(ほぉ、守備固めかぁ?)
「ドロー、スタンーーー」
「待った、このタイミングで罠発動するヨ」《徴兵令》発動
ヘズが柳沢を割り込むように発動する。
「対象は、柳沢ダ」
ヘズは柳沢のデッキトップを指すと、そのまま流れるように柳沢のデッキトップをめくった。《徴兵令》効果、柳沢デッキトップ《大寒波》→柳沢の手札へ
(ぐっ、パートナー相手に徴兵令…!いや、それより)
「審判、勝手に相手のデッキトップをめくるのはルール上問題無いんですか?」
「めくられた相手が抗議しなければ問題ありません」
赤石は審判に問うものの、問題無いとの答えが返ってくる。
赤石は今の行為にイカサマを疑った。デッキトップを操作して《大寒波》にしたんじゃないかと。
しかしイカサマをしていたとしてもそれを証明する手段も無く、赤石はただ審判に確認するだけにとどまった。
(また大寒波…うん?)
彼女も《徴兵令》の効果でめくったカードが1戦目と同じく《大寒波》であったことに疑問を持った。が、彼女が引っ掛かっていたのはそこではない。
(まだわかんない…ちょっと、保留)
「そういうわけだ、もちろん俺は抗議するつもりは無いぜぇ?」
柳沢はそのままデッキトップを手札に加える。
「今はスタンバイフェイズだったな、じゃあメインで」
「早速《大寒波》発動するぜぇ」
「《ランサー・デーモン》反転召喚、《死霊騎士デスカリバー・ナイト》召喚」
(くそ、並べてきやがったか…)
「バトルフェイズ」
(赤石のモンスターは翻弄するエルフの剣士と執念深き老魔術師か?)
(だとしたら最初のターンからセットされてる方が翻弄するエルフの剣士っぽいな、執念深き老魔術師だったらさっきのターンリバースするはずだし)
(まずはランサー・デーモンできっちり墓地送りにしとくか、その後は貫通で大ダメージを与えてやる)
「ランサー・デーモンで赤石の真ん中のモンスターに攻撃」
(…よし、はずしたか)セットモンスター《執念深き老魔術師》、《執念深き老魔術師》効果、《死霊騎士デスカリバー・ナイト》効果、《執念深き老魔術師》無効→破壊
「ちっ!くそ、そっちだったか、《サイバー・ドラゴン》で赤石に攻撃」セットモンスター《翻弄するエルフの剣士》裏側守備→表側守備
(欲を出して悪い目を引いたカ。命取りにならなきゃいいガ…)
(まあ柳沢には伝えたし手は打った、問題なイ)
「…ターンエンド」
柳沢手札2枚 ヘズ手札1枚
LP4000 LP4000
◇ ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ア イ ◇ ◇ ◇
ア=《サイバー・ドラゴン》攻撃表示 イ=《ランサー・デーモン》攻撃表示
柳沢→彼女
い=《翻弄するエルフの剣士》表側守備
い ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ◇ 裏 ◇ ◇ ◇
LP4000 LP4000
赤石手札1枚 彼女手札3枚
《死霊騎士デスカリバー・ナイト》星4/闇属性/悪魔族/攻1900/守1800
このカードは特殊召喚できない。
(1):モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動する。その発動を無効にし破壊する。
「ドロー、スタンバイ、メイン」ドローカード《サイバー・チュチュ》
(相手の狙いは赤石先輩…わたしは後回し)
「《サイバー・チュチュ》召喚」
(じゃあ後回し、されないようにします)
「バトルフェイズ、《サイバー・チュチュ》の効果で柳沢さんに直接攻撃します」柳沢LP4000-1000=3000
(ケッ、地味に鬱陶しいことしやがるなぁ)
「ターンエンド」
柳沢手札2枚 ヘズ手札1枚
LP3000 LP4000
◇ ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ア イ ◇ ◇ ◇
ア=《サイバー・ドラゴン》攻撃表示 イ=《ランサー・デーモン》攻撃表示
彼女→ヘズ
い=《翻弄するエルフの剣士》表側守備 あ=《サイバー・チュチュ》攻撃表示
い ◇ ◇ あ 裏 ◇
◇ ◇ 裏 ◇ ◇ ◇
LP4000 LP4000
赤石手札1枚 彼女手札3枚
「draw standby main」
(さあ、見せてやるカ)
「《ジェネティック・ワーウルフ》召喚」
「なっ…!?」
(ほぉ、ジェネティック・ワーウルフだったのか。ついてるなヘズ)
(ジェネティック・ワーウルフは柳沢の【A】デッキに入ってるカードのはずだ…!)
赤石は驚きながらも審判へと顔を向けるが、審判は平然としていて動かない。
それはつまりルールには違反していないということを表していた。
(赤石君も理解しているナ。【パートナーのカード使用自体はルールに違反しない】、現場を押さえられなければセーフなのサ。まあ3戦目にしか使えないけどネ)
(仕込んだのは間違いなく徴兵令を発動した時だ…!2戦目が終わった後、黒服がデッキをシャッフルしてすぐに3戦目が始まって…カードを入れ替える時間は無かったし、そういう素振りも無かった)
(ああ、だから3戦目か!次のデュエルが無い…だがどうやってジェネティック・ワーウルフをーーー)
その時、赤石は足に何かの感触があることに気付いた。
(!…なるほど)
「battle」
ーーー
遡ること2時間前、赤石と彼女は夕食中に打ち合わせをしていた。サインの取り決めだ。といっても10種類にも満たない少数だが。
使うカードもルールもわからないこの時点で何を取り決めるのかと思うかもしれないが、それにより状況を好転させることもなくはない。例えば…
イカサマの種類とかだ。
ーーー
(引いたんじゃなくて送ったと考えると…)
彼女は考えていた、ヘズの行為の意味について。
(!…そっか、あの手の動き)
そしてヘズがバトルフェイズに入る直前に彼女は思考の末、例のターンで引っ掛かっていた部分の解消に至る。
(気付いてるかもしれないけど、赤石先輩に伝えないと…)
ーーー
「《ジェネティック・ワーウルフ》で鈴瀬さんの《サイバー・チュチュ》に攻撃」《サイバー・チュチュ》戦闘破壊、彼女LP4000-1000=3000
彼女は足伝いにサインを送っていた。視線や手の動きで伝えるサインも取り決めてはいたが、仕切りのあるこのデュエルでは使えない。それら以外だと足1択だった。
『イカサマ、デッキトップ、オクリコミ』
(送り込み…ってことはジェネティック・ワーウルフを取ったんじゃなく、デッキに送り込んだあとそのデッキから引いたのがたまたま《ジェネティック・ワーウルフ》だったってことか?)
(送り込んだカードはモンスターか罠か…いや、わざわざ【A】デッキにモンスターを送らなくても元々【A】デッキにはモンスターが揃ってるからそれは無え。それなら牽制の意味も込めて罠と考えた方が自然だ)
(…なるほど、やってくれるじゃねえか。機会がありゃもう1回やってくるかもな)
彼女のサインを受け取ったことにより、赤石はイカサマの正体を捉えた。
(手札にモンスターが無かったからナ。引いたカードがジェネティック・ワーウルフだったのは運が良かったヨ)
「turn end」
柳沢手札2枚 ヘズ手札1枚
LP3000 LP4000
◇ ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ア イ ◇ ウ ◇
ア=《サイバー・ドラゴン》攻撃表示 イ=《ランサー・デーモン》攻撃表示 ウ=《ジェネティック・ワーウルフ》攻撃表示
ヘズ→赤石
い=《翻弄するエルフの剣士》表側守備
い ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ◇ 裏 ◇ ◇ ◇
LP4000 LP3000
赤石手札1枚 彼女手札3枚
「ドロー、スタンバイ、メイン」ドローカード《サイクロン》
(まあイカサマのやり方が判明したからといっても、どうにも出来ねえがな…2度目の警戒だけはしておくか)
赤石は手札とフィールドを交互に見る。
(相手が悪い目を引いてくれたとはいえ、状況は芳しくねえな…だが、待っていてもただやられるだけだ)
「《翻弄するエルフの剣士》をリリースして《サイバー・ドラゴン》を召喚、バトルフェイズ」
(攻撃すべきは…こっちだ!)
「柳沢さんの《サイバー・ドラゴン》に攻撃」
(へっ、相打ち狙いか)柳沢《サイバー・ドラゴン》戦闘破壊、赤石《サイバー・ドラゴン》戦闘破壊
(こいつは、まだ伏せずに)
「ターンエンド」
柳沢手札2枚 ヘズ手札1枚
LP3000 LP4000
◇ ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ◇ イ ◇ ウ ◇
イ=《ランサー・デーモン》攻撃表示 ウ=《ジェネティック・ワーウルフ》攻撃表示
赤石→柳沢
◇ ◇ ◇ ◇ 裏 ◇
◇ ◇ 裏 ◇ ◇ ◇
LP4000 LP3000
赤石手札1枚 彼女手札3枚