恋姫†無双 徐伝   作:そこらの雑兵A

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第16話 初陣

翌朝。公孫瓚を中心に合計千五百の兵が城門をくぐる。

 

「では、我々は予定通り。」

 

「ああ、頼んだよ。」

 

公孫瓚に拱手した趙雲は颯爽と白馬に、徐庶は栗毛馬またがって門を出る。同時に公孫瓚とは違う方向へと駆けていった。

 

「あの者達、本当に信じて良いのでしょうか?」

 

公孫瓚の隣で槍を肩にかけた男が疑念のこもった目で走り去る趙雲らを見た。

 

「まぁ、大丈夫だろう。それより、厳綱。先鋒は予定通り頼むぞ。」

 

「承知。」

 

公孫瓚に頭を下げ、厳綱は部隊の先頭へと駆けていった。

 

 

 

 

「ほう、太守自らか。中々骨のある奴じゃないか。よし、こっちも迎え撃つぞ!」

 

知らせを聞いた程遠志が杯を投げ捨て、立て掛けてあった大刀を手に取り、部屋を出た。そして大声を上げる。

 

「野郎ども、官軍がくるぞ!返り討ちだ!俺に続け!」

 

大刀を振り回しながら威風堂々と歩く姿に呼応する様、様々な声が上がり、ある者は馬に跨り、またある者は槍を手にと、統一感の一切ない千三百が砦を出た。

 

日が真上になる頃。左右に木々が生い茂った通りで公孫瓚は正面から迫る軍勢を捉えた。

 

「よし、単福殿の言っていた通りの場所で会敵出来たな。」

 

安堵の息をつく。それと同時に厳綱が槍を振りかざした。先頭の七百の騎馬が一斉に駆け出す。

 

 

 

「洒落臭い!官軍なんぞ蹴散らしてしまえ!」

 

程遠志が声を上げると同時に、左右の木々から銅鑼の音と共に歓声が上がった。そして複数の旗が立ち上がる。舞台に一斉に動揺が走った。

 

「伏兵!?」

 

「か、囲まれてるぞ!?」

 

「やばい!」

 

「・・・怯むな!あれは偽者だ!実際に兵はいない!」

 

混乱しかけた部隊を周りを見た程遠志が一喝した。まだ僅かに動揺が残るが、多少落ち着く。

 

「か、頭!ですが!」

 

「よく見ろ!声だけで姿が見えん!もし本当に伏兵ならとっくに攻撃されてらぁ。あんなもんは虚仮威しだ!」

 

程遠志の言葉通り、声や銅鑼だけで、矢の一本も飛んでこない。あちらこちらから安堵の声が溢れると同時に士気が上がる。

 

「小賢しい真似しやがって。行くぞ野郎ども!突撃じゃあぁ!」

 

大刀を振りかざし、程遠志が先頭で駆け出した。周りの者も声を上げながら走り出す。その姿を木々の隙間から覗く。

 

「よしよし。そんじゃあ予定通り趙雲のところまで行きますか。」

 

途中で趙雲と別れた徐庶が、側にいた兵に指示し、馬に跨った。指示を受けた兵が向かい側にいる単経に赤い旗を振る。頷いた単経が頷き、背後の兵に伝える。この辺りで最も高い位置にある木の上で兵が赤い旗を振った。

 

 

 

「旗だ。あれは赤だな。厳綱に伝令!部隊を下げる!」

 

公孫瓚は兵に指示し、部隊を魚鱗の形にまとめた。

 

 

 

「よし、赤だな。では諸君!ここからは手柄の立て放題だ!共に駆けようではないか!」

 

趙雲が槍を掲げ、馬腹を叩く。それに続いて五百の騎馬が一斉に駆け出した。

 

 

 

「ハッ、既に逃げ腰とは情けねぇな!者共、進めぇ!」

 

意気揚々と声を荒げる程遠志。そこに兵が1人慌てながら走ってきた。

 

「か、頭ぁ!う、後ろ、後ろ!」

 

指差す方を見ると煙が上がっているのが見えた。程遠志の顔が青くなる。その煙が上がっている場所。それはーーー

 

「わ、わしらの砦の方か!!」

 

全体に動揺が広がる。そしてそれに合わせる様に、先ほど無視した左右の木々から、歓声と共に矢が降り注いだ。

 

「!?ば、馬鹿な!あれはただの虚仮威しじゃなかったのか!!」

 

周りの兵がバタバタと倒れて行く。それどころか、先ほどまで及び腰だった官軍達が一気にこちらへ突っ込んでくるではないか。

 

「く、クソッタレがぁ!」

 

こうなってはどうしようもない。程遠志は方向転換し、既に焼け落ちているであろう砦の方に走っていった。

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