恋姫†無双 徐伝   作:そこらの雑兵A

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第9話 出会いその3

「改めまして。俺の名は徐庶。よろしく。」

 

太陽の向きで方角を確認し、北へと向かって歩き始めた4人。そこで徐庶が名を名乗った。

 

「私は戯志才と申します。」

「程立といいます〜。」

「私は趙雲だ。」

 

順に3人も名を名乗った。どうやら3人も旅の理由は徐庶と同じ様な物だった。少し違うのは、3人は仕える主君に足る人物を探しているという事だった。

 

「徐庶殿は誰かに仕える気は無いのですか?」

 

戯志才の問いに徐庶は少し困った様に笑う。

 

「正直考えてない・・・と言ってしまったら嘘だな。ただ、自分がまだ納得できる様な『答え』が出ないうちは、誰かを主人として仕える事はしたく無い。」

 

「答え・・・ですか。」

 

程立が首を傾げた。趙雲も少し難しい顔をしている。

 

「あー・・・まぁ、なんて言うか。昔ちょっと色々やらかしてしまってな。それで何が正しいのか、わからなくなってしまったんだ。」

 

苦笑いをしながら頭を掻いた。

 

「それで、自分の中で胸張って『正しい』って言えるなにかが見つかるまでは旅をしようかってな。」

 

「何が正しいか・・・ですか。難しいですね。」

 

戯志才が顎に手を当てる様にしながら呟いた。逆に趙雲は笑う。

 

「正しいかどうかは他人が決める事。要は、自分の正義を信じれば良いだけでしょう。」

 

「ま、それができれば1番なんだろうがな。」

 

趙雲の答えは徐庶もわかっている。だが、それが何より難しい。

 

「趙雲さんはその辺りは凄くしっかりしてそうだな。」

 

「当然。我が槍には偽るものも、隠す様な事も一切ありはせぬ。」

 

そう言ってニヤッと笑ってみせた。

 

「それで、その槍に叶う様な人物はいたか?徐州なら陶謙だっけ。」

 

徐庶の言葉に、趙雲は困ったような笑みで首を振った。同様に戯志才と程立も微妙な顔をする。

 

「最近派遣されてきたばかりの方ですからね。やはり地元豪族達とのいざこざに手を焼いてました。」

 

「どうも動きが遅く、その程度の御仁、と言う事ですね〜。揚州の方はどうでしょう?」

 

程立に聞かれ、徐庶は悩んだ。あの時は、互いの利という事でいくつか話あったが、それをここで他人に話す事に抵抗があった。

 

「運良く、周公瑾と出会って話ができた。詳しい事は省くが、あれ程の人が支えるのだから、孫堅は間違いなく大物だろうな。」

 

なので人物評のみ話す事にした。だがその名前を聞いただけで、やはり3人とも僅かに表情を変える。

 

「彼女がいる以上、孫家の中での立身出世は多少難航するかもな。」

 

「成る程。仕官云々は置いておいて、揚州の方も一度行ってみないといけませんね。」

 

「その前に先ずは無事に山を抜けないとなぁ・・・。」

 

そう言って徐庶は溜息を吐いた。


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