IS 最強は最強です   作:ネコ削ぎ

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 物凄く久しぶりです。ほぼほぼ勢いだけなので中身も何もありませんが、よろしければ少々お付き合いください。




 受験シーズン真っ只中に置いて、月終(つきしま)(さく)は緊張とは無縁と軽い足取りで試験会場へと向かっていく。

 本番が近づくにつれて、緊張や不安に苛まれるものだが昨には関係ない。生活パターンは一ヶ月どころか一年前と比較しても変わらず、6時に起床22時には就寝。眠る時間を削って受験勉強に費やすことはない。

 受験生に真っ向から喧嘩売ってんじゃないかってくらいの平常運転のまま今日に挑むのだ。

 筆記試験は簡単だった。期末テストよりも問題数が多かったくらいか。

 残すは実技試験のみ。それが今日だ。

 IS学園受験では三つの試験が行われる。

 第一試験 学科試験(一般教養)

 第二試験 学科試験(IS関係基礎知識)

 第三試験 実技試験(受験生蹂躙タイム)

 更に言えば、事前審査として適性試験も存在する。

 IS学園受験希望者数は毎年膨大にて、まずは各地方会場で無料(重要)で行われる適性試験でふるいにかけ、基準値に満たない希望者を落とす。後は、当日の試験で希望者を絞っていくだけである。

 昨にとっては取るに足らない試験も、他の人からすれば難しいようで同じ学校から受験した同級生達は、一人を除いて全滅。今日という日を迎えることができなかった。IS学園一本に全人生を捧げたあの娘はとうするのか多少気になりつつ、昨はウォーミングアップをする。

 

「楽しみで楽しみで楽しみで仕方ないです」

「なりよりですね。私も楽しみです」

「待ちに待った日が来たからね。IS乗れるとくれば心躍りますよ」

「ですが不安もありますわ。私達が求めるのは織斑千冬。実技試験を担当しているらしいとは

聞いていますが、果たして私達の前に現れるのでしょうか?」

「運だね。それ以外にはないです。試験官の指名ができればいいのに。受験料払ってますよ」

 

 隣で同じようにウォーミングアップする双子の妹。共に実技試験まで生き残った同志だ。家族の片方が落ちて気まずい思いをしなくてすんだのだ。

 昨からして、妹の(さら)は勉強が得意で自分よりもできる人間だから落ちることなんて万に一つもありはしないのだが。

 昨も新も嫌みったらしいほどの文武両道完璧超人なのだから、互いが落ちることの想像は一切ない。

 

「待機時間がながーいです」

「受験番号を考えればしょうがないです」

 

 かれこれ一時間は待たされている。実技試験の内容から待機時間が長くなるだろうと予想していた二人も耐え難いものがある。待ちに待っての今にして、これ以上待てそうにないのだ。

 二人が呼ばれたのはそれからほどなくしてだ。

 新と別れて昨は誘導されていく。たどり着いた会場は広く、これから行われる実技試験に期待が持てる。

 

「使用できるものは打鉄とラファール・リヴァイブです。武器に関しては標準装備に限らせていただきます」

 

 説明を受けた昨が選ぶのは打鉄。鎧武者を思わせる装甲がカッコいいのと防御タイプという言葉に惹かれて選んだ。

 目の前で装着者を待つ打鉄。

 インフィニット・ストラトスと呼ばれる宇宙空間で活動するために開発されたマルチフォーム・スーツ。既存兵器を凌駕する性能は本来の活動拠点となる宇宙空間に飛び立つこともできずに、いまだに重力の井戸の底に引き込まれたまま大気圏を窮屈そうに飛翔している。

 日本に向けられた2000発ものミサイルをたった一機のISが殆ど全部撃墜したことで、戦闘用パワード・スーツ扱いを受け世界に浸透していった。

 開発者の篠ノ之束が求めていた結果は訪れはしなかったのだ。

 ISの浸透は社会を歪ませ女尊男卑の価値観を生み出してしまったのだが、昨には関係のない話だ。なぜなら女であるから。

 最強クラスの兵器でありながら、ISには女性にしか扱えないという信じられない欠陥を抱えていたのだ。それは女性こそが選ばれた存在であると間違った認識を植え付け、男性よりも優れていると傍若無人なふるまいをする女達を跋扈させる結果にしかならなかったのだが、昨には関係のない話だ。なぜなら興味がないから。

 いま興味があるのはこれから実技試験を担当するのが織斑千冬かどうかだ。

 果たして、打鉄を装着して手持無沙汰にしている昨の前に現れたのは、同じく打鉄を装着している織斑千冬だった。テレビで見たときと同じように鋭い刃物みたいだ。

 

「試験内容の説明をさせてもらう。これから模擬戦闘を行う。制限時間は5分だ。これは受験者の動きを見るものであって、勝敗そのものは合否に関係ないので間違えないように」

 

 説明を終えた千冬はブレードを呼び出すだけで構えずにだらんと腕を下げている。

 

「間違えませんよ。試験の合否とかね。戦いたいだけなんです。貴女と」

 

 昨は真剣な顔でブレードを構える。剣道の経験もISの経験もない。構え方はお世辞にも綺麗とは言えず、重力を振り切って飛び回れるはずのISは地べたに縫い付けられたまま。

 それでも昨は気にしない。気にならないほどの希望と快感が頭のてっぺんからつま先まで駆け巡っているのだ。テレビ越しに感じたあの時とは比べ物にならない感覚が昨を突き動かす。

 

「いきます!!」

 

 気合の入った声。

 それをかき消すように一人の試験官が慌てた様子で乱入してきた。

 

「織斑先生。緊急事態ですぅ!!」

 

 試験中止。残酷な一言を告げられた。

 

「マジですか」

 

 昨はブレードを構えたままそう呟くしかなかったとさ。




 お付き合い頂きありがとうございます。何かあればまたよろしくおねがいします。お疲れ様でした。
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