可憐なる博徒 レイリ   作:tres

69 / 145
6話 ♯5「琥珀 vs 麗梨・1」

ーーーカードショップ「デュエリア桐縹店」

 

 

 

「1回勝負でいいかしら?」

 

「はい、いいですよ」

 

彼女と琥珀は既にデュエルスペースの席へと着いている。綾芽はというと勝負が行われるテーブルの横に立ち、審判とも観客ともいえない位置でデュエルを見届けようとしていた。

 

(結構注目されてる…?)

 

綾芽は背中に視線を感じたようで、事実2人のデュエルを見物しようと店内の客たちがぞろぞろと集まってきたようだ。

 

注目される理由はもちろんこれからデュエルをする2人の存在である。彼女は言わずもがな、琥珀も高貴で気品があり、彼女とはまた違った魅力を醸しだしていた。

 

「もう1度確認するわね?ルールはスタンダード、先攻ドロー無しのLP8000。お互いに内容がわからない貸し出しデッキ同士の1回勝負、それでいいわね?」

 

「はい」

 

手ごたえの無い返事に本当にわかってるのかと問いたくなった琥珀だが、「はい」と返事されてる以上わかっているものとして進行した。

 

「…ではシャッフルをお願いするわ」

 

お互いのデッキがシャッフルされ、然るべき位置にセットされる。そしてお互いデッキの上から5枚引いて裏側のまま場に置く。なおエクストラデッキはお互いに5枚ずつ裏向きで置かれている、もちろんその内容は知らない。

 

(手際は…慣れているわね。そんなに素早くはないけれど、流れるようなその動きは幾度となくデュエルをしてきた証拠…侮れないわ)

 

彼女の動きを見て、琥珀はそう評した。

 

「花が刻印されてる方が表ね」

 

琥珀は見慣れない硬貨を取り出す。銀色や金色に光るそれは、どこかの国の通貨というわけでも無さそうだった。

 

「裏で」

 

「では私は表ね」

 

コイントスの結果、表が出て琥珀は先攻を選んだ。

 

「さあ、始めるわよ!」

 

琥珀のひと声を合図にデュエルが始まった。

 

 

 

(私はこのデッキを知らないし、鈴瀬さんのデッキも知らない。でもそれは鈴瀬さんも同じ)

 

(デッキを借りる際、店主に意図をきっちり伝えておいたから両方のデッキに極端な差は無いはず…)

 

(普段鈴瀬さんがどんなカードを使ってるかは知らないけれど、馴れ親しんだカードばかりがデッキに入ってる可能性は低い。まさか膨大な数のカードを全て記憶してるなんてことは有り得ないはず)

 

しかし、それは琥珀にも言えることだ。まだ見ぬ琥珀のデッキもそうである可能性の方が高い。普段からどれだけカードを記憶してるかが勝敗を分ける。何故なら、その記憶力が自分だけでなく、ひいては相手の戦術や戦略を読むことにも繋がるのだから。

 

(このデュエルは記憶力がとても重要になるわ。そして記憶力なら負けない自信があるわ!)

 

「スタンバイ、メイン」

 

琥珀はおそるおそる手札を見る。

 

(!…きたわ!これは私がまさに今使ってるデッキの1つ!)

 

 

 

「《剣闘獣エクイテ》を召喚するわ」

 

「カードをセット、もう1枚セット」

 

「ターンエンドよ」

 

 

 

琥珀LP8000 手札2枚

 

彼女LP8000 手札5枚

 

 

 

「ドロー、スタンバイ、メイン」

 

(【剣闘獣】…対してわたしは)

 

「《手札抹殺》を発動します」

 

「何もないわ」

 

琥珀は手札を捨てて引いた後、彼女の捨てたカードを確認する。

 

(!?…なんて手札よ!)

 

(麗梨さん、凄まじいです…)

 

彼女が捨てたカードは《サイバー・ダーク・ホーン》《サイバー・ダーク・エッジ》《サイバー・ダーク・キール》《サイバー・ドラゴン》《仮面竜》の5枚。

 

これには琥珀も驚く他なかった。しかし、すぐに落ち着いてそれらのカードからデッキを分析する。

 

(主軸は間違いなく【サイバー・ダーク】ね。《サイバー・ドラゴン》も入ってるということを考えると、鈴瀬さんのエクストラデッキの内容は読めてくるわね)

 

確証は無かったが琥珀はエクストラデッキの5枚にある程度の目星を付けた。

 

 

 

「墓地に闇属性モンスターが3体…」

 

(その確認は…!)

 

琥珀は彼女の言葉の意味を当然わかっている。

 

「手札から《ダーク・アームド・ドラゴン》を特殊召喚します」

 

「《ダーク・アームド・ドラゴン》の効果発動、《サイバー・ダーク・ホーン》を除外して《剣闘獣エクイテ》を破壊します」

 

「させないわ!罠発動、《剣闘獣の戦車》」

 

「はい」

 

彼女は読んでいたかのように《ダーク・アームド・ドラゴン》を墓地に送ると、続けてモンスターを召喚する。

 

「《サイバー・ダーク・ホーン》を召喚します。効果で墓地の《仮面竜》を装備します。《サイバー・ダーク・ホーン》の攻撃力は装備したモンスターの元々の攻撃力分アップします」

 

(2枚目の《サイバー・ダーク・ホーン》…2枚ずつ入ってるのかしら?)

 

「バトルフェイズ。《サイバー・ダーク・ホーン》で《剣闘獣エクイテ》に攻撃します」

 

「通さないわ。罠発動、《和睦の使者》」

 

「…バトルフェイズを終了します」

 

「この瞬間、《剣闘獣エクイテ》の効果が発動するわ。《剣闘獣エクイテ》をデッキに戻し…」

 

琥珀は待ってたと言わんばかりにデッキのカードを一通り見る。

 

(なるほど、確かに【剣闘獣】ね、それも混ざりっ気なしの)

 

「《剣闘獣レティアリィ》を特殊召喚ね。《剣闘獣レティアリィ》の効果発動、あなたの墓地の《ダーク・アームド・ドラゴン》を除外するわ」

 

「はい」

 

(【サイバー・ダーク】なら墓地のドラゴン族を除外しておけば恐るるに足らないわ)

 

 

 

「メイン2…」

 

少し間を置いて、彼女が動く。

 

「《未来融合-フューチャー・フュージョン》を発動します」

 

「!」

 

《未来融合-フューチャー・フュージョン》、墓地に送るまでラグがあるものの、莫大な墓地アドバンテージが得られる強力なカードの1つである。

 

(大丈夫、私のターンで破壊すれば問題ありませんわ)

 

幸い【剣闘獣】は比較的、魔法罠カードを破壊しやすいデッキだ。

 

「ターンエンドです」

 

 

 

琥珀LP8000 手札2枚

 

彼女LP8000 手札2枚

 

 

 

「ドロー、スタンバイ、メイン」

 

(まずはあのカードを破壊しないといけないわね。伏せカードも無いし、一気に行かせてもらうわ)

 

「《剣闘獣ベストロウリィ》を召喚。そして《剣闘獣ベストロウリィ》と《剣闘獣レティアリィ》をデッキに戻して《剣闘獣ガイザレス》を特殊召喚」

 

(来ました【剣闘獣】の重要カード。会長は一気に攻めるつもりでしょうか…?)

 

「《剣闘獣ガイザレス》の効果発動。《サイバー・ダーク・ホーン》と《未来融合-フューチャー・フュージョン》を破壊ね」

 

「はい」

 

「バトルフェイズ、《剣闘獣ガイザレス》で攻撃するわ」

 

「受けます」彼女LP8000-2400=5600

 

「バトルフェイズ終了時、《剣闘獣ガイザレス》の効果発動。《剣闘獣ガイザレス》をデッキに戻して《剣闘獣ダリウス》と《剣闘獣アウグストル》を特殊召喚」

 

「《剣闘獣ダリウス》の効果発動。墓地から《剣闘獣ラクエル》を特殊召喚」

 

(あれ?いつの間に《剣闘獣ラクエル》が墓地に…あ、麗梨さんの《手札抹殺》)

 

「《剣闘獣アウグストル》の効果発動。手札から《剣闘獣エクイテ》を特殊召喚。《剣闘獣エクイテ》の効果発動。墓地から《剣闘獣の戦車》を手札に加えるわ」

 

琥珀のプレイングを彼女は動くことなく、じっと見続ける。

 

「メイン2に入るわ。《剣闘獣ラクエル》、《剣闘獣エクイテ》、《剣闘獣ダリウス》をデッキに戻して《剣闘獣ヘラクレイノス》を特殊召喚」

 

「カードを1枚セット、ターンエンドよ」

 

(さあ、固めたわ。どこからでもかかってきなさい!)

 

 

 

琥珀LP8000 手札1枚

 

彼女LP5600 手札2枚

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。