ーーー放課後
(ん?あの子は…)
学校からの帰り道、赤石はつい昨日見知った顔と遭遇する。
「あ、おにーさん」
自転車に乗ってた女の子だ。正確に言えば自転車から転んだ所を赤石が助けた子である。
ランドセルを背負っていることから今は下校中のようだ。
「おう。体は大丈夫か?」
「うん、おかげさまで。…あ」
女の子は何かを思い出したようにポケットから、折り紙の花を取り出すと、
「これ、おれいです」
赤石に手渡した。ポケットに入っていたため若干曲がってはいるが、全体的に丁寧で整っている。
「お、綺麗だな。ありがとな」
「いえいえ、また今度会ったらあげるね」
赤石が笑顔を見せると、女の子は誇らしげに答える。
「ばいばい、おにーさん」
「ああ。じゃあな」
赤石は折り紙の花をポケットに仕舞った。
ーーー
「赤石先輩」
「ん?レイリか」
赤石は女の子と別れた後、程なくして彼女と遭遇する。
「奇遇ですね」
「そうだな…」
赤石は一瞬視線を泳がせる。先日のタッグデュエルの時とは違う彼女の姿に少々違和感を覚えたようだ。とはいえ見慣れているのはこちらの方なのですぐに適応した。
「今からお帰りですか?」
「ああ」
「お買いもの、一緒にどうですか?」
「買い物?」
「はい」
この後、赤石に予定は無い。また、彼女の言う買い物に興味が湧いたということもあり
「ああ、一緒に行くか」
買い物に同行することにした。
ーーーデュエルハウス「ナチュル」
「なるほど、それがシンクロ召喚ってやつか」
学校からの帰り、桜と藍子はナチュルにてデュエル談義に花を咲かせていた。
「でも肝心のシンクロモンスターがねーんだよな」
「じゃあ私のエクストラデッキ貸してあげる。1回チューナー入れてデュエルしてみようよ!」
「お?それは助かる。組み直すからちょっと待っててくれ」
ーーー
「それだけで良かったのか?」
「はい」
買い物からの帰り道、赤石が問う。彼女が買ったのは今日発売のパズル専門誌。彼女曰く、大きな書店でのみ取り扱っている書籍のようだ。
「パズル好きなんだな」
「はい、好きです」
「そうか」
(レイリのことだから、難問でもスラスラ解きそうだな)
「赤石先輩はパズル好きですか?」
「あーパズルによるな。クロスワードとかは結構好きだ」
「クロスワード、わたしも好きです」
「あとは詰めデュエルなんかもたまにやるな」
「たまにすごく難しい問題ありますよね」
「あるな。俺もいくつか解けなかった記憶がある」
「今度、問題出しましょうか?」
「…遠慮しとく」
(レイリの作った問題とか解ける気しねえからな…)
ーーー
「どう?シンクロ召喚はもう覚えた?」
「ああ、だいたい覚えたよ。中々楽しいな」
「じゃあ次来た時はエクシーズ召喚を教えてあげるね」
ナチュルからの帰り道、桜と藍子は今日行ったデュエルを振り返っていた。
「あ…!」
夕焼けで染まりかけた町をしばらく歩いたところで藍子が立ち止まった。
「どうしたんだ?」
藍子は前方を横切ろうとした人物を呼び止める。
「修せんぱい!」
その声に気付いた赤石は立ち止まり、呼ばれた方へと向く。
「お?藍子ちゃんか」
「はい!奇遇ですね」
藍子はニッコリと笑って返す。
「ああ。って桜も一緒だったのか」
「さっきまで桜ちゃんとデュエルしてたんです」
「ほう、藍子ちゃんの相手になってたか?」
「失礼な、あたしだってそれなりに戦えるようにはなったよ」
「桜ちゃんは覚えが早くてーーー」
藍子は赤石の横に並んでいた何者かに気付く。
(修せんぱい、友達と一緒に帰ってたのかな?)
先程まで手前側の赤石の影になってて見えなかったが、藍子はその姿には見覚えがあった。
(…え?あの長い髪はもしかして…!)
「ところで兄貴、隣にいるのは…」
「ああ、この子はーーー」
赤石が答える前に藍子は彼女の名を呼んだ。
「レイちゃん…!久しぶり!」
彼女も藍子の方を向いて微笑む。
「久しぶりね、アイちゃん」