可憐なる博徒 レイリ   作:tres

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5話 ♯1「鶸櫨会館」

「…広いな」

 

赤石が扉を開けると広大なエントランスが待ち受けていた。しかし広さに反して人は疎らのようだ。その光景を目にして彼女は

 

「電気代、高そう…」

 

ぽつりと呟いた。

 

(そこか…)

 

彼女の呟きに赤石は心の中でツッコミを入れる。

 

「赤石様と鈴瀬様ですね?お待ちしておりました」

 

2人の入館に気付いた会館の従業員が近付き声をかける。

 

「ご案内致します」

 

従業員が奥の方へと歩き出すと2人は後ろをついて行った。

 

 

 

「こちらでございます」

 

広い会館を歩き、エレベーターに乗り、また歩き…そうして案内されたのはよくある会議室のような空間。そんなに広くはない。

室内は物が少なく殺風景で、中央には勝負に使うであろう四角のテーブルが1台。椅子は2席ずつ向かい合って計4席あるだけだ。

 

そして同じような恰好をした黒服が数人程。対戦相手はまだ見当たらない。

 

「では、ご武運を」

 

2人を案内した従業員はそう言って部屋の扉を閉め去った。

 

 

 

これからの進行を務めるであろう黒服の1人が声をかける。

 

「お待ちしておりました赤石様、鈴瀬様、相手方はまだ来られておりません。どちらかの席に座りお待ち下さい」

 

黒服の言葉を受け2人は左側の2席にそれぞれ着席した。

 

 

 

しばし張り詰めた空気の漂う静かな時間が流れた後、再び部屋の扉が開いた。

 

「では、ご武運を」

 

同じような流れで案内されてきたであろう2人の顔を見た瞬間、彼女は目を見開いた。

 

「お待ちしておりました柳沢(ヤナギサワ)様、ヘズ様、どちらかの席に座り下さい」

 

彼女はそのうちの1人を知っている。

 

 

 

「よぉ、2週間ぶりくらいかぁ?」

 

その1人が彼女に声をかけた。

 

「あなたが相手…?」

 

その相手とは2週間前、デュエルハウス黒蠍で彼女とデュエルして負けた若者だった。今更ながら名は柳沢というらしい。

 

「あぁそうだ。負けを取り返しに来たぜ」

 

「おい柳沢、座ってから話せヨ」

 

既に席についていたもう1人が着席を促す。

 

「へいよ」

 

柳沢が着席しこれで4人全員が座った形だ。

 

「お前、現役高校生なんだってな。黒川から聞かされたぜぇ?」

 

言ってしまえば、このタッグデュエルの舞台は黒川が仕組んだものだ。望んだのは柳沢だが。

タッグデュエルにした主な理由は、赤石と彼女がデュエルした事を知った黒川の、この2人が組んだらどうなるのかという好奇心。もちろん他にも理由はある。

彼女に連絡するまでもなく、赤石が誰をパートナーに選ぶかは当然予測しているし、柳沢が誰を連れて来るのかも予測している。

ただリベンジが成功するか否かは黒川の知るところではない。ルール等も黒服に任せてある。

 

「しかし相変わらずかわいい顔してんなぁ。今日は彼氏連れかぁ?」

 

「…」

 

彼女は柳沢の言葉を無視する。

 

「レイリ、知り合いか?」

 

赤石が柳沢を見ながら問う。

 

「1度デュエルしただけ…」

 

彼女は静かに答える。

 

「なぁ彼氏さんよ、麗梨ちゃんとはどこまでいったんだ?」

 

「あ?何のことだ?」

 

「そりゃ、付き合ってる男女がするーーー」

 

「ああ!?」

 

柳沢が言い終える前に赤石はガンを飛ばした。

 

「おぉ、怖ぇな。冗談だって、そんなに睨むなよ」

 

赤石の睨みが効いたのか柳沢は怯む。

 

「おい、下らないこと言って相手を怒らせるなヨ」

 

「へいへい」

 

隣から呆れ気味に投げられた言葉に柳沢は軽く返した。

 

 

 

「ああ、俺はヘズ。今日は柳沢のパートナーとして来た、よろしくナ」

 

彼女の視線に気付いたヘズは名を名乗った。

 

「鈴瀬です、よろしくお願いします」

 

(語尾にちょっと癖があるかも。外国の方?)

 

金髪碧眼とまではいかないが、髪色は金に近く、目は仄かに青みがかって一般的な東洋人のそれとは異なる見た目をしていた。

しかし日本語能力には問題無さそうだ。

 

「赤石だ、よろしく」

 

「よろしく、さっきは柳沢がすまなかったネ」

 

「いえ、構いませんよ。お互い良いデュエルにしましょう」

 

赤石は礼儀正しく返事をした。

 

 

 

「では、そろそろ始めさせて頂いても宜しいですか?」

 

会話が途切れたのを確認して黒服の1人がテーブルへと向かう。

 

そしてテーブルの端中央付近、いわゆる審判の位置に立ち止まり、

 

「念のため確認しますが、席順はそのままで宜しいですか?」

 

それぞれ4人に確かめると、4人ともそのままで構わないと返事をした。

 

「ではこれよりルール説明を致します。と、その前に…アレを頼む」

 

審判役の黒服は別の黒服に何か持って来るよう促し、すぐにそれを受け取った。

 

「今日のデュエルで使用するカードです。5分時間を取りますので、記憶して下さい」

 

黒服は資料を配布する。内容はシンプルにカード名が記されていた。

 

 

 

【A】

《ジェネティック・ワーウルフ》攻2000/守 100

《死霊騎士デスカリバー・ナイト》攻1900/守1800

《サイバー・ドラゴン》攻2100/守1600

《ランサー・デーモン》攻1600/守1400

《ツイン・ブレイカー》攻1600/守1000

《サンダー・ボルト》

《ハーピィの羽根帚》

《大寒波》

《死者蘇生》

《デーモンの斧》

 

【B】

《クリボー》攻 300/守 200

《王座の侵略者》攻1350/守1700

《首領・ザルーグ》攻1400/守1500

《ニュート》攻1900/守 400

《ダークシー・フロート》攻 0/守 300

《ディメンション・ウォール》

《次元幽閉》

《聖なるバリア -ミラーフォース-》

《徴兵令》

《落とし穴》

 

【C】

《翻弄するエルフの剣士》攻1400/守1200

《不意打ち又佐》攻1300/守 800

《サイバー・ドラゴン》攻2100/守1600

《執念深き老魔術師》攻 450/守 600

《サイクロン》

《強制転移》

《成金ゴブリン》

《激流葬》

《ロスト》

《落とし穴》

 

【D】

《サイバー・チュチュ》攻1000/守 800

《ダンディライオン》攻 300/守 300

《リーフ・フェアリー》攻 900/守 400

《速攻のかかし》攻 0/守 0

《巨大化》

《黒いペンダント》

《自律行動ユニット》

《神の宣告》

《不運なリポート》

《ホーリー・エルフの祝福》

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