非常にめんどくさいことになった。
何がめんどくさいかというと、作文だ。
書くこと自体はめんどくさくはなく、実際俺は国語の能力は高いが作文はどうにも苦手だということを、ようやく最近自覚し始めるようになってきた。そもそも作文の能力は、自分の意見を相手に伝わるように文章の構成や言葉を吟味する能力である。
そして、俺の持っている力はここだ「相手に伝わるように文章の構成や言葉を吟味する能力」
つまり俺にとって作文とは、自らのひねくれマインドを押し殺しきれいごとを書く行為でありそこから転じて、アイデンティティクライシス待ったなしの苦行になる。
俺が今何も考えないで高校生活を振り返ってという題名で作文を作るとなるなら。出だしは『青春とは嘘であり、悪である』から始まり結論は『リア充爆発しろ』で締めくくられることだろう。
だがしかし、この一年間部畜生活を送ってきたこの俺は少しはましになっている!と信じたい。
そうして俺は気合を入れながら捻くれマインドとの闘いを開始することにした。しっ静まれ俺の心ォ!
出だしが一番肝心だ、奴らはどうせ綺麗事書いておけばいいでしょぐらいな感じだ、そうだな出だしは……………「私の高校生活を振り返った時、一言でいうなら花である」この花という部分に「」をつけると中二病感が加速する気がするのだが気のせいだろうか。
出だしに問題提起の様なテーマをつけることにより、一つのレールが出来上がる様な感覚を覚えた。そうすればそのレールに沿って文章を流していくだけで良い、内容の貴賤は頭から外し自由な自分の発想をそのままぶつけて……………しまっていた。
気が付いた時には作文が出来上がり、一応の論理破綻はしていない作文が出来上がっていた。何故かペン書きで。破綻しているのは趣味嗜好と思考回路の方だった、これも全部サッカー部のせいだ。
「ただいまー…………うわっ、なにしてるのお兄ちゃん!?」
小町がかえって来るのをお帰りで返す。俺は
「読んでくれって?しょうがないなぁ……………出だしはお兄ちゃんにしては………………。」
チラと小町を見る読み進めていくごとに表情が険しくなっていく、そして八幡のライフポイントが残り100だ。心の中では戦場で、ある意味デュエルだが俺の右手は光らない。
小町が読み終わったのか綺麗に二つ折りにして俺の前にそれを置く。小町の目と俺の目が合う。あれ?鏡になってるのかな?
「なぁ、小町」
「なに?ゴミいちゃん?」
「ど、どうでしたか?小町様」
小町はアメリカ人のごとく首を振り口外に「手の施しようがございません」と死刑宣告を言い渡した。
「このゴミいちゃんの明日はどこなんだろう……………」
「明日って今さ。」
訳:開き直ってこれで出す。
◆ ◆ ◆
『高校生活をふりかえって比企谷八幡
私の高校生活を振り返った時、一言でいうなら花である。
花というのは、花屋で売られているような物や野に咲く花もありとあらゆる花は、花というアイドルユニットの様な物である。アイドル自身は勿論、プロデューサーなど様々な人たちに支えられて活動出来て居るのと同じように。
種を植え、根を張り土から水分と養分を搾取する、そして自らの糧として成長し花を咲かせる。つまり全体で見れば根も種も土も、花に関わっているすべてが花として認識されるべきである。
だが花屋を見てほしいが、大体彼らは花とその茎ぐらいまでしか花として認識しない、鉢植えの花ぐらいだろう。私の役割が担う所としては土か大気かといった所だが、この一年間で未来にあのような過去もあったと、花のように愛で煌びやかであった部分はあった、そのため胸を張って言えないが私の一年間は花だと言える。
私はこの一年間で咲かせた花を糧に2年生の目標を次に示す。
花は搾取される対象だ、花屋は利益を上げ、都市開発中にどれだけ綺麗な花が咲いていようが大地ごと切除してしまう。部活や課外活動、この学校の成績さえ華々しく活躍している人間、より俗物的に表現すればリア充も裏を返せば管理され、何かに縛られ、売られ、刈り取られる花の一つなのだ。
このまま花でよいのかと考えた時私は私なりの結論にたどりついた。
私は刈り取られる花より、どれだけ汚くてもいい花を根こそぎ刈り取る人間になりたい。』
◆ ◆ ◆
結果俺は放課後に職員室へ呼び出しされている。お薬飲○たねを突き破る地獄のように苦い俺の人間性がにじみ出た作文のことだ。
「比企谷、なんだこのなめ腐った文章は」
「土っす」
「この文章がくだらない自覚はあるようだな」
「くだらない土である自覚なら大いにあります」
言葉で殴り合っているような感覚、一発でも貰えば途端に打ちのめされる気がする。精神的にも物理的にも。僕はもう戦いたくないだけなのにぃ!
「花は花でも君はラフレシアだな」
「誰が鉄仮面ですか」
おっとガンダムネタが。
「つくづくお前は悪い子だ、大人のやることに疑いをもつのはよくないな…………」
おい。と言葉がのど元をついて出そうだったがこらえた。
「あー書き直せ…………ますかね?」
「君が書き直すのはその捻くれ曲がった性格と根性だ」
「俺は3Dプリンタで失敗したんで手の施しようがないですね」
俺の言葉に平塚先生は目頭を揉んで、大きなため息をついた。まあ国語の内申点が低くなるだけの話だ。何ら問題はあるが些末、いやコラテラル。
「君、友達居ないだろう?」
「はい」
「即答か」
「いえ、地球上全ての人間が俺の親友です。」
俺の頬を拳がかすめた。
「次は当てる」
「はひ」
冷や汗をかきながら返事をした、まずい威力は確実に向こうが上だ…………ッ!なんの威力とは言わないが。怒りをゆっくりと逃がすようにして煙草に火をつけ始めた。
「わ、私は何をすればよろしいですかね?」
「君に奉仕活動を命じる」
「いや、俺部活あるんですけど」
おっと、と少し思い出したことがある今日部活動の新入部員が来るんだった。変な言葉が零れてしまったと思った矢先平塚先生のタバコが零れた。「は!?」驚いて酷く目を見開いている。本格的に石ころ帽子が俺の頭に乗っていないか確かめる必要がある。
「どこの部活だ?」
「サッカー部でマネージャーやってますが?…………できれば笑っていただけると助かるんですが」
涙目になるな、何かに踊らされているわけでもないから、脅迫でもなんでもないからね!逆だから、かわいそうなのあいつらのほうだから!
「すまない、あまり話したことのない仲でこう言うのもなんだが、あまり君がやりそうな部活ではなかったのでな」
「自覚はあります、そっちは土としてのですが」
それ以上に一年前の俺が聞いたら大爆笑しそうな話ではある。俺には爆だけでいいんだが。
「一応今日新入部員が来るらしいんで、もう少しいてもいいんですけど」
「女性との会話はあるかね?同年代の」
「記憶にある限りですと三日前に会話しましたが?他校マネージャーに練習試合の時のユニフォームの打ち合わせと案内時の打ち合わせで。」
「何故同じ高校の女子と喋らん…………ッ」
残念ながら事務的なこと以外でしゃべる必要性が見当たらない、最新のコスメの情報でも持ってればいいんか?あいにくと持っているのは周辺サイゼの混雑状況とうまいラーメン情報しかない。あと千葉。
「同じ部のマネージャーはワーキャー言ってるだけですし」
「…………今日一日君を借りるがいいか?」
「顧問を通してならどうぞ」
「なら借りたぞ、君にはその腐った性根を叩きなおし歪んだ認識を矯正させるいいな?」
「部活に支障の出ない範囲であれば」
明日はわからないけど一つ分かったことがある、今は明日に向かう者どもを利用すればいいだけだ…………干支で一番になったネズミみたいだな。
いや、ドブにまみれたネズミなら綺麗だ、トレイントレイン的に考えて。