「ドロー、スタンバイ、メイン」
先攻は赤石。
「《RR-ネスト》を発動。《RR-バニシング・レイニアス》を召喚、効果を発動し手札から《RR-ラスト・ストリクス》を特殊召喚」
(【RR】!いきなり《RR-ラスト・ストリクス》が召喚されたってことは、まずいかも…!)
赤石の初動に藍子は身構える。藍子が警戒しているのはもちろんあのモンスター。
(機械…いや鳥か?)
桜にとってはどうやら初めて見るカードのようだ。
「《RR-ネスト》の効果発動、デッキから《RR-ファジー・レイニアス》を手札に加える」
「《RR-ラスト・ストリクス》をリリースして効果発動、EXデッキから《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》を特殊召喚」
「《RUM-スキップ・フォース》を発動。EXデッキから《RR-アルティメット・ファルコン》を特殊召喚」
(わー!やっぱり来ちゃったー…)
藍子が危惧していたモンスターが現れる。しかし、赤石は切り札を出しただけでは止まらない。
「手札の《RR-ファジー・レイニアス》の効果を発動して特殊召喚」
「《RR-ファジー・レイニアス》をリリースして《スワローズ・ネスト》を発動、デッキから《RR-トリビュート・レイニアス》を特殊召喚」
「墓地へ送られた《RR-ファジー・レイニアス》の効果を発動してデッキから「RR-ファジー・レイニアス」を手札に加える」
「《RR-トリビュート・レイニアス》の効果発動、デッキから《RR-ミミクリー・レイニアス》を墓地へ送る」
「墓地の《RR-ミミクリー・レイニアス》を除外して効果発動、デッキから《RR-レディネス》を手札に加える」
「《RR-バニシング・レイニアス》と《RR-トリビュート・レイニアス》で《RR-フォース・ストリクス》をX召喚」
「《RR-フォース・ストリクス》のX素材を1つ取り除いて効果発動、デッキから《RR-インペイル・レイニアス》を手札に加える」
「カードをセット、ターンエンド」
(すげーな…1ターン目からこんな動くのか)
桜は赤石のフィールドを眺めながらこれまでの動きに感心する。
「ドロー、スタンバイ、メイン」
(どうしよう、《RR-アルティメット・ファルコン》を倒せる手段が無いよー!)
対戦相手の藍子だが、現状対抗できる手段が見つからないようで、
「モンスターをセット」
(次のドローに賭ける…!)
「ターンエンドです…」
次のドローに託してモンスターのセットのみでターンを終えた。
しかしもう一度ターンに回ることはなく、藍子は次のターン赤石からの猛攻を受けLPを削り切られるのであった。
「効果を受けないって強すぎるよー…」
うー、と小さく唸る藍子。あっという間の決着だったためか悔しさはあまり感じていない様子である。
「効果を受けないモンスターってどうやって倒すんだ?」
桜は手に持った《RR-アルティメット・ファルコン》のテキストを読みながら赤石に問う。
「こいつの場合は戦闘だな。攻撃力で上回ればいい」
「いやでも攻撃力3500あるぞこいつ」
「そうだな、超えるのは結構厳しい」
「ほぼ無敵みたいなもんじゃねーか…!」
桜は驚嘆の息を吐き、テーブルに《RR-アルティメット・ファルコン》を戻す。
「まあ、コストでのリリースには無力だから《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》とかで処理するって方法もある」
「なるほど…」
「何にしても突破する方法が相当限られる以上、出されたらどう対策するかというより出させないようにした方がいいだろうな」
「未然に防ぐってことか」
「…桜ちゃん」
テーブルに置かれた《RR-アルティメット・ファルコン》を見つめながら藍子が口を開く。
「ん?」
「効果を受けないなんて強力な耐性持ってるモンスターって普通出しにくいって思うよね?」
「まあ、そうだな」
「でもこの《RR-アルティメット・ファルコン》はたった2枚のカードで出てくるの!そのうちの1枚はサーチしやすいし…!効果もそうだけどこの出しやすさが強すぎるのー!」
うー、と再び唸る藍子。
「1ターン目から出てきたもんな…やっぱ無敵じゃねーか?」
「さっきのは手札に揃ってただけだ。それに使ってみればわかるが思ったよりは出なかったりする」
赤石は自分の使ったカードをまとめる。
「ふーん…」
「うー、次こそ…!修せんぱい、もう1戦お願いしていいですか?」
藍子は気を取り直して赤石に再戦を申し込む。
「ああ、いいぞ」
「次は負けませんからね!」
3人は夕方までデュエルを楽しむのであった。
ーーー
「修せんぱい、今日はありがとうございました!」
藍子は玄関先でお礼を述べる。
「おう。こっちこそ俺や桜とデュエルしてくれてありがとな」
「いえ!そんな…ぜひ私とまたデュエルして下さいね!」
ニッコリと笑顔を見せる藍子。赤石もそれに応えるように「ああ」と頷いた。
「それではきっと近いうちに…!桜ちゃん、また明日学校でね!」
「ああ、また明日」
藍子は手を振って家へと帰って行った。
「強かったな、藍子ちゃん」
藍子の姿が見えなくなった後、赤石が口を開く。
「ん?強かったってデュエルがか?」
「ああ。何つうか、デュエルハウスでデュエルしてるような気分だった」
「何だそりゃ」
よくわからない、といった表情の桜。
「ちょっとでも気を抜いたらやられるあの緊迫した感じがそれっぽかったっつうか…」
「…?」
赤石自身も上手く言葉にできないようで、桜は増々理解から遠のく。
「まあ強かったってことだ。桜もプレイングが良くなってきてたな、ついこの間まで初心者だったとは思えなかったぞ」
「そ、そうか?」
桜は内心嬉しく思いながらきき返す。
「まだまだ甘いところはあるけどな。俺を越えたければもっと修行に励むように」
「けっ、そう言ってられんのも今のうちだ」
「そうか、期待せず待っといてやろう。さ、戻るか」
「そうだな」
2人は家へと戻った。
ーーー
午後6時。家のインターホンが鳴り、彼女はドアを開ける。
「どうもー。お世話になりにきたわ」
訪れたのは藜霞。昨日言っていた通り、これから鶸櫨記念まで彼女の家に滞在することとなる。
「ようこそ」
「先にお風呂借りていいかしら?汗ばんじゃって。これ食材」
藜霞は食材が入ったスーパーマーケットの袋を彼女に手渡す。今日の夕食は2人で作ると決めていたため、藜霞は道中スーパーマーケットに寄り食材を仕入れてきていた。
「いいですよ。冷蔵庫に入れておきます」
「お願いね」
藜霞は家に上がり風呂場へと向かった。
「ふー、さっぱり」
汗を流し終えた藜霞がリビングに現れる。
「藜霞さん」
藜霞に彼女が声をかける。
「なに」
何故声をかけたのか、その姿を見れば一目瞭然。
「服、着ないんですか?」
藜霞は文字通り風呂上がりの姿そのままであったからだ。
「ワタシ裸族だから夏場はだいたいこの格好よ」
「お料理の時、やけどしますよ?」
「あ、それもそうね。エプロンくらいは着けようかしら」
「服の上から着ることをおすすめします」
彼女は冷静に勧めた。