可憐なる博徒 レイリ   作:tres

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5話 ♯2「複雑に変則」

4人は資料に目を通しながら記憶するだけでなく各自、様々な考えを張り巡らす。赤石と彼女はもちろんのこと、柳沢とヘズにとってもここでのデュエルはおそらく初であろう。

 

(これは、そのまま4つのデッキという解釈でいいのカ?)

 

(だとしたらAを引きてぇな。もしくはヘズがAか。だが)

 

ヘズの解釈通りなら、Aのカードリストは他より数段上の強さを持っている。しかし実際にそうであるかはこの段階ではわからない。資料には使用カードが示されているだけ。

 

(まだわからない…今は覚えるだけ)

 

(順番や流れは後から説明あるだろうしな)

 

彼女と赤石も含め4人はカードを覚えることに集中した。

 

 

 

ちょうど5分を経過したところで、黒服が口を開いた。

 

「5分経過しました。資料を回収します」

 

別の黒服が資料を回収していく。4人ともカードはほぼ記憶したようだ。

 

回収と同時にまた別の黒服が今度は2つの箱をテーブルへと持っていく。

 

「では次に順番と使用デッキを決めます。赤の箱、青の箱からそれぞれ1つずつクジを引いて下さい。引きましたら中身はまだ見ずにテーブルに置いて下さい」

 

各自クジを引きテーブルに置く。クジは紙に包まれていて中は見えない。

 

「赤の箱のクジにはAからDのアルファベットが書かれています。引いたクジに記されているアルファベットが各自1戦目のデッキとなります」

 

「それでは赤の方のクジを開けて下さい」

 

黒服の指示で4人はクジを開封した。その結果は

 

 

 

柳沢=【B】 ヘズ=【C】 赤石=【A】 彼女=【D】

 

(よし、【A】だ。レイリは…【D】か。まあ、悪くはねえな)

 

【A】デッキは他のデッキと比べると明らかに強い。2人相手だろうが押し切ってしまえる程に。

逆に【D】は、罠カードが充実してる【B】やバランスの取れてる【C】と比べても1、2段見劣りしてしまう。装備魔法があるとはいえ、パワー不足は否めない。

 

赤石が強力な【A】を引いたというのに、悪くはないという感想になるのも自然である。だからといって彼女に悪態をつくようなことは決してしない。赤石も運、もといギャンブルというものをよく知っている。

 

(【B】と【C】か、五分五分ってところだネ。青のクジに期待するカ)

 

 

 

「では青の方のクジを開けながらで良いので聞いて下さい」

 

黒服の指示通り4人はクジを開封していく。

 

(…【1】だナ)

 

「青の箱のクジには0、1、2、3の数字が書かれています。1、2、3という順番で2戦目、3戦目と進んだ時にデッキを別のプレイヤーへと回します」

 

(まぁ、さすがに3戦連続同じデッキっつぅことはないわな。【B】と【C】じゃ勝てるか微妙だし。お?【2】か)

 

「そして0は…」

 

 

 

「回さずに3戦連続そのデッキでデュエルして頂きます」

 

(相手が【1】と【2】、俺は…【3】!?ってことは…!)

 

 

 

(…【0】)

 

彼女はクジの中を見た後、俯きながらテーブルに置いた。

 

各々が座っている席と引いたクジの結果から使用デッキは以下のようになる。

 

 

 

左上柳沢 右上ヘズ

左下赤石 右下彼女

 

1戦目

柳沢【B】 ヘズ【C】

赤石【A】 彼女【D】

 

2戦目

柳沢【C】 ヘズ【A】

赤石【B】 彼女【D】

 

3戦目

柳沢【A】 ヘズ【B】

赤石【C】 彼女【D】

 

 

 

「ははっ、【D】で【0】とはついてねぇなぁ?」

 

柳沢は笑いながら彼女を煽る。

 

(ふう、赤石が【0】を引かなくて良かったヨ)

 

それに対し、【A】デッキを3戦連続で使われるという最悪を回避したことにヘズは安堵する。

 

「お前も悲惨だなぁ、同情するぜ」

 

柳沢は赤石を軽く憐れんだ。

 

 

 

「…同情?」

 

しかし赤石は不敵な笑みを見せる。

 

「何言ってやがる、むしろお前のパートナーに同情するな」

 

「…何だと?」

 

「不運だったかどうかは終わってからわかるもんだ」

 

「そうだナ。勝った気になるのはまだ早イ」

 

ヘズも赤石の言葉に同意する。

 

「レイリ、顔を上げな。勝ってやろうぜそのデッキで」

 

(赤石先輩…)

 

「…はい」

 

彼女は顔を上げてしっかりと相手を見据えた。

 

(ちっ、なんか気に入らねぇな。まぁ、こっちが有利なのは明白だ。勝って取り返してやる)

 

 

 

「それではルールの説明をします。タッグデュエルという変則デュエルである以上、多少長くなりますが記憶して下さい」

 

(結構無茶言うナ、この審判)

 

その後審判からの長い説明があり、各自不完全ながらも記憶していった。まとめると以下のようになる。

 

 

 

ルール

基本はLP4000、手札3枚、先攻ドロー有りのスピードルール。

フィールドはプレイヤー毎に独立している。攻撃が出来るのは4番目のターンプレイヤーから。

パートナーの手札やセットカードは通常のデュエルと同じく非公開情報として扱う。

攻撃や効果対象の選択は、まずプレイヤーを指定するという手順を踏む。

例えばサンダーボルト等は相手フィールドを指定してからそのフィールドのモンスター全てという形になる。

ただし、激流葬等はその手順を踏まず4つのフィールドのモンスター全てという形になる。

攻撃反応型の罠は、そのカードがセットされているフィールドへの攻撃でなければ発動不可。

プレイヤーAに攻撃した後、同バトルフェイズ内でも別のモンスターでプレイヤーBへと攻撃することも可能。

 

プレイヤーの敗北時について

LPが0、またはデッキ0で引けなくなり敗北した場合、フィールドのカードはパートナーのフィールドへと引き継げる。

その場合、引き継ぐカードは生存しているパートナーが選択する(セットされているカードを見ても構わない)

また、引き継げる枚数はパートナーのフィールドの空きがある分だけ。

墓地はそのまま残る。他プレイヤーの死者蘇生等の対象にすることも可能(パートナーのカード使用自体はルールに違反しない)

デッキに関しては残ってても引くことは出来ず、効果の対象にも出来ない。

ダメージを受けてLPが0を下回った場合、超過ダメージは超過分パートナーのLPから引かれる。デッキ切れでの敗北の場合は残ったLP分パートナーに加算される。

なお、敗北したプレイヤーのターンは以後パートナーのターンとして回る。

 

デュエルの終了時と開始時について

プレイヤーとそのパートナーの2人共が敗北した瞬間にデュエルの終了が確定する。

ターン中に相手LPを0にしてデュエルの終了を確定させたプレイヤーは、次のデュエル4番目のターンプレイヤーとなる(デッキ切れの場合はその1つ前のターンプレイヤー)

4番目のターンプレイヤーの対角に位置する者が必然的に1番目のターンプレイヤーとなり、1番目のターンプレイヤーの前に位置する者が2番目のターンプレイヤーとなる。

 

先に2勝した側がマッチに勝利する。また、デュエル中不明な点があれば審判に確認を取ってもよい。

 

 

 

「最後に先攻、即ち1番目のターンプレイヤーを決めます」

 

審判はテーブルに4枚の裏返しになったカードを並べる。

 

「1枚だけ当たりがあります」

 

4人がカードを手に取りめくった結果、1戦目は赤石が先行となった。

 

「それでは、デュエルを…失礼、1つ重要な事を忘れてました」

 

審判は思い出したように黒服へと視線を送る。

 

受け取った黒服はすぐさま理解し、迅速に物を持ってきた。

 

 

 

「…!」

 

彼女が驚く間も無く、赤石と彼女の間に薄い仕切りのようなものが設置される。

 

「こちらの仕切りはパートナーの顔と手札を隠すためのものです」

 

同じく柳沢とヘズの間にも設置される。対戦相手側から見ればわかるが、仕切りは思ったよりも小さい。言葉通りパートナーの顔と手札だけを隠すような大きさだ。

 

「デュエル中、パートナーの顔や手札を見ることは禁止します。お互いの手札を見ながらの相談など興ざめもいいところですからね。仕切りを越えて覗き込む、または手札をパートナーに見せるような行為が発覚した場合は即敗北にさせて頂きます」

 

(なるほど。まあ俺からすれば見えていようが関係ねえな。それよりまずは…確実に初戦を取る!)

 

赤石の目付きがより鋭さを増した。

 

「では改めて、デュエルを開始します」

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