一夏とヤりたいという想いを力に変え、見事『銀蛸』を倒した箒。一夏を救出し粘液を洗うという名目で人気のない物陰に一夏を連れ込もうとするも、後から千冬が訓練用の『打鉄』に乗ってやった来た事でそれは未然に防がれた。しかし諦めきれない箒。
「千冬さん!やはり一夏の躰を洗うべきです!」
「だからそれは旅館に帰ってからで良いだろう!」
「だってこんなにヌルヌルなんですよ!?テカテカのヌルヌルで…ISスーツもボロボロで…!エッチなんですよ!?」
「意味のわからん事を言うな馬鹿!」
「…」
そして現在、千冬は箒と並行飛行をしながら言い合いをしていた。その腕には箒から先程ぶんどった一夏が申し訳なさそうにその身を縮こませている。
千冬は性欲の権化とも言うべき箒を抑えながら、何とか旅館まで辿り着くことに成功した。千冬と箒はそれぞれ展開していたISを解除すると、近くの砂浜へと降り立つ。
「ようやく到着したか…」
千冬は粘液濡れの一夏をお姫様抱っこすると、旅館に向かって足を運ぶ。それを箒が追い縋るようについて行く。
「一夏!すぐに温泉に浸かるぞ!!そのヌルヌルを洗い流してお前を…!」
「やかましいこの馬鹿っ!」
軽く手刀で箒の頭頂を叩く千冬、『銀蛸』討伐の最大功労者である彼女に流石の千冬も本気で叩いたりはしなかった。
「千冬さん!何なら私と千冬さんの二人で一夏を洗いましょう!二人で一夏を洗いながらあんな事やこんなを…!」
弟を性の対象としているなら別だ、本気の手刀を箒の頭頂に振り下ろす。まともに食らった箒はその場で悶絶する。公然と『3〇しましょう』と宣言する馬鹿の言葉を誰が了承するというのか。
「ほ、箒……大丈夫か?」
千冬にお姫様抱っこされながら遠慮がちに箒に言葉をかける一夏、かわいい。
「とりあえず私の部屋の風呂で洗おう、このまま人前に出すのは…あやうい」
「う、うん…」
幸いな事に生徒や教員、旅館の従業員も既に寝静まっており。千冬が予測していた混乱も生じずに無事に一夏を部屋の風呂まで連れてくる事が出来た。一度玄関に一夏を入れ、先に風呂に行かせると部屋で水着に着替えるとそのまま一夏の待つ風呂まで直行する。
幼い頃以来となる姉弟二人きりの風呂だ。二人とも、ここに至るまで終始無言だった。一夏にとっては羞恥プ〇イのそれであり、千冬にとってはこの歩く猥褻物を前に理性を保たねばならないからだ。
「ん…っ…千冬姉、そこは自分で洗えるから…」
「………ッ!!織斑ッ…先生とッ…呼べ…!!」
「う、うん…」
シャワーヘッドから出るお湯が一夏の柔肌を濡らす、『銀蛸』の粘液は粘性が強く、長時間のプ〇イを想定して『銀蛸』が自己精製したものだった。
(変な声を出すな…!)
一夏の躰を洗っている最中、千冬は物凄くムラムラしたが持ち前の自制心によりなんとか込み上げる欲望を解き放つことなく、一夏の躰を洗浄し追えた。
「ふぁ…ッ」
その後一夏は『銀蛸』の蹂躙を受けた疲れか、そのまま布団に倒れるように寝てしまった。浴衣を地肌に着て寝る一夏、裾から除く白い脚が千冬の欲情を更に煽り立てる。
(クソっ…こんなにやらしく育ちおって…!)
浴衣を着た一夏の今の姿は一挙手一投足全てが色香を放ち、千冬の理性を破壊せんとする。千冬は気力を振り絞り、掛け布団を一夏の躰に乱暴に被せると一息付ける。部屋に据え置かれていた座布団にどかっと胡座をかく千冬。ようやく訪れた平穏なひと時に安堵する千冬、ふと時計を見ると時刻は午前3時を回ろうとしていた。
「もうこんな時間か…」
千冬は今回の臨海学校をひとり反芻する、思えば今年の臨海学校は色んな事があった。興奮により暴徒化した生徒達を鎮めたり、酒に酔った学年主任に水着のトップを強奪されたり、一夏が無人機に触手責めにされたり。
「ろくなもんじゃないな」
教育の場で起こったものとは思えぬ数々の事件、暴走、淫行。 思い出すだけで千冬のこめかみに痛みが走る。
そうだ、寝よう。寝て全てを忘れよう、現実逃避も立派な自己防衛手段のひとつだ。千冬は尻に敷いていた座布団を二つ折りに曲げて畳むとそれを枕替わりにする、布団は既に一夏が寝ている為に使えないのだ。元より一人部屋だ、布団はひとつしかない。
「…はぁ…疲れた」
畳に直に寝る不快感があったが、千冬を襲う睡魔を伴う極度の疲労はそんな不快感をも呑み込んで千冬を夢の世界に誘うのだった。
水深およそ3000mの海中にその銀に輝くそれはあった、箒によって打ち倒された『銀蛸』の残骸は自らの自重により海の底目掛けてゆっくりと沈んでいた。その残骸群のひとつに『銀蛸』の頭部はあった。
顔面に相当する部分を覆っていたバイザーは砕け、中に搭載されている機器は露出し、無機物ながらも痛々しい様子だ。
『ICHIKA…ICHIKA…』
箒の渾身の一撃により既に『銀蛸』の人工知能もほぼ半壊しており、あれだけ流暢に日本語を話していた知能ももはや風前の灯といったところだ。
自我は既に”ほぼ”なく、ただかつての想い人の名を一定の感覚で呟くだけのラジオのようなガラクタと成り果てた『銀蛸』。
『ICHIKA…マダ…ICHIKA…』
その一定の感覚にノイズが走る、ノイズは徐々に増え感覚を乱し始めていた。
『マダダ…ICHIKA…』
人工知能の一夏に対する性欲は、執念呼べるものへと変わって変わっていた。執念がこと切れる寸前の自我を呼び覚まし、最後の火を燃やす。
『……ICHIKA…ワタシ…ノ……ICHIKA…』
人工知能の執念は損傷したネットワークへの接続機能を強制的に呼び覚まし、『銀蛸』の脳髄とも言える記憶回路に焼き付けた一夏のあられもない姿をネットの海へと放流する。
『ICHIKA…ノ…スベテ…ヲ…セカイ…ニ…』
『……………ICHIKA…ICHIKA』
それが『銀蛸』の最期だった、ノイズは消え、再び一定の感覚で想い人の名を呟く『銀蛸』。恐らく海底へとたどり着き、悠久の時間を彼女はそうやって過ごすのだろう。完全に朽ち果てるその時まで。
『ICHIKA…ICHIKA…』
それは水深およそ3500mに差し掛かる頃の出来事だった。
「よく寝たなぁ…」
千冬が目を覚ますと習慣的に時計に目をやった、時刻は午前9時を回ろうとしていた。
「9時34分かぁ…ん………?………9時!?」
千冬は現在の時刻を認識すると、ガバッと勢いよく飛び起きた。
「しまった!9時にはここを出立するんだった!」
30分以上の大遅刻に青ざめる千冬、慌てて一夏を叩き起こそうとすると部屋にドアをノックする音が響いた。それと同時にノックの主の声が千冬の耳に届いた。
「織斑先生ー私ですー」
声の主は真耶だった、急いでドアを開け千冬は真耶に頭を下げる。
「山田先生すまん!直ぐに支度を…!」
「あ、心配ないですよ織斑先生!」
「え…?」
真耶の話によると、無人機襲来に対応した専用機持ち達に配慮し。急遽出発の時刻を午前9時から10時に変更したとの事だった。千冬は思わず深くため息をし、それに真耶は静かに笑った。
「よかった…」
「ふふっ…実は私もさっき起きたばっかりなんですよ」
「うん?ではこの手筈は…」
「なんでも学年主任が時間の調整と段取りを行ったそうですよ」
あの飲んだくれがと千冬は驚いたが、同時に納得した。彼女は酒癖は悪いがあれでも長く教職に勤めるベテラン教師だ。こういった急なトラブルへの対応は慣れている。
千冬は後で主任に頭を下げねばと思い至る、酒の相手は勘弁願いたいが。
「本当に御苦労さまでした、先輩」
「あぁ…」
そのまま千冬は真耶と別れると未だ布団を被って寝息をたてる一夏を背にすとんと座布団に座った。ふと千冬はテーブルの上にあるテレビのリモコンを手に取った、何となくだが、気分転換をする為だった。もっともこの時間にやっている番組などニュースが関の山だが。
「ん」
リモコンを操作し、テレビの電源を入れる千冬。間を置かずに液晶に小倉〇昭の顔が映し出される、千冬はとく〇ネ派だった。
『これとんでもない事ですよ』
「んー…ん…?」
神妙な顔で言葉を発する小〇智昭、何のニュースだと千冬は目線を画面右上にやる。
『ト〇ンプご乱心!?この事件は全てJapanese Erotic gay boyのしわざ!?』
千冬は手に取っていたリモコンを取りこぼした、小倉智〇はニュースの全容を視聴者に解説を交えて伝える。
『えーこの暴走したアメリカの無人機、銀の福音がですね暴走した、原因がなんと…あの、織斑一夏くんにあるとトラ〇プ大統領は言っているんですね、はい、VTRをどうぞ』
『今回の事件はあの忌まわしきgay boyにある事は明白であり!我々にはなんの落ち度もない!!』
VTRの中でカメラのフラッシュが焚かれた会場で変な髪型のスーツを着た長身の白人の男が胸を張り声高々に声明を上げる。それを死んだ目で千冬は観ていた。
『原因はあのgayboy!織斑一夏がエロい事が悪いのであり!!我がアメリカは完全に被害者なのである!!』
「ちーちゃん調子どう?」
千冬の部屋にどこからともなく現れた束、どうやらまだ帰ってなかったようである。
「おーい…ちーちゃーん」
無言の千冬の目の前で手をぶんぶん降る束、しばらくして千冬はゆっくりと束のいる方に顔を向けた。
「束」
「ん?何?」
「暮桜出せるか、今」
「え?」
「今」
米ホワイトハウスに暮桜を纏った千冬がカチコミに向かうのはそれから30分後の事である。
『織斑一夏はIS学園のセックスシンボルだ』
完!
すんごいやっつけ感。
あ、今後は外伝を投稿しようと思っているので気が向いたら読んでください。