IS 最強は最強です   作:ネコ削ぎ

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 書くまでが長いです。やる気的な意味でですけど。
 相変わらず深い考察も道筋もありませんが、よろしければ少々お付き合いください。




 慌ただしく動き回る。

 IS学園入学実技試験の準備はあらゆる機器人員が必要になるだけでなく、学科試験をクリアしてきた受験生の多さを物語っている。

 今年の受験生の中に綺羅星のような輝く才能の持ち主が何人いるだろうか。そもそもいるかどうか。分からないことを考えても仕方がない。

 織斑千冬は受験者名簿を所定の位置に戻す。喉の渇きを塩コーヒーで潤して試験準備を再開した。

 IS学園への進路を決める少女たち。様々な道を選択することができる中で、IS学園へと舵取る理由はなんなのか。

 弟の一夏などは早く就職して千冬に楽をさせたい負担を減らしたいと、中学卒業と同時に就職することを求めていたが。あの勘は鋭いが間抜けな弟には最低限高校進学が必要であり、青春を謳歌するべきと千冬が言って聞かせたので高校へと進路をとってくれた。

 それに比べてIS学園入学希望者はどうか。

 ISの世界で生きていこうと熱意に燃える者がいるだろうか。

 どうでもいいかと千冬は準備を続ける。

 

「先輩。あと一時間もしたら始まりますよ。楽しみです」

「楽しみなものか。少し張り合いがあればよいが、所詮はISをろくに弄ったことのない連中ばかりだ。去年の更識みたいな奴がいれば別だが」

「更識さんは別格ですよ。それなら今年は更識さんの妹さんが入学するじゃないですか。お姉さんと同じで凄い才能の持ち主ですよ、きっと。代表候補生に選ばれて専用機が用意されているって噂になってますから」

「更識簪だったな。一度顔をあわせたが楯無に劣る。そこらの奴に比べたらマシかもしれないが。代表の才じゃない」

「先輩は基準が高いと思います」

 

 ガックリと肩を落とす山田真耶。生徒たちに混ざっても違和感のない身長と歳を感じさせない童顔に眼鏡をかけた千冬の後輩だ。精神的に弱い部分があり、実力を発揮しきれないところがあるのだが、実力を発揮すればIS学園教師陣の中でも上位に食い込む実力者でもある。

 尊敬、崇拝の視線が鬱陶しい。千冬からしてみればその程度しかないが。

 何時だってそうだ。目の前に現れるのは、憧れですや尊敬してますだ。新しい王朝か。ですます朝なのか。

 今年の受験生も千冬を一目みたいミーハーばかりで、第一試験や第二試験で続々リタイアしていった。真面目に勉強して真面目に試験に臨みに来い。それが無理なら受験するな無駄に労力を割かせるな。

 実技試験受験生の担当名簿を確認してもやる気ない受験生なんて発見できるわけもなく。実際に目にして判断するしかない。

 実技試験が始まると、試験官として千冬は動き出す。記録採点もしくは審判役を希望したのだが、全員から実技試験官以上の適任はないと一蹴された結果だ。職場そのものから喧嘩を売られた気分だ。毎年毎年右も左も分からない一学年の相手ばかりを押し付けられている身としてはたまには楽をしたいものではあるのだが、初代ブリュンヒルデの名前と学園側からの信頼によって激務を任せられてしまうのが千冬だった。苦を感じさせない涼しい顔で業務を遂行していくことも原因の一端なのかもしれないが。

 

「試験内容の説明をさせてもらう。これから模擬戦闘を行う。制限時間は5分だ。これは受験者の動きを見るものであって、勝敗そのものは合否に関係ないので間違えないように」

 

 マニュアル通りに説明をして受験生と戦う。素人ばかりで困る。千冬にはどれもこれも遊び半分のだらだらした動きにしか見えない。整備科志望の人間は仕方がないとしても、パイロット科を目指す人間が稚拙な動きであることは目を瞑りたくなる。世界最強と謳われる千冬からしてみればどれもこれも稚拙に見えてしまうのは仕方がないのだが知ったことではない。

 

「試験内容の説明をさせてもらう。これから模擬戦闘を行う。制限時間は5分だ。これは受験者の動きを見るものであって、勝敗そのものは合否に関係ないので間違えないように」

 

 ISパイロット養成所で腕を磨いてきた少女の纏まっていない連撃を最小限の動作で避けて長い5分を過ごす。忍者の里出身者の手品レベルの忍法を全部突破してだらだらと5分を待つ。戦闘訓練しか受けてこなかったバーサーカー少女をアイデンティティをぶっ壊す勢いで完封してきっちり5分で沈めた。

 立ち塞がる相手の強さを超える強さで千冬はいなしていく。気分は全力疾走するランナーを足掛けて転ばすようなもの。底意地の悪さが滲み出る気分だ。気にするわけではないが。

 

「試験内容の説明をさせてもらう。これから模擬戦闘を行う。制限時間は5分だ。これは受験者の動きを見るものであって、勝敗そのものは合否に関係ないので間違えないように」

 

 ただ、次の相手は今までと違った。少なくとも千冬は感じ取った。審判役を務めている同僚は気づくことなく、どうせまた労なく千冬が勝つのだと信じて疑っていない様子であったが、千冬自身は勝つことはともかくとして、さきほどの有象無象と違う雰囲気をひしひしと感じ取っていた。

 

「間違えませんよ。試験の合否とかね。戦いたいだけなんです。貴女と」

 

 目を通した資料の内容思い出せば月終(つきしま)(さく)という少女が出てくる。そこそこ裕福な家庭の少女だ。双子の妹がいて姉と同じくIS学園を受験してここまで残っている受験者。第一第二試験共にきっちり合格点を収めている。

 ISの養成所に通っているわけでも忍者でもバーサーカーでもない千冬に憧れただけでのごく一般的な少女にしか見えない昨を、千冬はニヤリと口の端を釣り上げて迎える。だらりと下げた腕は楽しみでうずうずしているが理性で抑えとどめる。

 

「いきます!!」

 

 気合の入った声。緊張は感じられず。純粋に戦いを楽しもうとしているのが伝わる。

 だが千冬の耳には試合を妨げる無粋な足音も聞こえてきていた。

 

「織斑先生。緊急事態ですぅ!!」

 

 走り寄ってくる真耶に対して千冬はため息を吐き出したくなった。というかあからさまに重いため息を吐き出す。

 慌てる真耶はそれでもIS学園の教師としての冷静さは多少残っているのか耳打ちで報告をしてくる。

 

「男の人がISを起動させているんです」

「男が」

「はい。どどどどどうしましょうか!?」

 

 どうにかすればいいんじゃんないか、と千冬は喉から出かかった言葉を飲み込んだ。

 

「とにかくこっちきてください!!」

 

 ISを装着したまま連れられてたどり着けば、間抜けな顔をした弟がISを装着して困惑しているのが映り込んできた。

 とりあえず束に連絡だ。




 お付き合い頂きありがとうございます。
 地味なファンタジー要素を入れてみました。忍者がファンタジー要素に当てはまるかは置いておきますが。
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