可憐なる博徒 レイリ   作:tres

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5話 ♯11「ラストターン」

「ドロー、スタンバイ、メイン」

 

(ちっ、モンスターが欲しい場面でこいつか)

 

(それにしても一体どうなってんだ…!?あのカードは何だ…?まさか!)

 

 

 

(赤石の奴、送り込みやがったかぁ!?)

 

柳沢は自分たちがそうしたように、赤石が隙を見て送り込んだのではないかと疑う。

 

「《デーモンの斧》発動、《首領・ザルーグ》に装備させる」《首領・ザルーグ》攻撃力1400→2400

 

(柳沢、モンスターを引かなかったカ)

 

(赤石君が送り込んだとしたら、既に不意打ち又佐は鈴瀬さんの手の中。そしてあの2枚のセットカード…どちらかが《神の宣告》である可能性が高イ。オレの落とし穴を無効にされればその時点で柳沢のLPが0になるのは確定的ダ。しかも巨大化がまだ見えていないとなるとこれハ…)

 

このタッグデュエル、3回戦にして初めてヘズから焦りが見え始める。

 

 

 

(…いや、待てヨ?)

 

しかしある事実にヘズは気付く。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

 

柳沢手札0枚  ヘズ手札0枚

LP900   LP4000

エ ◇ ◇   裏 ◇ ◇

◇ ◇ ◇   ウ 裏 ◇

エ=《デーモンの斧》

ウ=《首領・ザルーグ》攻撃表示

    柳沢→彼女

◇ ◇ ◇   ◇ ◇ ◇

◇ ◇ 裏   ◇ ◇ 裏

LP2600  LP1500

赤石手札0枚  彼女手札2枚

 

《デーモンの斧》装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は1000アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

 

 

 

 

「ドロー、スタンバイ、メイン」

 

(まず鈴瀬さんは不意打ち又佐を召喚すル)

 

「《不意打ち又佐》召喚」

 

(当然召喚時にオレハ)

 

「罠発動するヨ」《落とし穴》発動

 

(それにチェーンしテ)

 

「ではそれにチェーンして罠発動します」《神の宣告》発動、彼女LP1500-750=750、《神の宣告》効果、《落とし穴》無効→破壊

 

(そして鈴瀬さんが手札かラ)

 

「《巨大化》発動、《不意打ち又佐》に装備します」《不意打ち又佐》攻撃力1300→2600

 

(やはりナ。…これは決まったカ)

 

ヘズは勝利を確信した。

 

 

 

(…あ?いやこれ、俺らの勝ちじゃねぇ!?)

 

柳沢もある事実に遅れて気付く。

 

(このあと麗梨は2回攻撃で俺のLPを0にして首領・ザルーグを倒すだろ?ヘズのセットモンスターはリバースしなかったことを考えると100%ダークシー・フロートだから、こいつに攻撃は有り得ねぇ)

 

(2回攻撃された後のダメージから計算すると、ヘズの残りLPは2100だ。それで麗梨がエンドしてヘズにターンが回る)

 

(そのヘズのターンが終わった後は…デッキ0の赤石のLPが加算されて麗梨のターンへと回る、そうなれば麗梨のLPはヘズのLPを上回って巨大化の効果が変わる!)

 

(そこからヘズが2ターン凌げば、順番の関係から先に麗梨のデッキが0になり勝利確定だ!さらにその2ターンも問題ない、何故ならヘズのデッキにはまだクリボーとニュートが眠ってるからな!)

 

 

 

(ギリギリだが、勝った!)

 

柳沢も勝利を確信した。

 

 

 

 

 

「…勝利を確信したか?」

 

赤石が2人の緩んだ心へ疑問を呈すように口を開く。

 

「あ?そりゃな。計算したらわかるぜぇ?」

 

「計算か…じゃあその計算に不備があるな」

 

「…何が言いてぇんだ、てめぇよ?負け惜しみかぁ?麗梨ちゃんもさっさと攻撃しろよ」

「ここまで9枚、俺の墓地に見えてるカードは全て【C】デッキのカードだってことだ」

 

「はぁ?」

 

柳沢は眉間にしわを寄せる。柳沢には赤石の言葉が理解できなかったが、

 

 

 

(9枚、見えてるカードは全て【C】デッキのカード…)

 

(………)

 

(……)

 

(…)

 

 

 

 

 

(…!?そうか!何故気付かなかったんダ!)

 

ヘズは赤石の言葉から全てを理解した。

 

「赤石君、そういうことカ」

 

「…はい」

 

ヘズの表情はどこか穏やかだ。

 

「ヘズ、どういうことだよ?」

 

「つまり、こういうことだ」

 

赤石はセットカードに手を乗せ、

 

 

 

「罠発動!」

 

声と共にカードをめくった。

 

 

 

 

 

《不運なリポート》発動

 

 

 

「なっ…!嘘、だろ…?」

 

柳沢は唖然とする。いまいち状況を飲み込めていない様子だ。

 

 

 

(やっと、たどりつきました)

 

「バトルフェイズ」

 

しかし、彼女は構わず進める。

 

 

 

「《不意打ち又佐》で柳沢さんに攻撃します」柳沢LP900-2600=-1700 ヘズLP4000-1700=2300

 

ヘズは全てをわかっている。

 

 

 

「柳沢のカード、《デーモンの斧》を引き継ぐヨ」

 

たとえ赤石の言葉より前に気付いてたとしても

 

 

 

「《不意打ち又佐》の効果でヘズさんの《首領・ザルーグ》に攻撃します」《首領・ザルーグ》戦闘破壊、《デーモンの斧》破壊、ヘズLP2300-200=2100

 

もう、どうしようもなかったということを。

 

 

 

「《不運なリポート》の効果、もう1回バトルフェイズ」

 

(あのセットモンスターは、ほぼダークシー・フロート…そうじゃなければニュート。でも、もう同じ)

 

《ニュート》は戦闘で破壊された時、そのモンスターの攻守を500下げる効果を持つ。しかし、そうだとしても結果は同じ。

 

 

 

「《不意打ち又佐》でヘズさんに攻撃します」セットモンスター《ダークシー・フロート》、《ダークシー・フロート》戦闘破壊

 

何故ならば、

 

 

 

「《不意打ち又佐》の効果でヘズさんに攻撃します」ヘズLP2100-2600=0

 

ちょうどピッタリ届くからだ。

 

 

 

「わたしたちの、勝ちです…!」

 

「3回戦勝者、赤石&鈴瀬ペア。これによりマッチも決着。勝者、赤石&鈴瀬ペア」

 

彼女はプレッシャーから解放されたからか、ふーっと息を吐き前かがみになる。

 

「では約束通り600万円です、お受け取り下さい」

 

審判だった黒服が懐から札束を6束取り出し、赤石と彼女の前に置く。

 

(やっぱりいざ目の前に置かれると、ちょっと身構えちゃうかも)

 

彼女はまだ札束に慣れないみたいだ。

 

「勝者ペアはお受け取り次第、速やかに退出して下さい。敗者ペアは勝者ペアの退出後、最低15分はここで待機して下さい」

 

黒服は退出を促す。これは勝者の身の安全を考慮した措置だ。

 

「わかりました」

 

赤石と彼女はそれぞれ3束ずつ然るべきところに仕舞うと、勝利の余韻を感じる間も無く速やかに部屋を退出した。

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