「ドロー」
(お願い…)
彼女は目を瞑り祈るようにドローした。
(祈ったって無駄さ)
「…スタンバイ、メイン」
「カードをセット」
「【スピア・ドラゴン】召喚。ターンエンド」
彼女手札2枚
攻撃表示【スピア・ドラゴン】
魔法罠セット1枚
若者手札3枚、場0枚
「ドロー、スタンバイ、メイン」
若者手札【スケルエンジェル】【激流葬】【強制転移】【聖なるバリア -ミラーフォース-】
(さあ伏せカードは、っと)
若者は1回戦の時と同じように数秒間、彼女のフィールドを見た。
(…ふーん)
「カードセット。もう一枚セット」
「モンスターセット。ターンエンドだ」
彼女手札2枚
攻撃表示【スピア・ドラゴン】
魔法罠セット1枚
若者手札1枚【強制転移】
裏側守備【スケルエンジェル】
魔法罠セット2枚【激流葬】【聖なるバリア -ミラーフォース-】
「ドロー、スタンバイ、メイン」
(来た…!)
「カードをセット」
(…伏せカードが気になるけど、貫通効果もあるし攻める。いざとなれば伏せてる神の宣告で)
「バトル、【スピア・ドラゴン】で裏側守備のモンスターに攻撃します」
「ほう、来るか。じゃあ罠カード発動だ」セットカード【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動
(う…!神の宣告で無効…違う、ここじゃない)
「何もありません」彼女の攻撃表示【スピア・ドラゴン】破壊
(もうひとつ伏せカードが残ってる。あれが激流葬だとしたら…)
「…メイン2、カードをセット」
「【疾風の暗黒騎士ガイア】を召喚。…ターンエンド」
彼女手札0枚
攻撃表示【疾風の暗黒騎士ガイア】
魔法罠セット3枚
若者手札1枚【強制転移】
裏側守備【スケルエンジェル】
魔法罠セット1枚【激流葬】
「ドロー、スタンバイ、メイン」ドローカード【サイクロン】
(クク、そう来たか。3枚も伏せて警戒させようってことだろうが…)
(全部お見通しさ!ガイアを召喚するために伏せたカードが【死者蘇生】だってこともな)
「いやあ3枚も伏せられてっと迂闊に動けねえな」
「…」
若者は彼女の顔を見るが無反応だ。
(フン、平静装おうと頑張っちゃってかわいいねえ。さあその顔、いつ崩れるかな?)
「反転召喚、【スケルエンジェル】」
「…どうぞ」
(まだ。ここも神の宣告は使わない)
「そんじゃあそれにチェーンして【激流葬】発動」
(やっぱり読み通り激流葬、今…!)
「それは止めます。チェーンして【神の宣告】発動」彼女のLP2000-1000=1000
「おう」若者の【激流葬】無効
(お?つーことは勝ち確定きたぜ!ヘヘ)
「おっと、【スケルエンジェル】の効果で1ドローな」ドローカード【神の宣告】
(んじゃそろそろ種明かし行くか)
「ククク、手札から【サイクロン】発動。俺から見て右の伏せカード、死者蘇生を破壊」
「え…!?」彼女のセットカード【死者蘇生】破壊
彼女の手が止まり若者の顔に視線が移る。
「何でわかるんだ、って顔をしてるな。ハハハ、俺はセットされたカードが全部わかるんだ」
「うそ…!」
「嘘じゃねえぜ、お前が伏せてる残りのそのカードは【サイクロン】だろ?」
若者は彼女の伏せカードを指差す。
「どうして…?」
「俺はここで何度もこんなデュエルをしてるからな。自然と覚えちまったんだ。スリーブの傷や汚れをな!」
「…!」
「スリーブ代を節約してるのか知らんが、この店あまりスリーブ交換をしてねえんだよな」
「実際レトロで使われるその赤スリーブ、昨日も見たばっかだし」
「そんな…それじゃこのデッキのカード全部…!」
「ああもちろん!あと俺が今使ってるこのデッキもな!」
若者はスリーブの傷で全てのカードが判別できていた。つまり彼女の全ての戦術、戦略が若者に筒抜けだったのだ。
それだけではない。若者は自分が次に何のカードを引くのかも把握していたということだ。
「何故このタイミングで言ったかわかるか?」
「…勝ちを、確信したから」
彼女は力無く答える。
「その通り。ついでにもうひとつ質問」
「…?」
「さっき戦ってた奴には種明かししてねぇんだ。何故だかわかるか?」
「…わかりません」
「フフ、汚ねぇおっさん共よりな、お前みてぇなかわいい子の絶望する顔が見たかったからさ!やっぱたまんねぇなあ!」
「っ…!」
彼女は耐えるような表情で若者をにらむ。自分をさらけ出した若者に対し、彼女は必死に自分を抑えていた。
(まぁさっきのは低レートだったし、さっさと終わらせたかったってのもあるがな。さて、仕上げだ)
「【強制転移】発動!」コントロール入れ替え【スケルエンジェル】⇔【疾風の暗黒騎士ガイア】
「その伏せカードのサイクロン。使ってればまだ可能性は残ってたのにな」
若者はニヤニヤしながら場を進める。
「残念、もう終わりだ。【疾風の暗黒騎士ガイア】で【スケルエンジェル】に攻撃!」
(…遅かれ早かれこうなっていた。その日が今日だっただけのことだ)
スーツの男は彼女を哀れんだ。
「罠発動!」
「!?」
彼女の不意を付くような声に若者とスーツの男が驚く。
(ほう…)
審判の青葉も顔には出さないが感心しているようだ。彼女が発動した罠カード、それは…
「【魔法の筒】だと!?」若者のLP2000-2300=ー300
「デュエル終了でございます。LP1000対-300で赤スリーブの方の勝利で2回戦決着でございます」
「ではお二方、サイドデッキをお返しします。3回戦は5分後に行います。各自デッキ編成を済まし、5分経過までに着席を」
青葉はタイマーをセットした。