可憐なる博徒 レイリ   作:tres

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2話 ♯3「癖のあるリスト」

「…そういうことでしたら受けられません。他を当たってください」

 

彼女は席を立とうとする。しかし直後の一言で動けなくなる。

 

「ほお?逃げるんか。黒川に連絡して逮捕してもらうしかないなあ、現役高校生の鈴瀬ちゃんよ?」

 

「!…」

 

「黒川から色々聞いたで?こんな風にデュエルハウスをあちこち回って生計立てとるってこともな。ま、それでも逃げるっちゅうんなら止めへんけど」

 

(黒川さん、どういうこと…?何故教えたの…?)

 

彼女の中で様々な疑問が思い浮かぶ。

 

「あの男を信用したらあかんで。大方ワイが対戦相手を探しとるみたいなこと言われてそれで来たんやろ?」

 

「う…」

 

「図星みたいやな。まあそういうことや。なーに、勝てばそれで仕舞いや」

 

「…確かにそうですね。でも例え負けたとしても、身に着けてるものは渡せません。お金で支払います」

 

「はあ!?それじゃあこんなレートでやる意味無いやろが!」

 

村田の大声に彼女は思わずびくっと体を震わせる。

 

「あのなあ、このレートはな、いわばワイがお前に付けた値段や!順番に足、胸、○○や!ナハハ!」

 

「っ…」

 

彼女は嫌悪感と若干の恐怖を覚える。

 

「そう引くなや。むしろ誇れや。滅多にこんな高値付けへんで?それだけお前に価値があるっちゅうこっちゃ!な、当然やるやろ?やらんと損やで?」

 

村田はまくし立てるように同意を求める。

 

「…受けられません。お金だけでやりとりしないのなら」

 

「そうかそうか、無理か。ならしゃあない、金でええわ」

 

(あ、話が通った…?)

 

「そうですか、ではーーー」

 

「ただし100倍な」

 

「え?100倍…?」

 

「せや。つまり600、7500、30000や」

 

「!?」

 

彼女がホッと胸をなで下ろしたのも束の間、高額レートが提示される。

 

「あんなんで勝ったって小遣いにもなりゃせんわ。せやから100倍アップや。どや、受けるか?」

 

(こんなガキが大金持ってるわけあらへん。お前はワイが付けた値段でやるしかないんやで)

 

「…受けます」

 

「せやろな。じゃあワイの出したレート………は?受ける?」

 

「はい」

 

「金も無いくせに何言うてんねん。言っとくけど後日払うとかは無しーーー」

 

彼女はテーブルに100万円分の札束を置く。

 

「わかってます。見ての通りお金ならあります」

 

(なんやこいつ、金持っとんかいな)

 

「かばんにも、まだ入ってます」

 

(と、言っても計250万だけど)

 

「…ほんまに受けるんやな?」

 

村田の目つきが厳しくなる。

 

「…はい」

 

「おもろいやんけ。ワイに向かってきたこと後悔させたるわ」

 

「おい!誰か審判やってくれや」

 

 

 

「では私が務めさせていただきましょう」

 

村田の声に反応しカウンターの方から男が出てくる。

 

「青葉さん…!」

 

表情には出さないが彼女はちょっぴり嬉しそうだ。

 

「ふむ、奇遇ですな」

 

「なんやお前ら知り合いか?」

 

「お嬢さんのデュエルに一度審判として立ち会っただけでございます。ジャッジは公平に執り行いますのでご安心を」

 

「ほーん、まあええわ。ルールはここのハウスルール、レートは600、7500、30000や」

 

「かしこまりました。ではーーー」

 

「おうちょっと待て」

 

準備に入ろうとする青葉を制止する。

 

「何でしょう?」

 

「ここのハウスルール、悪ないけど最初に選ばんかった5枚が使えなくなるっちゅうのは気に食わん」

 

「せやからワイの提案するルールでやらんか?」

 

村田はルールの提案を申し込む。そのルールとはこうだ。

 

カードリストの20枚からまず10枚を選び、それを第1戦でのデッキとする。

第1戦終了後、第1戦で使用したデッキのカード5枚と、最初に選ばなかった10枚のカードから5枚を選び、入れ換える。

入れ換えが完了したそれを第2戦のデッキとする。なお、この時デッキから抜いたカードは破棄され使用できなくなる。

第2戦終了後も同じ要領で5枚を入れ換える。つまり20枚全てのカードを必ず1度は使うというルールだ。

 

「どうされますかな?」

 

青葉は彼女に確認を問う。

 

「いいですよ、そのルールで」

 

「決まりやな、もう後には引けんで」

 

 

 

「ではまずカードリストを決めるクジですな。どちらの方か1枚お選びください」

 

青葉はポケットから5枚のカードを取り出し、裏側のままテーブルに並べる。

今回は左から白・紫・緑・黄・黒色の順だ。

 

「選ばしたるわ、引けや」

 

「じゃあ…」

 

彼女は紫のスリーブに入ったカードを選択した。

そのままカードをめくる。

 

「【マシュマロン】ですな。しばしお待ちを」

 

店の奥の引き出しから青葉が問いかける。

 

「お二方、スリーブは赤と黒がございますがどちらになさいますか?」

 

「赤でお願いします」

 

「じゃあワイは黒で」

 

「かしこまりました」

 

青葉は村田に黒スリーブのカードの束を、彼女に赤スリーブの束を渡した。

 

(スリーブに傷は無いよね…念のため)

 

彼女は一応の確認をする。スリーブは多少なり使用されてきた形跡はあるものの、前回ほどの目立った傷は無かった。

 

「さて、お二方には同じ20枚のカードをお渡ししています。こちらがカードセット表でございます。各自ご確認を」

 

 

 

1マシュマロン 攻 300/守 500

2イグザリオン・ユニバース 攻1800/守1900

3異次元の女戦士 攻1500/守1600

4人喰い虫 攻 450/守 600

5サイバー・ドラゴン 攻2100/守1600

6魔導戦士 ブレイカー 攻1600/守1000

7マイン・ゴーレム 攻1000/守1900

8有翼賢者ファルコス 攻1700/守1200

9髑髏顔 天道虫 攻 500/守1500

10アマゾネスの剣士 攻1500/守1600

 

11魔導師の力

12手札抹殺

13太陽の書

14ビッグバン・シュート

15エネミーコントローラー

 

16鎖付きブーメラン

17砂塵の大竜巻

18リビングデッドの呼び声

19奈落の落とし穴

20万能地雷グレイモヤ

 

 

 

「おう、揃ってるで」

 

「こちらも大丈夫です」

 

お互いカードの確認を終える。

 

(こらまた癖のあるカードばっかやな。効果覚えてないカードもあるで)

 

(どう選ぼうかな…)

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