「私が公孫瓚だ。あんたが趙雲が言っていた連れの者か。」
趙雲の案内で部屋へと案内された。そこにいたのは赤い髪のポニーテルの女性。太守としては少し若いような印象を受ける。
「単福と言います。(不本意ながら)趙雲(に巻き込まれる形だけど)と共に賊討伐に参加することになりました。よろしくお願いします。」
拱手して名を名乗る。チラッと視線を趙雲へ向けると、趙雲は木簡を公孫瓚に差し出した。
「この者が朝から賊の所在に関して偵察して来た物だ。目を通して見て欲しい。」
太守に対するには随分尊大な態度だが、公孫瓚が気にしていない様なので、あえて口は挟まない事にした。
「なんか、発言に変な間があった気がしたんだけど・・・。これは、成る程、凄いじゃないか。これを今朝から今までの間でまとめたのか。」
目を見開き感嘆する。そして直ぐにそばにいた兵に声をかけた。
「城主含め、将軍を直ぐに集めてくれ。軍議を開く。」
兵が直ぐに走り出した。その間にも公孫瓚は木簡から目を離さない。
(ふむ、思ったよりしっかりしているな。流石北方の太守か。)
少し感心した徐庶。そして一通り読み終えた公孫瓚が顔を上げた。
「単福殿、この賊討伐は出来るだけ早急に治めたい。これに関してあなたの意見を聞きたい。何か策はあるか?」
「一応は。ここら一体の地図があれば有り難いのですが。」
公孫瓚が一枚の紙を机に広げる。その中にある一つの街がちょうど机の真ん中に来る様に動かした。
「ここが丁度私達のいる場所になる。単福殿が特定した賊の陣はこの森の、この辺りに当たるか?」
その地図の上に公孫瓚が駒を一つの置いた。徐庶が頷く。
「こちらの戦力は如何程で?隊を率いれる将の数も教えて頂ければ。」
「ここの全戦力の兵なら、全部で三千。だが幾らかはここに残さねばならないから、動かすなら二千五百。うち騎馬が千三百。部隊を指揮する事ができるのは、君達2人と私も含めれば、全部で5名だな。」
地図上に駒を並べながら公孫瓚が説明した。
「生憎、私は将軍の器では無いので、含まないでいただきたい。趙雲は?」
「問題ない。騎馬でも歩兵でもどちらでも構わんぞ。」
ニヤッと笑う趙雲に徐庶は頷いた。そして思考を回転させ、地図上の駒を手に取った。
「では、現状可能であろう策を二つほど。」
駒を地図上に置きながら徐庶が話す。趙雲と公孫瓚は頷きながら、時折疑問を口にする。それに徐庶は1つずつ丁寧に答えて言った。
「・・・驚いた。やはり徐・・・単福殿は私が思った以上の人物だった様だ。」
「ああ。これなら、明日1日で討伐出来るかもしれない。」
「買い被りすぎです。この方法では全滅は出来ない。あくまで短期決戦で砦を落とすだけですから。」
苦笑いしながら首を振る徐庶。だが公孫瓚は笑顔で手を差し出した。
「それでも、これでここの街の人達の安全は守られる。ありがとう。君がこの場にいてくれて助かった。」
「礼を述べるのは全てが上手くいってからにして下さい。」
そう言いながらも、徐庶も笑顔で手を取った。