やはり俺の部活動選択は間違っている   作:屑太郎

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さーて、何人減るかな(白目)


血みどろの対決

 オリエンテーションがつつがなく終わった。一応ボッチちゃんをみはってはいたが、それなりに愚かな行動は抑制されているようで胸をなでおろした。

 

「いや、安心している所悪いけどお兄ちゃんみたいなことする人そうは居ないからね?」

「おいおい、小町そんなんじゃ俺が頭おかしいやつ見たいだ、オンリーワンと言ってくれ」

「お兄ちゃんの場合人間関係までオンリーワンじゃない」

「ああ、小町がいるからな!」

「小町的にポイント低いよそれ…………」

「今日は雪ノ下や戸塚がいる。もちろん小町も、全員がこの世で一つしかないだろ?」

「えっと…………由比ヶ浜さんは?」

「知り合いだな、間違いない」

「あー…………鈍感だね」

「おう、何かわからないがお兄ちゃん頑張るよ」

 

 妹のお小言を華麗に流しながら、ひとまず…………カレー作りの見張りをやっておこうと思う。

 今回カレー作りで一番危ないのは火の扱いだ、炭なんて便利なものは今回ばかりは使わずに、薪から作っているのだが、こいつがかなりの曲者だった。

 というのが薪は燃やすとき、かなり煙い。炭とは違いすべてが炭化して効率的に酸素と化合する訳ではないので、不完全燃焼し煙が立ち込める。まあ、風を送りこめば解決するのだが、そのかぜを送り込む作業がかなりの苦行だし、薪の中と外の温度差で樹皮が飛んだりする。

 

「うわっち!?っべーなんか飛んできた!?」

「翔大丈夫か?」

 

 あんな風に。狭い所で暴れないようにしないとな。

 上のように危険なものではあるので、火起こしは小学生がやりそのあとの維持はボランティアが行った。

 ボランティアとは言え、小学生の成長にならないから全て俺たちがやるわけではない、結局はただの補助だ。

 しばらくしてはサボっていても問題はないと判断して遠くで休憩した、日中で火の近くに居すぎれば熱中症になっても仕方ない、それに近くには必ずボランティアか大人の目のあるところになっているのを確認してその場を離れた。離れた所でいつの日か小町に上げた粉のスポドリをちょろまかして作った物を飲んでいた。

 

「やっぱ死ぬわコレ…………」

 

 去年の夏合宿で、40人ちょいのカレーを二人で作ったことに比べればまだましだったが、夏全盛期一歩手前の今、クーラーも無い屋外で火の前に居ること自体が死ねる。今度からクーラー浴びるときはクーラー最高と三回唱えることにしよう。

 小学生の時、俺が部屋に入った時に限って、静寂が訪れて「うわ、ヒキガエルが来た最悪じゃん」の一言が添えられていた事を思い出した。空気を冷やすという意味では俺クーラーなんじゃ…………。クーラー効いた部屋に入るとひんやりした空気を感じる点がよく似ている。

 俺最高。

 俺最高。

 俺最高。

 そんな悲しき自画自賛を三回心の中で唱えていると俺と同じようにこちらに来た人間がいた。…………18番(葉山)か、どうしてこんな所に?

 

「やあ、君も休憩?」

「ああ、そんな所だ。それと水分補給はしたか?」

「少し前に水は飲んできたよ、気遣ってくれてありがとう」

「いや、お前は火起こしする前だったから、30分は経ってるぞ。後で水でも…………いるか?」

 

 俺が冗談めかして水筒を差し出したら、「お言葉に甘えて」と言いながらそれを受け取った。…………そういえばこいつら回し飲みしてたりする事を失念していた。

 

「…………」

「口に合わなかったか?」

「いや、ありがとう助かったよ」

「ま、小学生にいい顔するのは止めないが、自分の体調ぐらいはしっかり管理しとけよ」

「忠告ありがとう、俺も休憩しようかな」

 

 と言って、俺の近くの木陰に座った。

 とりあえず死ねと心の中で付け加えた、それを俺の前で言ってどうするんだ。完全に「おい、話をしようぜ」と言わんばかりの体制になっているじゃないか、少しいい顔してやったら友達になれるような安い八幡じゃないわよ!

 

 大体こいつは走り込みのタイムやドリブルは群を抜いているくせに、それをチームワークとして生かせず周りに合わせてしまう、そこまではいいのだがそれを部長とかに共有せず自分の中で内々に処理してしまう事が問題だ。察してるでしょと言う行動が結果的に自分の首を絞めているのに気が付いていないのだ。

 まあ、とりあえずは、こいつらが死なずに青春(ドブ)を演出してくれれば俺に関係ない。それで10年後は後悔しないはずだ。

 

「君に聞きたい事があるんだけどいいかな?」

「あ?」

「雪ノ下さんとは、どんな関係なんだい?」

「…………友達」

 

 少し考えた結果そういった。

 

「へえ、何かきっかけがあったのかい?」

「出会ったその時に友達だ、よく言うだろ?いつの間にか友達になっていたとか」

「雪乃が友達か珍しいな、俺と彼女は俗にいう幼馴染でね。小さい時からああだったから」

 

 言葉を操るなら清廉を捨てろとは俺が思っている事である。たぶん何か勘違いをしているようだが、俺は雪ノ下との関係を友達以外で片付けるのは不可能だった。だって、それ以上に親交が深い人間がいなかったからだ。

 少なくとも、こうやって雪ノ下に誘われ、ボランティアしている限りは俺の中で友達の範疇に入る。そんな俺の『嘘』が、こいつをどうするか分からないが、影響は悲しいほどに無い。

 

「そうか」

「ああ、だから。…………あの子」

「ん?ああ、あれか」

「さっきも一人で居たんだ。皆で仲良く出来れば良いんだけど」

「無理だな」

 

 先ほどのオリエンテーションの最中、嘲笑を携えた班の渦中に居たのがあいつだ。八幡アイによって完全に悪意によって孤立させられている事が分かっている。

 

 ※八幡アイはボッチを見分けることが出来るぞ!腐ってるぞ!

 

 まあ俺みたいに早く着きすぎたなんてことはなかったが、それでも、少しばかり単独行動するようになって来ている所を見ると、中二病の覚醒も近いとみるべきだ。そこから先は地獄だぞ。

 

「君もそういうんだね」

「ああ、俺の先輩の言葉でな『皆という字は白と比べると書く、皆が自分の中の白と比べてより白い人間をみんなって表すんだ』ってな」

 

 頭真っ白になったような呆けた顔になった18番に諭すように話した。

 

「いや、それで言うなら白くない人なんていないだろ?」

「『それが他人から見て自分がどんなどす黒かったとしても、それはそいつの中で皆なんだよ』じゃあ、一つ聞くぞ。お前は白か?」

 

 先輩はここに『だから私は灰色になりたいと願った』なんて付け加えていたな。いつの日かの作文はあの事を思い出していたんだと、いまさらながら思い出していた。

 

「俺は…………」

「重ねて聞くぞ、あの一人ぼっちはどっちだ?白か?黒か?」

「それは、」

「白と黒は混ざらない、そこにあるのはただ白か黒かはっきりしている事実だ」

 

 こんな言葉を言っていて俺も辛い。ただ、一人ぼっちの縄張り争いなだけ。それに一応初対面の人間にここまで否定されることが珍しくて食って掛かってしまったのだろう、だが今喋った言葉が一つ一つ本当として突き刺さる気がして、痛み分けだなと薄く笑った。

 

「…………なら、君はみんなと一緒になる以外どうやって彼女を助けてあげられると思うんだ?」

「前提が違うな。少なくとも俺は林間学校のボランティアとしてここに居る、学校内での孤立なんて業務外だ」

「…………君としてはあの子を見てどう思う?」

「見捨てられないし救われない」

「だったら」

「けど、助けるなんて驕ったこと、口が裂けても言える訳がない」

 

 ぼっちを舐めるな、自分の人間関係すらまともに自分で作れない癖に、みんなという他人でなおかつ複数人の面倒なんて見ていられるか。

 

「とりあえず、お前とあの子じゃ見させられている世界が違う。話かけるのは少し控えてくれ」

 

 と言いつつ俺も、ボッチのあの子の何を知っているんだと心の中で突っ込みを入れつつ忠告した。それでも何か食い下がるように18番は喋った。

 

「…………俺は俺なりに動いてみる。これ返すよ」

「もしかしたら、上手く行くかもな」

 

 これは俺の皮肉めいた悪意から出た嘘だった。

 嘘が嫌いだった俺は、世界は嘘で満ちている事に気が付いた。重い腰を上げて、ボッチのあの子に接近するために、足を動かした。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 とりあえず俺はボッチのあの子と会話を試みた。それなりに会話は弾んだと思う。

 名前は鶴見留美。彼女は、周りを見下しがちな…………いや、孤独から身を守るために見下さざるを得なかった女の子だった、途中で雪ノ下も一緒に俺とあの子との会話に混ざっていたからだろうか、抱えている問題も少しは寄り添えていたのではないかとも思う。

 そして今、ボランティア参加者全員で集まって作ったカレーを食べながら話している所に、この問題について議題に上がっている所だ。

 

 俺の中で結論は保護観察、そして雪ノ下が決めた事なら友達として支援することだ。このドラマを演じ切るためにはそうするしかない。

 

 そんな中、現在出ている意見はどうにか解決をという意見が多く、その解決策は三つ「出来るだけの事をしてあげてみんなと仲良く」「無理、他の出来る事や楽しい事を見つけよう、BLとか良いんじゃない?デュフフ」「ウェーイ!」の三つだ。

 それぞれ18番、海老名さん、21番(戸部)の意見だ。

 雪ノ下のスタンスは助けを求めたら助力する、それが奉仕部としての活動、というスタンスでやっていくみたいだ。

 

 今は、何も決まらぬまま稚拙な会議は沈黙で締めくくられた。

 

 

 その後解散して俺たちは、自分たちの泊まる所に戻った。かなりの間、考え込んでしまった。

 問題の解決にはならないが、問題の解消になると思う方法は一つある。

 だがリスキーでリターン無し、ハイリスクでナッシング、自爆的に斜め下なこの一撃は鶴見にとっては救いになるだろう。…………こんな事しか出来ない、心の中で自らの低俗さを謳うのなら、これぐらいやれなければ。

 そんなことを敷いた布団で毛布をかぶって、木製の天井を何ともなしに見ながら考えていた。

 

「八幡、もう寝るの?」

「ええ~ヒキタニ君寝るの早すぎじゃね?」

「いや、こういう所だと早めに寝ることにしてるんだよ」

「どうして?」

 

 首を傾げながらそう聞いてきた戸塚可愛いな、正直21番に聞かれたらうるせえでうるせえで済ますわ。だが、それを言うなら確かに夜の8時半を回った所なのだが…………。こういう標高が高い所だと温度変化激しいから寒さで起きてしまう。ということを説明した、去年はマジで凍死するかと思ったからあれ。

 

「確かに去年の合宿は朝は肌寒かったな…………」

「ああ、長野行った奴な!あれ林間学校見たいでマジ楽しかったっしょ!今回の合宿も長野が良かったべー」

 

 おい、合宿の自由記述欄に長野って書いた奴お前か、マジぶっ殺すぞてめえ…………。あと18同意してんじゃねえ、どれだけの血と汗を流したと思っているんだ?いや、俺じゃなくて先輩だけど。

 今回の事はぶっちゃけ楽すぎる所はある、一応他の人間よりは気を張っているつもりだが、鶴見以外では何にもなさすぎる。それでも仕事したくないでござる。

 

「まあ、でも電気はついたままでいい、寝るとき勝手に寝るから」

「いや、一理ある。どうせ寝るんだ布団を敷くだけならいいだろ?」

 

 ナイス18番。これでトランプやろうぜ!とか好きな女の子とかいる?という問いかけを寝たふりで完全回避できる、俺の中で絶対に許さないリストから除外してやろう。

 などと思いながら瞼を閉じると、細切れになった眠気がやってきたと思ったら気絶するように寝てしまった。思ったより疲れたのだろうか、煌々とした電球の光を瞼越しに感じながら眠りに落ちた。

 

 

 

 

 グッモーニン、星空。

 まずったな、変な時間に目が覚めちまった。時計はピッタリ12時に針を刺していたのを見て、起きる時間も律儀になってしまったと頭を悩ませた。

 確かに部活に入ってから夜更かしはご無沙汰だった。中学の時は無駄に起きてゲームやアニメ三昧だったにも関わらず、部活に入ってから風呂入って飯食って宿題やって寝るというサイクルを送っている。

 もはやこの一年で睡眠関係で健康的な生活を送れるようになってしまった事に軽く絶望感を抱いた。

 

 しかし所変われば睡眠時間も変わった。4時間しか寝れてない事と、やはり少し肌寒くなってしまった事を思えばすれば結構悪くない選択だったと思う、流石やればできるじゃん俺。

 さて、もう一度寝るか。

 

「う…………ん八幡」

 

 

 なんで?戸塚様が寝言で汚らわしい私の名を呼んでらっしゃるわ?

 口調がおかしい、いや、男がこんな色っぽい寝言を男に向けてはなっているのがおかしい、マジ寝言?というかマジ男?っべーよ、マジっべー。

 21番の言葉遣いも移ってるじゃねえか、いやいやそんな事より俺は…………とりあえず寝よう、掛布団かぶって寝れば何も問題はない、そう、問題はないさ。

 

「こっちきて八幡…………」

 

 どっち!?そこバラ咲き乱れてない?大丈夫?いや、俺の頭大丈夫か!?

 強烈すぎる色気は体に毒だ、というか駄目だ。

 生物的に人間にも匂いで男女を認識したり、性的な好みが分かる。それはそのまま付き合い方そのものを決める、男が女に対する振る舞いと男が男に対する振舞いが違うように、パーソナルスペース的な物や付き合い方まで出会ってすぐに無意識のうちに決める。

 だが、ああ、この言葉は使いたくなかったが男の娘という存在は、その中で特に異質だ。本人は男のつもりで接するしたぶん俺も男として接触しているはずだ。

 だが、抗えない女らしさが心と体と頭、それにほんの少しの禁忌感でバグを起こして起こる心拍数の上昇を恋愛的な感情としてすり替わってしまう。

 

 こんな風に考えてみても全然寝れないのであきらめて、外に出て頭冷やすことにした。

 

 扉を開けて、上を見れば月明りと星々のデコレーションが真っ黒な夜空を青く染め込んでいた。気温が下がり半袖では肌寒さを感じている所に、俺の友人たる雪の女王。雪ノ下がそこに立っていた。

 抜け出してこんな所に居ることに驚いて、話しかけてしまった。

 

「こんばんは、寝れなかったのか?」

「あら、こんばんは。暗闇から話しかけるなんて比企谷君通報されたいのかしら?」

「俺に夜道ぐらい歩かせてくれよ」

「ここにおびえてる女の子もいるのに?」

 

 と言って雪ノ下が半歩横にずれ、そこに震えていた由比ヶ浜がいた。

 

「な…………なんか、ごめん」

「ヒッキー怖すぎたんだけど!ゆっくり近づいてくるし、姿見えないし、目だけ光ってるし!」

 

 俺は猫か。

 

「悪かったな」

「ええ、生まれてきた資質を恨みながら謝りなさい」

「生まれながらの不審者みたいに言うな。それで、お前らはどうしてここに居るんだ?」

 

 するとバツの悪そうな顔をしながら雪ノ下が顔を反らした。

 

「優美子とゆきのんが口喧嘩始めちゃって…………」

「勝ったのか?」

「勝ったわ」

「もう!ゆきのんも優美子も言い過ぎだったからね?」

「グッジョブ」

「ヒッキーも煽らない!」

 

 だってあの金髪縦ドリル好きじゃないもの。

 しかし誇らしげな顔が一瞬でバツの悪そうな顔になりながら顔を反らした。ちょくちょく奉仕部に顔を出しているけど、こんな顔を見たのは初めての事で、その関係性に頬を緩ませてしまった。

 

「何を笑っているのかしら?」

「誰かに言われた言葉に、少ないながらも考え込んでいる事に驚いたんだよ。俺と話しててもどこ吹く風って感じだったし」

「それは貴方の話や人生経験や考え方が下らないからよ」

「じゃあ、俺も明るくゆきのんって呼んでみるか…………?」

「止めなさい、貴方にそう呼ばれるとか、虫唾が走るわ気持ち悪い」

「へえ、由比ヶ浜はそう呼ぶこと認めてるんだな」

「え?」

 

 雪ノ下の後ろでは、目に滲んだうれし涙で目をキラキラさせた由比ヶ浜が待てされたイヌのように飛びつかんとしていた。

 

「ゆきのーん!今あたしすっごく嬉しい!ゆきのん!ゆきのん!」

「ちょ、止めっ止めなさい由比ヶ浜さん」

「携帯持ってくればよかったな…………」

「今身の危険を感じたから本当に辞めて由比ヶ浜さん!」

 

 目の前のゆるゆりした瞬間を見れば、そう思わずには居られなかった。由比ヶ浜さんが落ち着くまで俺は沈黙を貫いて、俺の話を聞くレベルにまで落ち着いたら。

 

「鶴見のことで相談があるんだが…………」

「ヒッキーも気になってたんだ?」

「いや、俺から奉仕部へ方法の具申だ」

「…………話してみなさい」

 

 とりあえず近場のベンチに腰掛けた、俺と拳二つ分空いた所に由比ヶ浜と雪ノ下がくっ付いて座った。今の関係性と妙に似ているな、と思った。

 そして俺は比べられた白に戻す方法ではなく、個人の黒を明るみに出す方法を語った。

 メリットデメリット、俺一人では何も出来ない事を、包み隠さず全てを話した。

 話が進むにつれて、彼女たちの顔色は暗くなっていくのを感じながらも、これが血みどろの対決になろうが喋るのをやめてはならないと自分に言い聞かせた。

 

 そして雪ノ下のジャッジは…………。

 

「最低ね」

「知ってる。それでも、俺の頭じゃこれぐらいしか考えられなかった」

 

「勝算はあるのかしら?」

「勝利じゃない勝負を無くす方法を考えているんだ」

 

「その方法だと人を認知することすらなくなるわ」

「誰か一人が貶され続けるより、人に傷つけられる痛さを知らないより。ましだ」

 

「貴方がその立場になっても?」

「既にそうだ」

 

「それをなぜ私たちに話したのかしら?少なくとも由比ヶ浜さんがいる前でいう事ではなかったはずよ」

「もしお前がこれにすると決めたなら最終的に聞くことになる。それに雪ノ下には言っておかなければならないと思ったからだ」

 

 いくつかの問いを、自分を卑下しながら答え続けた。友達として、きっと俺は正しくないのだろう。胸を張らず猫背で卑屈に俺は俺の白を謳うしかなかった。

 最終的な雪ノ下の判断は保留、最終的に方法がない場合このような措置を取ると話して、嫌な物を避けるようにその場を立ち去った。

 その場に残された由比ヶ浜は飼い主を失った犬のように、オロオロしながら俺の顔と雪ノ下の背中を交互に見て。俺の顔をじっと見て俺に話しかけた。

 

「ヒッキー、さ」

「ん?」

「私の事ってどう思ってる?」

「知り合い?」

 

 知り合いでも、十分すぎる。というか雪ノ下は知り合いの付き合いを友達とか言ってるだけかもしれないし?

 

「そっか…………ヒッキー、去年車に轢かれたって聞いたけど」

「ああ、そんなこともあったな」

「ええ!?」

「忘れてたよ…………最近忙しかったからな」

「そんな重要そうなこと忘れるの?」

「去年の夏過ぎたら忘れてたな!」

 

 偶に小町に向かってブラックジョークとして言うぐらいの話になった。

 

「それなら、言いやすいかも…………」

「なんか言ったか?」

「私、あの犬の飼い主です、あの時はうちの犬を助けてくれてありがとうございました」

「あ、そうなん?あの犬無事?」

「面白い位スルーされた!?うん、おかげで無事に生きてるよ」

「ならよかった。じゃあ、俺寝るわ夜更かしすんなよ」

 

 と言って俺もこの場を立ち去った「あ、ちょっと!?」なんて後ろで聞こえてくるが聞こえない振りして手の甲を向けて手を振った。

 

 ……………俺はあの事故を恨むべきなのだろうか?それとも感謝するべきなのだろうか?ただ、今必要なのは振り返ることではない。

 

 俺の方法は、鶴見にも言おうと思う。言わなければ、何も進まなかった。

 

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