可憐なる博徒 レイリ   作:tres

97 / 145
8話 ♯11「全て使って」

(あのセットモンスターは、少なくとも《サブマリンロイド》じゃない)

 

(あの時、見たので)

 

(だから、ここは)

 

「《カードガンナー》の効果を発動、デッキの上から2枚墓地に送ります」

 

《カードガンナー》効果→《魔装機関車 デコイチ》《簡易融合》墓地

《カードガンナー》攻撃力400→1400

 

「バトルフェイズ、《カードガンナー》で攻撃します」

 

「むむ…」

 

裏側守備《アレキサンドライドラゴン》戦闘破壊

 

(裏側守備の《アレキサンドライドラゴン》…たぶん攻撃を受けた時は、もう1枚の方が表になってたのかな)

 

本来、《アレキサンドライドラゴン》は裏側守備表示で場に出すことは考えにくい。しかし柴岡のイカサマの正体を知っている今、その理由には容易く辿り着く。

 

彼女の推察通り、柴岡は攻撃を受けた時にはもう1枚の方のモンスターを。自分のターンまで裏側守備表示だった時にはそのまま《アレキサンドライドラゴン》として使う予定であった。

 

(ぐっ…!裏のカードがわからなくなった以上、下手にこの戦術は使えない…表だけで戦うしかないっ…!)

 

紫の2度目は無いという警告も受けている。事実上、柴岡のイカサマは封じられたと言っていいだろう。

 

「メイン2、カードをセット、もう1枚セット」

 

そして、ようやく…

 

「ターンエンドです」

 

彼女はこの長いターンを終了した。

 

 

 

彼女手札1枚

LP4000

◇ 裏 裏

◇ あ ◇

あ=《カードガンナー》攻撃表示

 

彼女→柴岡

 

◇ ◇ ◇

◇ ◇ ◇

LP4000

柴岡手札2枚

 

 

 

「ドロー!スタンバイ!メイン!」

 

(…まだだ、使えなくなったからって勝負の行方はまだわからんわ!)

 

「召喚!《ブリザード・ドラゴン》」

 

イカサマが暴かれてもなお、柴岡はオーバーアクションを続けるようだ。柴岡なりの意地であろう。

 

「召喚時に速攻魔法、《月の書》を発動します」

 

「むう…」

 

《月の書》効果→《ブリザード・ドラゴン》裏側守備

 

(《月の書》は痛いな…手札が悪い、次のターンのドローに賭ける他ない…!)

 

「ターンエンド!」

 

 

 

彼女手札1枚

LP4000

◇ 裏 ◇

◇ あ ◇

あ=《カードガンナー》攻撃表示

 

柴岡→彼女

 

ア=《ブリザード・ドラゴン》裏側守備

◇ ア ◇

◇ ◇ ◇

LP4000

柴岡手札2枚

 

 

 

(このドローに、かかってる)

 

「ドロー…」

 

彼女のドローする手に少しばかり力が入る。

 

(…)

 

そして彼女はドローしたカードを確認すると、

 

 

 

(いいの、引いた)

 

小さく口角を上げた。

 

「スタンバイ、メイン」ドローカード《スピア・ドラゴン》

 

「《スピア・ドラゴン》を召喚します」

 

(ぬう、厄介なのが来たな)

 

「《カードガンナー》の効果を発動、デッキの上から…」

 

 

 

「3枚墓地に送ります」

 

《カードガンナー》効果→《ブリザード・ドラゴン》《大嵐》《アレキサンドライドラゴン》墓地

《カードガンナー》攻撃力400→1900

 

「何っ!?」

 

柴岡は目を大きくする。それもそのはず。

 

《カードガンナー》の効果により墓地に送られた後の彼女の残りデッキ枚数は、0枚。

 

つまりこのターンを終了した時点で彼女の負けが確定する。それはすなわち…

 

 

 

(このターンで決めるつもりかっ!?)

 

「バトルフェイズ、《スピア・ドラゴン》で攻撃します」

 

裏側守備《ブリザード・ドラゴン》戦闘破壊

《スピア・ドラゴン》効果→柴岡LP4000-900=3100

《スピア・ドラゴン》攻撃表示→表側守備

 

柴岡の顔が見る見る青ざめていく。

 

「ううう…!」

 

柴岡のフィールドにカードは無い。ただ何も出来ず彼女のターンの行方を眺めるだけ。

 

「《鎖付きブーメラン》を発動します。装備する対象は《カードガンナー》です」

 

《鎖付きブーメラン》効果→装備対象《カードガンナー》

《カードガンナー》攻撃力1900→2400

 

これで彼女のデッキ10枚のうち、9枚が明らかになる。

 

「《カードガンナー》で攻撃します」

 

残る1枚は彼女の手札。

 

「ってことは最後の1枚は…!」

 

柴岡もそれが何か、わかっているようだ。

 

「はい」

 

 

 

 

 

「速攻魔法、《リミッター解除》を発動します」

 

《リミッター解除》効果→《カードガンナー》攻撃力2400→4800

 

 

 

柴岡LP3100-4800=-1700

 

「わたしの、勝ちです」

 

 

 

「3回戦終了です。同時にマッチも決着しました。2勝1敗でマッチ勝者は、鈴瀬様です」

 

「まさか…僕が負けるなんて…」

 

柴岡はまだ負けを受け入れられないといった様子で呟く。

 

「レートが200、2000、5000ということなので…」

 

紫は携帯電話の計算機に入力していく。結果はすぐに算出された。

 

「計182万円、鈴瀬様の勝利です。柴岡様は鈴瀬様にお渡し下さい」

 

「ぐぬぬ…」

 

しかし、柴岡が負けたのは疑いようの無い事実。

 

「…」

 

敗者は勝者に取り決めた分を差し出さなければならない。それが勝負というものである。

 

「…仕方あるまい」

 

柴岡は観念し、リュックから封筒を取り出すと、

 

 

 

「ほれ、182万…」

 

その中から現金で182万円ちょうどを彼女に渡した。そして彼女が受け取ったのを確認すると、

 

「これにて勝負は終了です。お疲れ様でした」

 

紫は勝負の終了を宣言した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。