可憐なる博徒 レイリ   作:tres

124 / 145
10話 ♯7「届かなくて」

(…残念、このターン中の勝ちは無いみたい)

 

「スタンバイ、メイン」

 

「《猛進する剣角獣》召喚」

《ダークジェロイド》攻撃力2000→2800守備力2300→3100

 

白は彼女の手元を窺うが、彼女に動く気配は無し。

 

(負けも無いみたいね)

 

「バトル、《猛進する剣角獣》で《機械犬マロン》に攻撃」

彼女LP1600-400=1200、《機械犬マロン》戦闘破壊、白LP2050-1000=1050、彼女LP1200-1000=200

 

(これで《破壊輪》は封じたわ。LPも残り200)

 

「メイン2、カードセット」

 

(あともうちょっとよ)

 

「エンド」

 

 

 

白手札0枚

LP1050

い 裏 ◇

う あ ◇

い=《団結の力》

う=《猛進する剣角獣》攻撃表示

あ=《ダークジェロイド》表側守備

 

白→彼女

 

ア=《呪魂の仮面》

◇ ◇ ◇

◇ ア 裏

LP200

彼女手札0枚

 

 

 

(《黒いペンダント》、引かなかった。ここで《ビッグ・シールド・ガードナー》引けば、勝ち)

 

彼女はそう思いながらドローするが、

 

「ドロー、スタンバイ、メイン」

《呪魂の仮面》効果、白LP1050-500=550

 

 

 

ドローカード《破壊輪》

 

(…ちょっと、遅かった)

 

引いたカードは《破壊輪》。1ターン前までは彼女に勝利をもたらしていたはずのそのカードだが、今はもう発動不可の腐ったカードと化していた。

 

「カードをセット」

 

「ターンエンドです」

 

 

 

白手札0枚

LP550

い 裏 ◇

う あ ◇

い=《団結の力》

う=《猛進する剣角獣》攻撃表示

あ=《ダークジェロイド》表側守備

 

彼女→白

 

ア=《呪魂の仮面》

◇ ◇ ◇

裏 ア 裏

LP200

彼女手札0枚

 

 

 

(伏せたのは《破壊輪》かしら?遅かったわね。おかげで生き延びれたわ)

 

(この子のLPは200、そして《波紋のバリア -ウェーブ・フォース-》がセットされてる)

 

(つまり1ターン前と同じ、しかもデッキがあと2枚だから2分の1。今度こそ引くカードは《黒いペンダント》ね。それで勝ち)

 

「ドロー」

 

 

 

(引かないじゃないのよ。一番下で眠ってるなんて聞いてないわ)

 

白は控えめに唇をへの字にする。

 

「スタンバイ、メイン」

 

(《メテオ・ストライク》、先にデッキ切れるのはあっちになるしあまり役立ちそうに無いわ。まあそれより、そろそろ仮面を外させてもらおうかしら)

 

「《ダークジェロイド》を攻撃表示に変更」

《ダークジェロイド》表側守備→攻撃表示

 

「バトル、《猛進する剣角獣》で攻撃」

 

「《波紋のバリア -ウェーブ・フォース-》を発動します」

《ダークジェロイド》デッキ、《猛進する剣角獣》デッキ、《呪魂の仮面》墓地、《団結の力》墓地

 

《波紋のバリア -ウェーブ・フォース-》の効果により白のデッキが3枚となる。

なお、残りデッキが3枚ということでシャッフルは彼女ではなく審判の青葉が受け持った。

 

(モンスターはデッキに戻っちゃったけど、《鎖付きブーメラン》があるから1ターンは凌げるわ)

 

「メイン2、カードセット」

 

「エンド」

 

 

 

白手札0枚

LP550

裏 裏 ◇

◇ ◇ ◇

 

白→彼女

 

◇ ◇ ◇

裏 ◇ ◇

LP200

彼女手札0枚

 

 

 

彼女のデッキはあと2枚。状況が変わったため前のターンと違い、ここで《ビッグ・シールド・ガードナー》を引いてしまうと彼女の負けとなる。確率は2分の1。

 

「ドロー、スタンバイ、メイン」

 

 

 

ドローカード《プロミネンス・ドラゴン》

 

(まだ、わからない)

 

「《プロミネンス・ドラゴン》を召喚します」

 

このデュエル中、お互いにあの時あのカードを引いていれば勝っていた、或いは引いてしまっていたら負けていた、そんな場面が何度もあった。どの場面も決して低くはない確率で。

 

(《プロミネンス・ドラゴン》…!前のターンに引かれてたら負けてたわ)

 

しかし、またしても勝負を決するカードは引かれず次のターンへと続く。勝利の女神は未だにどちらにも微笑むことはなく、2人の勝負を限界まで楽しむかのように縺れ込ませる。

 

「バトルフェイズ、《プロミネンス・ドラゴン》で攻撃します」

 

「《鎖付きブーメラン》発動」

《プロミネンス・ドラゴン》攻撃表示→表側守備

 

「ターンエンドです」

《プロミネンス・ドラゴン》効果、白LP550-500=50

 

 

 

白手札0枚

LP50

裏 ◇ ◇

◇ ◇ ◇

 

彼女→白

 

ア=《プロミネンス・ドラゴン》表側守備

◇ ア ◇

裏 ◇ ◇

LP200

彼女手札0枚

 

 

 

だが、縺れ込んだ勝負もここまで。このターンで勝敗が決定する。

 

白の残りデッキは3枚。《波紋のバリア -ウェーブ・フォース-》の効果で戻った《ダークジェロイド》と《猛進する剣角獣》、そして引かなかった《黒いペンダント》

 

このうちモンスターである《ダークジェロイド》と《猛進する剣角獣》はどちらも《プロミネンス・ドラゴン》の守備力1000を上回る攻撃力がある。

 

そして《猛進する剣角獣》はもちろん《ダークジェロイド》の方も前のターンセットした《メテオ・ストライク》と合わせることにより、攻撃すれば貫通ダメージが入りそのまま白の勝利となる。

 

しかし、そうではなく《黒いペンダント》を引いてしまった場合、《プロミネンス・ドラゴン》を破壊出来ずに彼女にターンを回してしまうため白の敗北となる。

 

つまりこのドローで全てが決する。白が引くのは《ダークジェロイド》か《猛進する剣角獣》か、或いは《黒いペンダント》か。

 

 

 

「ドロー」

 

白はゆっくりと手のひらを返し、ドローしたカードを見る。

 

 

 

 

 

(…長かったわ、ここまで)

 

「スタンバイ、メイン」

 

そしてそのカードを…

 

 

 

 

 

フィールドに出した。

 

「《ダークジェロイド》召喚、召喚時に効果発動、効果対象は《プロミネンス・ドラゴン》」

《プロミネンス・ドラゴン》攻撃力1500→700

 

「《メテオ・ストライク》発動、装備対象は《ダークジェロイド》」

 

「…」

 

白の手によってデュエルの幕が閉じられて行く様を、彼女はただ見届ける。

 

 

 

「楽しかったわ」

 

ふと白が口を開く。白は緊張状態から解放されたような、そんな柔らかな表情になっていた。

 

「わたしもです」

 

彼女も白に合わせるかのように表情を緩める。

 

「まさかここまでギリギリの勝負になるなんてね」

 

「あと50届きませんでした」

 

「50なんて紙一重の差よ。何か1枚でもずれてたらアナタが勝ってたかもしれないわ」

 

「ずれてて欲しかったです」

 

彼女は冗談っぽく微笑む。

 

「言うじゃないの。50だけでも残って良かったわ」

 

白もニヤリとしながら返す。そして少し間を置いてから動いた。

 

 

 

「さて、じゃあ決めるわね」

 

「はい」

 

「バトル、《ダークジェロイド》で《プロミネンス・ドラゴン》に攻撃」

 

その攻撃をもって、勝負は終幕を迎えた。

 

 

 

彼女LP200-200=0

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。