はこの猥褻物と共に暮らす周囲のIS学園生徒達にも畏怖を覚えた。このフェロモンに奴らは耐えているというのか。
(こいつら…出来る…!)
束と生徒達、互いの勘違いと勘違いは無言で交差し、思惑は巡る。その元凶である一夏本人を無視して。
「?」
束と生徒達に挟まれる形で立つ一夏は訳が分からないといった様子で首を傾げる。かわいい。
「ふふっ…待ってろよ一夏ァ…」
そして専用機が届き、粘着質な笑みを浮かべて喜ぶ箒。すっかり定着した水〇敬ランドみたいなきったない笑顔は彼女の整った容姿の尽くを台無しにしていた。
「一夏ァ!お前に模擬戦を申し込む!!」
「お、良いぜ!やろう」
「ヤろうと来たか…!積極的だなァ…」
箒の提案を快諾する一夏、箒の目は既に女子高生がするにしては生々しく。艶めかしかった。
それに本能的な危機感を覚えた束は咄嗟に箒を制止した。
「ほ、箒ちゃん!」
「んんっ?何だ姉さん」
「さすがにぶっつけ本番ってのも危ないしー…ここひとつ装備の確認も兼ねて性能テストをやってみない?」
「それもそうだな…」
「でしょ?そう思うでしょ?やろう、やろう」
「ヤ、ヤろうだなんて…姉さん、私にそんな趣味はないぞ」
「えぇ…」
束は妹との認識に深刻な落差を肌で感じつつも何とか箒を一夏から引き離す事に成功した。しかし所詮は時間稼ぎ、どうしたものかと頭を抱えていると人影が飛び込んできた。
「織斑先生!大変ですッ」
「どうした山田?」
「それが…」
副担任の真耶が持ち前のおっきなおっぱいをバルンバルン揺らして千冬の前に駆けてきた。しかし何てデカいおっぱいなのだ。
真耶は息も絶え絶えになりながらフラフラと千冬の元へと近づき、千冬に耳打ちをする。千冬の表情がみるみるうちに強ばった。
千冬は一瞬だけ、生徒達に見えないよう苦虫を噛み潰したような顔をすると生徒達に大声で宣言した。
「…只今をもって今日の訓練は終了とする!それから各専用機持ちはこの場に残るように!」
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『ICHICA…ココに…ICHICAが…!』
ほぼ同時刻、色欲に狂った『銀の福音』は愛する一夏の待つ日本に到達しようとしていた…
突貫工事でとりあえずここまで書いて投稿。
文字数の少なさをどうにかしたいけど文才ないからどうしようもない…
さて、いよいよ銀の福音と一夏達が激突しますね、一体どうなってしまうのか…そして一夏の貞操は守られるのか。次回をお楽しみに。