可憐なる博徒 レイリ   作:tres

104 / 145
9話 ♯3「翌日に」

ーーー

 

 

 

カードショップからの帰り道。3人は交差点の前で立ち止まる。

 

「今日はありがとうございました!すごく楽しかったです!」

 

「ああ、俺も楽しかった」

 

「それじゃあ私はこっちなので!」

 

「あの、修せんぱい!また私と…」

 

もじもじと言葉に詰まる藍子。

 

「そうだな、また遊ぼうな」

 

赤石はそれを察して微笑みを見せると、

 

「はい!」

 

藍子は元気良く笑顔で答えた。

 

「桜ちゃんもまた学校でね!ばいばい!」

 

「ああ、じゃあな」

 

3人はそれぞれ帰路についた。

 

 

 

ーーー

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえり。どうだった?」

 

玄関のドアを開けてすぐ、トイレから出たばかりの柚葉が訊いてくる。

 

「楽しかったよ!」

 

もちろん、といった感じの笑顔で答える。でも、わかっちゃう。

 

「ふーん、よかったね」

 

興味無さ気に答える柚葉。やっぱりね。

 

「もー冷めてるなー!柚葉は」

 

「おねーちゃん、暑苦しいから抱きつかないで」

 

この冷めた反応、私のよく知るいつもの柚葉。だけど最近はさらに冷めちゃっててお姉ちゃんはちょっと寂しい。

 

「ぶー、少し前まで『おねーちゃんおねーちゃん』ってあんなに懐いてたのにー」

 

「成長したの」

 

「まだまだお子ちゃまのくせにー」

 

それを聞いた柚葉がむっと顔をしかめて、

 

「おねーちゃんには言われたくない。体もお子ちゃま」

 

私にとって強烈な毒を飛ばしてくる。

 

「ちょっと!人が気にしてることを…!っていうか体『も』って何よ!」

 

答える間もなく、柚葉はスタスタと部屋に戻って行く。ぶー、かわいくないなーもう!

 

 

 

ーーー

 

 

 

(どう組むのが良いんだ…?)

 

夜9時、入浴と夕食を済ませて部屋に戻った桜はカードショップで購入したカードたちとにらめっこをしていた。

 

購入したカードは主にファーニマル。主に動物をモチーフにしたぬいぐるみのようなモンスターたちが活躍するデッキだ。だが、

 

(つーか何だ?融合の方は凶悪な見た目してんな。アイコに選んでもらったけど、ちゃんと見ておくべきだったかな…)

 

一部のモンスターはそうではない。

 

(…植物の方組み直すか、こっちはまたアイコに教えてもらおう)

 

桜が手元のカードをまとめようとした時、思い出す。

 

(あ、そうだ。『DUEL ONLINE』なら…アイコに連絡するか)

 

桜は携帯電話を取り出しメールを送信した。

 

 

 

from『藍』

「やっほー!桜ちゃんデッキ組めた?」

 

桜のもとにメッセージが受信する。

 

to『sakura』

「kumetenai」

 

to『sakura』

「組めてにあ」

 

to『sakura』

「組めてない」

 

from『藍』

「あはは(笑)組めてないんだね」

 

to『sakura』

「ファーニマルよくわからない」

 

from『藍』

「よくわかんないかー。教えてあげたいけど文章だと長くなるから」

 

from『藍』

「月曜日に教えてあげるね!それじゃあデュエルしよ!」

 

to『sakura』

「うん」

 

桜と藍子は『DUEL ONLINE』内でデュエルを開始した。

 

 

 

ーーー

 

 

 

桐縹駅から夜道を歩き、彼女は自分の住むアパートに到着する。

 

デュエルハウス六武衆でのサングラスの女とのデュエル、喫茶メイドルチェでの柴岡との高レート勝負。紫たちと居酒屋での食事…ほぼ半日滞在した鶸櫨で彼女はこれらの出来事を経験した。

 

アパートの階段を上り、通路に出る。ちょうどその時、彼女の隣の部屋の扉が開いた。

 

(お隣さん…?)

 

表札に『梅里』と記されてある隣の部屋から出てきた住人は鍵を閉めると彼女に気付く。

 

「お、ひょっとして鈴瀬ちゃん?今帰りかい?」

 

「はい。こんばんは、梅里さん」

 

彼女に話しかけた隣の住人こと梅里、黒川の部下の警察官である。しかし互いに黒川という人間を通して知っていないので、隣人同士という関係に収まっている。

 

「僕は今から泊まり込みの仕事でさー」

 

「大変ですね」

 

「もう慣れたけどね。ところで、制服の時と随分印象が変わるんだね?最初わからなかったよ」

 

「この姿も、わたしです」

 

「そっか、そうだよね」

 

梅里は「ハハッ」と軽く笑う。

 

「さて、そんじゃ行ってきますか」

 

「お気をつけて」

 

「…あ、鈴瀬ちゃん」

 

階段の手前で梅里は思い出したように振り返る。

 

「はい」

 

「夜遊びは程々にしなよ?度が過ぎると補導されちゃうからね」

 

梅里は冗談っぽく笑うと、

 

「気をつけます」

 

階段を下りて行った。

 

 

 

ーーー

 

 

 

翌日午前9時、メールの着信音で彼女は目を覚ます。

 

「ん…」

 

体を起こして携帯電話を手に取り、メールを確認する。

 

from綾芽

「朝早くからすみません。今日麗梨さんのお家にお邪魔してもいいですか?」

 

to麗梨

「いいよ」

 

from綾芽

「ありがとうございます。あの、今からでもいいですか?」

 

to麗梨

「どうぞ」

 

彼女は携帯電話を置き、ベッドに座ったまま体を伸ばした。

 

(先にシャワー、ひと浴び)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。