織斑一夏はIS学園のセックスシンボルだ   作:桃次郎

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連載を再開すると宣言したにもかかわらず更新頻度がより一層低下してる…






アブナイ一夏(中編)

『えーでは改めてルールを説明しますッ!試合はタッグマッチ方式とします、組み合わせは私実況の黛薫子の独断で決めさせていただきます!!』

 

「早くやれー!」

「何してんだー!!」

「さっさと始めろー!!!」

「脱げぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

観客席は地獄のような光景が広がっていた、阿鼻叫喚とでも言うのか。観客たちは怒号とも悲鳴ともつかない奇声を上げながら好き勝手な事を言っている。

 

『客席もトイレも超満員!いやー実況者冥利につきますねぇ!』

 

「脱げやオラァッ!!!」

「脱がせェッ!!」

「オイ誰でもいいから織斑くん脱がせろやァッ!!」

 

この戦いはあくまでも一夏の新スーツのテストであるという事を彼女たちは憶えているのだろうか。

異様な光景と熱気に一夏はドン引きしている。その側で相変わらず箒は刀を舐めまわし、ゴリラはバナナを貪り、ダー〇ベイダーはあの独特な呼吸音を発しながら無言で佇んでいる。

 

「誰か…誰かまともなヤツは居ないのか…?そうだ千冬姉は…?」

 

一夏は狼狽えながらも周囲を見渡し姉を探す。この学園で恐らく唯一正気を保っているであろう実の姉を。幸いな事に一夏はすぐに千冬を見つけることが出来た。

 

「千冬姉…なんでそこに…!」

 

実況席の隣、解説者席に死んだ様な目で座る姉の姿を。

 

『解説は初代ブリュンヒルデこと織斑姉弟のエロくない方でお馴染みの織斑千冬先生です!』

『楯無、この騒ぎはなんだ』

『いやーたまにはこういったイベントも必要だと思いましてー』

『私は一夏の新スーツのデータを取るからと聞いてココに来たんだが』

『もー織斑先生かたーい!そんなんだから結婚出来ないんですよー』

『とりあえず黛と楯無、お前ら後で生徒指導室な』

『いやーん職権乱用ですかー!?』

『おおっとそうは行きませんよォ!?ジャーナリズムは権力になんて屈しな………』

 

 

 

実況席のマイクが硬質な打撃音を拾った。暫しの沈黙の後、実況席から再びアナウンスがアリーナに響いた。

 

『えー……ハイ、組み合わせは織斑一夏&セシリア・オルコットVS篠ノ之箒&凰鈴音で…ハイ、始めたいと思います』

 

薫子の随分とトーンダウンした声が実況席から届いた、ジャーナリズムは権力には屈しなかったが暴力には屈した様だ。ペンは剣よりも強しというのは先人達の誤りだった。

薫子のあまりの変わりように観客達も察したのか、その熱狂もだいぶ抑えられた。

 

「…ヌゲー」

「ヌゲー…」

 

観客達の小さな声が静かになったアリーナに響いた。一夏を脱がせたいという意思はそれでも変わらなかった様だ。

 

「千冬姉すげぇ」

 

混乱した会場を一瞬で鎮めた姉の力(?)を改めて知った一夏は姉への尊敬をより強めた、千冬姉って凄い。

 

『はいでは…ヨーイドン』

 

随分とテンションの下がった薫子の号令により一夏と変態とゴリラとダースベ〇ダーの戦いは始まった。あんまりにも唐突だったため一夏とゴリラとダー〇ベイダーの三人は「え?」といった様子で戦闘準備すらままならなかった。

そう、一人を除いて。

 

「一夏ァァァァァァァッ!!!」

「!?」

 

先程から刀を舐め回して戦闘準備を整えていた箒は涎を垂らしながら一夏目掛けて脇目も降らず突撃した。狙いは一夏ただ一人。

 

「ウホッ!!!!」

 

それを阻むのはゴリラ、いやセシリアと呼ぶべきか。いやゴリラだ。

ゴリラが箒の行く手を遮る。片や接近戦を主軸とした第4世代機、片や遠距離からの射撃及び狙撃を重視した第3世代機。搭乗者の練度に差はあるものの少なくともこの距離(レンジ)に於いて有利なのは箒だった。

 

「ホゥウホゥ!!」

 

そう、だった。ここで何故過去形を使用したのかというと。それはセシリア・オルコットが人間であればという話だ。

ゴリラは左手にもったバナナを一気食いすると右手に持ったライフルを箒に向かって投げたのだ。ゴリラの突然の奇行に箒は刀を横薙ぎに振るって弾く。

文明の利器の使い方を忘れた哀れな獣のささやかな抵抗と箒は鷹を括った。それがいけなかった。

 

「!?」

 

突如箒の視界の真下から湧くようにセシリアの顔が姿を表した。

箒が横薙ぎに振った刀を構え直すのに要いた1秒にも満たない、その僅かな秒単位の時間でセシリアは箒の懐への侵入を完了していた。

 

(タックル?今のライフルを投げたのは私の隙を作る為?)

 

布石、ブラフ、騙し討ち。様々な言葉が箒の脳裏をよぎる。しかし今はこの状況への対処が先決だ。

 

「墳ッ!!!」

「ウッッホッ!?」

 

セシリアの脳天を刀の柄が急襲した、篠ノ之流剣術はただの剣道にあらず。古来より合戦にて使われてきた実戦剣術、戦技。それこそが篠ノ之流の真の姿である。

 

「ぐッ!?」

 

しかしセシリアも負けてはいない、箒の胸元の中心部を痛みが襲う。肘だ、セシリアの肘が箒の喉と胸の間にめり込む。

箒がその痛みに怯んだ隙にセシリアは距離を取り、再び一夏の前に立った。刹那に起こった高い次元(レベル)の攻防に息を呑む一夏。

 

「ただの畜生と侮っていたが…」

「ゥゥゥ…ホォゥ…」

 

両者の痛みが引いたのだろう、再び構え直す両者。箒は刀を正眼に構え、セシリアは顎を引くと拳を握る。

 

「邪魔だ、獣。そこを退け」

「ウホッ!」

「私とて獣と交合うのは抵抗がある、興味はあるが」

 

箒のさり気ないカミングアウトに引く一夏、音声が観客に届いていない事が幸いだ。

 

「仕方がない、退かぬなら実力行使を持って退けるまで…」

 

 

 

箒の体が光を放つ、一夏はその光を知っていた。『銀蛸』を圧倒したあの輝き、あの力。

ヤりたいと思えば思うほど力を増す箒の専用機が待つあの酷い単一機能だ。

 

「ウホォォォォウ!!!」

 

セシリアも負けてはいない、突如セシリアの身体が金色の光を放った。全身の毛を逆立たせ、金色に輝くオーラを纏うセシリア。ドラ〇ンボールみてぇだな一夏は思った。

 

『序盤から凄まじい展開ですね!!セシリア選手の身体が光っていますが織斑先生はこれは一体どういう事なんでしょうか!?』

 

箒とセシリアの目まぐるしい攻防に当てられたのか、実況席の薫子も元のテンションに戻り、隣に座る千冬に解説を促す。

 

『…いや、何アレ知らん』

『え?』

『怖っ』

 

対する千冬は突然の超展開に何時ものキャラを忘れて引いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナで展開されるド〇ゴンボールみたいな試合展開に一度は静まった会場のボルテージは再燃し、客席も喧騒を取り戻しつつあった。

賑わうアリーナとは対象的に学園の校舎は静まり返っていた。生徒の居ない校舎というのは静かなもので、校内から発せられる音といえば精々職員室に居る教員のパソコンのキーボードを叩く音と、ほぼ全員の生徒がアリーナに行ってしまった為に暇を持て余した食堂のおばちゃん達の話し声程度だった。

 

「何なんだアレは…」

 

静かになった学園の後者の屋上に響く少女の声。海岸から防風林を抜けて校内に侵入したフード姿の少女は双眼鏡を使ってアリーナの喧騒とその中心で激しい戦闘を繰り広げる二機のISの姿を観察していた。

彼女もまた、遠く離れた解説者席に座る千冬と同じくその常識はずれの光景に引いていた。双眼鏡には光る変態と光るゴリラの剣と拳による壮絶な戦いが映る。

 

「ISは人をサ〇ヤ人にするというのか…?となるとISの開発者である篠ノ之束は全人類の女性をサ〇ヤ人にする事が目的だったのか…?」

 

フード姿の少女は篠ノ之束に関する誤った見解を深めながら観察を続ける。しかし流石に目が疲れたのか、少女は双眼鏡を激しい戦闘を繰り広げる二機とは対象的に静止しながら睨み合いを続ける別の二機、一夏とダー〇ベイダーの二人に向けた。

 

「ヤツらは…あの出来損ないは何をしている?そもそもあの格好は何だ?……なんて淫らな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナで繰り広げる剣と拳の応酬、その横で一夏とダースベ〇ダーこと鈴は無言の睨み合いを続けていた。両者は既に武装を展開しており、臨戦態勢を整えていた。

剣と拳がぶつかり合う音を背景音にして、無言の牽制を続ける二人。それはさながら時代劇で描かれる侍同士の決闘の様だ。

 

「…行くぞ、鈴!」

 

先に沈黙を打ち破ったのは一夏だった。裂帛の気合いを持って鈴に斬りかかろうとする一夏。

 

「コー…ホー……あ、ごめん先にコレ外していい?」

「え?」

 

一夏は鈴の突然の言葉に思わず上段に構えたまま静止してしまった、開いた無駄毛ひとつ無い腋と反った綺麗な白い背中がいやらしい。

対する鈴はというと装着している黒いマスクをいそいそと外し始めた。

 

「いやー……ゴホゴホッ…本国の連中がアタシのこと心配してコレ送ってくれたんだけどね?」

「………」

「これ付けてると…ゴッホッ……コーホー位しかまともに喋れなくてさー」

 

咳き込みながら喋る鈴。その説明に知らんがなといった表情の一夏、困ったように下がった眉毛が愛らしい。

 

「やっぱキャラ付けの為に安易なもの付けたりしちゃ駄目よねー展開も面倒くさくなるし、何より作者も描き辛いし」

「…展開?作者?」

 

訳の分からない事を口走り始める鈴、その様子に一夏はとうとう鈴の頭がおかしくなったかと心配する。敵を心配するなんて一夏はなんて優しいんだ。

 

「さあ準備も終わったことだし!やるわよ一夏!」

「お、応っ」

 

一夏はとりあえず目の前の試合に集中する事にした、後この戦いが終わったら鈴を学園から距離が近い脳の病院に連れて行ってあげようと思った。

 

 

 




予想を超えて長くなりそうなのでここで一旦区切ります…後編をお楽しみに!

後ここまで前回と投稿日が開いたのは鈴に変なキャラ付けして展開に困ってしまった訳ではないんだからねっ!
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