それから皆で色々な話をして暫く。
「それでは、果物を切ったので少し休憩にしましょう。」
大きなお盆に切られた果物と飲み物を乗せて司馬徽が戻って来た。皆が集まり、和気藹々と果物の刺さった串を取っていく。
微笑みながらお茶だけを受け取り、徐庶は部屋の壁にもたれかかった。
そこに2人。先程から積極に話に混じって来ていた2人が歩み寄って来た。
「いやぁ、助かったよ季常。流石『白眉最もよし』ってな。」
「いえ、こちらこそ。徐兄の話していた、曹操や袁紹の話はこちらでは希有なので。」
そう言って、少し長めの白髪を手串で軽くとかしながら微笑む。馬良は徐庶がまだここにいた頃に入って来た者で、顔馴染みだ。徐庶も微笑み、馬良の後ろを覗き込む。
「で、そっちのは妹か?」
「・・・名は謖、字名は幼常と申します。」
俯き、小さくなりながら名乗った。馬良とは違って少し茶色がかった髪を後ろで束ねた幼い少女。雰囲気が昔の諸葛亮に似ている。その様に思わず笑みがこぼれた。
「馬謖ね。兄に劣らず中々の子じゃないか。」
「あまり褒めると調子に乗るんで程々でお願いします。」
苦笑いしながら馬良が馬謖の頭を撫でた。すると馬謖が恥ずかしそうにしながらも、一歩前に出て深々と頭を下げた。
「・・・『虎子』こと徐元直殿のお話は、兄や水鏡せんせいよりかねg「おい、ちょっと待った。」
話を止められ、キョトンとする馬謖に、眉間を抑えながら徐庶が口を挟む。
「その『虎子』ってなんだ?」
「諸葛亮さんと龐統さんを『伏龍』と『鳳雛』と呼ばれているのをご存知ですよね?」
「そりゃ知ってる。」
当然だろう。諸葛亮と龐統は徐庶とほぼ同期で、その優れた才能から『池に伏せ昇天の時を待つ龍』と『将来に天高く羽ばたく鳳』と呼ばれていた。
「その2人に並ぶ『正しき爪牙を宿す虎』と、徐兄はそう呼ばれてたんですが、知らなかったんですか?」
「いや、しらねぇよ!?」
馬良がニコッと微笑み話すが、完全に初耳だった。自身が知らぬ所でいつの間にか異名が出来上がっていた事に驚いてしまう。
「水鏡先生先生は、この3人に続く亀の様な人物を目指せとよくおっしゃってます。」
東西南北の青龍、白虎、朱雀、玄武の事だろう。思っていた以上の評価に、思わず顔を覆ってしまう。その手の隙間から見える顔は赤みを帯びていた。
「・・・私は3人とも、とても尊敬してるです。」///
馬謖は頬を染めながらも、輝く目で徐庶を見た。
「あー、なんだ、その・・・ありがとう。」
なんだか照れ臭くなり、頬をかきながら礼を言う。それを少し離れたところから司馬徽が笑みを浮かべながら見ていた。それに怨めそうな目を向けるが司馬徽は全く意に介さないだろう。
「それで、徐兄はまたすぐに旅に出るんですよね。次は何処へ?」
「んー・・・洛陽と長安かな。それから涼州方面あたり。」
まだ行っていない所を考える。今度は面倒ごとに合わない事を願うばかりだ。
(道中でまた路銀稼がないとなぁ。)
徐庶の知らぬ間に、黄巾の乱が終わります。