織斑一夏はIS学園のセックスシンボルだ   作:桃次郎

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沢山の感想を寄せられ作者は今困惑しています、やっぱりみんな一夏が大好きなんだなぁ…


マスター布仏

前回の一夏胸揉み事件から早ひと月、その間我が弟一夏はおよそ考えつく限りの辱めを受け続けた。

ある時は、まるで挨拶の様な気軽さで尻を揉まれ。

 

ある時は、教室で授業を受ければ、後ろの席の生徒からうなじに欲望混じりの熱い吐息を吹きかけられ。

 

ある時は、更衣室で着替える最中に生徒達が更衣室に突入し「手伝ってあげるね」と無理やり着替えを手伝われ…

最早この学園に我が弟が安息出来る場所は存在しないと言っていいだろう、そしてその度に千冬が出席簿で騒動を鎮圧していった。

そして、騒々しい毎日を続けている内に一学期最大のイベントがもう間近に控えていた。

 

「臨海学校か…」

 

千冬は教員宿舎の自室で頭を抱えていた。臨海学校とは、一学期に毎年行われる恒例行事であり、生徒達が何時もと違った環境でISの操縦を学ぶという物だか。

どちらかと言えば、毎日の厳しい訓練を受ける生徒達へのご褒美というか、所謂『ガス抜き』のようなイベントである。

それを裏付けるように、開催される場所は海辺の旅館であり、初日は自由行動となっている。丸一日生徒達が砂浜で遊ぶのが毎年恒例なのだ。

しかし今年は例年とはひと味違う。そう、我が弟、IS学園のセックスシンボルこと、世界唯一の男性IS操縦者『織斑一夏』が居るのだ。

視聴覚室において臨海学校での一夏への対策、いや。正確には、生徒達の一夏に対するセクハラ行為への対策を決める緊急会議が開かれたのは、つい2時間前のことだ。

 

結局、会議は結論を見出すことが出来ぬままに解散となり、千冬は項垂れながら自室へと戻った次第だ。

 

「結局、時間だけが過ぎただけか…」

 

シャワーを浴びた千冬はジャージへと着替え、壁に立て掛けてあった木刀を右手に取ると玄関へと向かい、玄関の側にある戸棚に置いてあった懐中電灯を左手に取って自室を後にした。

「やれやれ、休む暇もないか」

 

千冬は学生寮へと向かっていた。消灯時間を超えた学生寮の見回りをする為だ。この見回りは教員たちが当番制で行っており、今週は千冬の番であった。

 

 

 

さて、消灯時間を超えた寮内において、生徒達が皆バカ正直に寝静まるかと言えば、そんな訳がない。

一部の生徒達は皆集まっておしゃべりをしたり、ゲームをしたりと、この学園寮は昼間とは違った意味で密かに賑わうのだ。

その賑わいの中において一際、異様な熱気を放つ集団が居た。その集団は寮内にある一夏の部屋の前を占拠し、皆一様に、欲望で目がギラついていた。

 

「えー…これより、第ー回『織斑くんの寝顔写真撮影会』を始めたいと思います…」

 

ひそひそと狂った内容を話す女子達、勿論この大会は一夏には無許可だ。初夏の熱気は少女達から正気を失わせていた。

 

「や、やっぱり…これは、良くないんじゃないだろうか」

 

その集団の中において、一人だけ異を唱える者がいた。我らが原作メインヒロイン、篠ノ之箒その人だった。

ただ一人だけ、群集心理に流されること無く自我を保っていた我らが箒。しかし…

 

「おいおい何言ってんだよデカパイ侍ちゃんよぉ」

 

「で、デカパ…!?」

 

「そうだよデカパイ侍、何ここまで来ておいてカマトトぶってんだよぉ」

 

何とも不名誉なアダ名を付けられた箒は憤慨するも、その口を他の生徒に両手で塞がれる。

 

「むごむご…」

 

「騒ぐなよデカパイ侍…織斑くんが起きちまうじゃねーか」

 

「そうだそうだデカパイ」

 

「そうですわ Huge breasts SAMURAI」

 

やたら良い発音でセシリアに窘められる箒、こいつも随分とクラスに馴染んだなぁと箒は口を塞がれながら思う。

 

「みんな静かにね、織斑くんが起きちゃう」

 

「ゆっっっくりと歩くわよ」

 

「あのさ、それなんだけど…」

 

二組の凰鈴音が疑問を投げかけた。

 

「…誰が一夏の部屋の扉を開けるの…?」

 

そう言えばそうだと一同がザワつく、そうだ、一体誰が開けるのだ。

 

「大丈夫ー」

 

「アンタは…」

 

鈴の背後から声がする、鈴は振り向くと、そこには一組の本音が居た。本音の手に握られた鍵が、薄暗い廊下の中で鈍く光沢を放っていた。

 

「コレはねー…生徒会執行部所属の生徒にだけ用意されたこの寮のマスターキーなんだー」

 

そんな物があったのかと一同は再びザワつき始めるも、本音がそれを静止する。

 

「これ一つで学生寮の全部屋の鍵が開けられる便利なアイテムなのさー」

 

「おぉ…」

 

鈴を含めたその場に居る生徒全員が本音に対し、畏敬にも似た感情を寄せる、鈴はその場で膝をつくとこうべを垂れた。

 

「主(マスター)、アンタに一生着いてくわ…」

 

「主(マスター)本音…」

 

「主(マスター)…」

 

それに続き他の生徒たちもその場で本音に跪き、本音への忠誠を誓う。

 

「もがもが…(なんなのだこれは…)」

 

その場で跪く事がなかったのは箒と、箒の口を未だに塞いでいる生徒のただ二人だけだった。

 

 

 

 

「いいー?じゃあ開けるよー」

 

本音が振り返ると、箒以外の全員が一斉に頭を縦に降った。それを合図に本音は一夏の扉の鍵穴にマスターキーを差し込む、そしてそれを捻ると金属の乾いた音が響いた。

 

「ゆっくりね…」

 

本音を先頭に列を作り、集団は一夏の部屋へと歩みを進める。箒は自身の内に滾る欲望に打ち勝つことが出来なかったようで、列の最後尾に申し訳なさげに着いて来た。

 

やがて集団は一分も経たずに寝室へと到着した。

 

「Oh My God…!!!」

 

セシリアの呟きが部屋に響く。そこには桃源郷が広がっていた…

 

 

 

 

一夏はベッドの上にパンツ一丁の姿で寝ていたのだ。

 

「ヤバイよこれ…エロ過ぎるよ…!!」

 

突如少女達を襲う、想定を遥かに超えた暴力的な程の色香。既に何名かの生徒はそれに耐えきれず、鼻血を吹いて失神していた。

 

「主(マスター)!一体どうすれば…!」

 

「Master…!!!」

 

取り乱す英中代表候補二人、その顔には普段の彼女たちに満ちる自信という物が失われていた。しかし、マスター本音は狼狽えることなく二人を諭す。

 

「二人とも落ち着いて、良い?二人ともココに何をしに来たの?」

 

「それは…」

 

「ICHICA-SANのSleeping faceをPhotographingする為ですわ…」

 

「そうだよ、初心を忘れないで」

 

マスター本音の言葉に導かれ、馬鹿二人は正気を取り戻した。まあこの場にいる時点で既に正気ではないのだが。

本音は改めて未だに何も気づかず寝息を立てている半裸の一夏をまじまじと眺める。

 

(いやぁー…こうやって見ると…)

 

ほぼ裸同然の姿で眠る一夏、寝汗をかき、悩ましげな表情でベッドに横たわる一夏の姿は、見る者の性的欲求を刺激した。

 

(ほんっとにエロいなぁ…)

 

馬鹿二人を諭した手前、自分まで醜態を晒す訳にはいかないと本音は首を横に振り。平静を装った。

 

「ま、主(マスター)…そろそろ…」

 

「あー、うん…そうだね」

 

もうこの場において、滾る欲望を抑えられる程の自制心を持った者は居なかった。本音が撮影会開始の合図をしようとした、その時だった。

 

「お前ら何をしている…?」

 

 

 

皆一斉に、自分たちが入ってきた玄関の方に視線をやった。鬼が、木刀を片手に仁王立ちしていた。

 

 

 

「楽しそうだなぁお前達…何をしていた…?」

 

その場にいる全ての者が、千冬と目を合わそうとしない。怒り狂う鬼の怒りを買わぬようにしているのだ、皆。求めていた、自分たちの代弁者を。生贄を、求めていた。

 

「…主(マスター)」

 

本音は肩をビクつかせた、本音は悟った。今、自分は売られたと。

 

「まぁすぅたぁ…?」

 

メキメキと木材が軋む音が部屋に響いた、千冬の手に握る木刀から発せられた音だった。皆戦々恐々とその音を聴く。そして未だに起きることなく横たわる一夏。

 

「マスター…それがこの馬鹿騒ぎの主犯か、誰だ?」

 

千冬は「誰だ」と言いつつも、その双眸は本音を凝視していた。千冬は既に、本音に照準を定めていた。

滝のような汗を流す本音、本音は、周りを見渡した。探していた。生贄を。

 

「ま、マスター!」

 

「な!?」

 

本音はセシリアに飛びついた、本音は売ったのだ。自らをMasterと慕う馬鹿を。

 

「ま、Master何を!?」

 

「お前かオルコット…!」

 

幽鬼の如くセシリアへと歩み寄る千冬、敬愛するmasterの裏切りに動揺するセシリア。しかしそこは英国代表候補、生来の頭の回転の速さは、セシリアにこの場を切り抜ける最適解を弾き出した。

 

「Master!!!」

 

「なぁ!?」

 

セシリアは自分のすぐ隣で縮こまっていた鈴に抱きついた。鈴は堪らずセシリアを引き剥がそうとする。

 

「ちょっと!!離しなさいよ!!」

 

「Masterそんな殺生な!!」

 

「何がマスターよ!やたらいい発音すんな!!」

 

「master! Help me!!!」

 

ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す生徒達、皆主犯格になりたくない一心で主(マスター)の名を擦り付け合う馬鹿たち。

見るに堪えない醜い争いを終結させるべく、千冬の木刀が薄暗い部屋の中で唸りを上げた。

 

「いい加減にしろ馬鹿どもぉ!」

 

千冬の木刀は結局その場に居た一夏を除く全員に振るわれた。そして一夏は最後まで目を覚ますことはなかった。

 

 

 

 

 

 

「ほらキリキリ歩け馬鹿共」

 

生徒達を部屋から蹴り出す千冬、これから寮のエントランスで朝まで説教だ。頭にデカいタンコブを作った生徒達はみな死刑執行を待つ囚人のような表情だ。

 

「しかしコイツとうとう起きなかったな…」

 

我が弟は遂に起きることなく今も寝息を立てている、これ以上弟の眠りを妨げるのも何だなと思った千冬は、静かに部屋のドアを閉めた。

 

一夏の部屋には再び静寂が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

一夏の眠るベッドの裏から、磁器のような白い腕が伸びた。その腕はゆっくりと床を這い、その腕の主は未だ寝静まる一夏を起こさぬように、物音を立てぬよう。細心の注意を払いながら上体を起こしていく。

 

「いきなり大勢の足音が聞こえた時は驚いて思わず隠れたが…」

 

ドイツ代表候補、ラウラ・ボーデヴィッヒは息を殺して一夏の眠るベッドの裏に隠れていた。所謂『夜這い』をする為だ。

常日頃から一夏を「嫁」と呼び、一夏を愛している事を公言している彼女は、「嫁」と契りを結ぶ為、こうしてピッキングを用いて一夏の部屋に侵入した次第だ。

 

「ヤツらには感謝をしなければな」

 

ラウラは先程の騒ぎをその顛末までしっかりと目に焼き付けていた。そしてその騒ぎを終結させた者の姿まで…

 

「教官は朝まで説教だと言っていたな…」

 

ラウラはその場でゆるりと衣服を脱ぐ、衣擦れの音が部屋に響く。一夏は未だ、起きる気配がない。

 

「嫁…」

 

遂に右目を覆う眼帯以外、一糸纏わぬ姿となったラウラ、その顔は劣情に染まっていた。

 

「もう邪魔者はいないぞ…」

 

ゆっくりと歩を進めるラウラ、その先には極上の、男の裸体。

 

 

 

一夏の部屋のカーテンに写る、二つの影、それはゆっくりと一つに重なった。

 

 

 

夜はまだ、長い。

 

 

 




初めて本文が4000字を超えた…

ちなみに一夏はボクサーパンツ派です
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