やはり俺の部活動選択は間違っている   作:屑太郎

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出た!雪ノ下の毒霧

 

「ああ、一色。ちょっといいか?」

「はい、どうしましたか?」

 

 夏休みが過ぎたある日。秋が訪れて少し経った放課後の練習で、俺は一色を呼び止めた。少し首を傾げてトテトテといった効果音が付きそうな走り方で一色がこちらに向いた

 

「文化祭準備中は練習ないぞ」

「マジで言ってるんですか?」

「大マジだ,とは言っても一か月ちょいだしな」

 

 去年の先輩と同じようなことを、俺も一緒になって言うとは思わなかった今日この頃。

 去年の俺も同じように大口開けて間抜け面をさらしていたのだろうか?

 

「まあ、文化祭楽しめばいいさ」

「発言と表情が伴っていないですよ…………」

 

 楽しむやつ全員爆発すれば笑顔になれるかもしれないが。

 実際よく考えてみて欲しい、精々準備期間一か月の中で、普段の授業とかとは別の物を発表していること自体がおかしいのだ。なんでこの学校入ったんですか?文化祭が楽しかったからです!馬鹿か?そんな一年間の内の精々3日を目当てに来るとかアホすぎちゃうかと。

 口調が乱れるレベルで大嫌いだ。

 どこが楽しいのか?あと、大体こういう所で言う「文化祭の成功」ってなに?成功しているのは自己完結した脳内お花畑の培養しかないだろ。農業科逝け、銀の匙になれ。

 

「という訳で、今日から文化祭終わるまで会うことはないだろう。それじゃ」

「えっ、ちょっと先輩!」

 

 後ろから抗議の声が聞こえたが、それを無視して俺は文化祭実行員として行動を開始することにした。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 文実の会議に参加。いや違う。不本意ながら参加するため。会議室に足を運んだ。どうやって、時間をつぶそうか悩んでいる時に、目の前に見知った顔を見かけた。少し手を振ってこちらに向き直ったのは雪ノ下雪乃、開口一番こういった。

 

「あら、比企谷君。今日も私のストーキングご苦労様」

「衆人環視の中何言ってやがる」

 

 ストーカーに対する振舞いじゃねえだろそれ。周りの皆様方がびっくりしていらっしゃるじゃねえか。

 

「同じようにストーキングしてきた人にはこのように接したわ。ストーキングされたこともないのにそんな事言わないで頂戴」

「はいはい、じゃあ俺文実だから」

「同じ組織に入るのはストーカーの第一歩よ。中学の時のマイケル君はそうやってたわ」

「マイケルって冗談か?…………あ、いや一応帰国子女だったなお前」

 

 そこで、一度沈黙が流れた。もはや、雪ノ下相手に沈黙を感じた所で気まずさを感じる事は無い。喋らないのなら、そこで会話を切り上げるだけ。じゃあ、と言って雪ノ下から背を向けた所で再び話かけられた。

 

「失礼、比企谷君。相談があるのだけれど……………いえ、良いわ」

 

 え?なに?人の心ボロボロにしないと相談できないの?途中でやめるし

 

「言いたくなったら言ってくれ」

「…………そうさせてもらうわ」

 

 ボッチにとって、気まずいのは沈黙や静寂なんて物じゃない。注目だ。

 外で与太話をしている間に、かなりの人が集まっていて、かなりの視線が俺に浴びる事になる。そして、俺は決意した。相談事、絶対に聞きだしてやる……………。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 ことさら、まずい事になった。

 

 対外的に見れば、もしくはリア充から見ればなんの問題もない人間が、文実のトップになったと思われるだろうが、そういう人間こそ我々非リアの人間からしてみればまずい事態になっている。

 

 別に大きく大別してリア充だからまずいという訳ではない。トップの在り方として、俺が被害を受けるような人間がトップになってしまった点がまずい。

 

 よくあるだろ?友達が勝手に応募しちゃって~。という奴に近く、それとは最もかけ離れている物。周りからもてはやされて、その小さなグループ内で完結すればいいノリを、トップになった事で我々にも強制されるようになってしまう。悪循環の最もがこういうタイプだ。

 

 結論。

 何が言いたいのかと言えば、徒党しか組めないのならトップになるべきではないという事だ。

 その結論に至る過程はこの通り。まず、なんか女子がやりたがらない実行委員長に名乗りをあげ、そのまま採用。平塚先生経由で奉仕部に襲来してきたという訳だ。

 

 で、結果撃退…………。

 

「…………マジか」

「はぁ、実に無益な会話だったわね」

「ゆきのんお疲れ様?なのかな?」

 

 だが、それで終わる訳がないのが奉仕部、いや雪ノ下雪乃という人間だ。

 

「あんな人が委員長になるなんて、少し頭が痛いわ。断らずに立候補した方が良かったかしら?」

「後悔先に立たずだ、今更そんな事言っても遅いわ…………まあ、何とかなるんじゃねえの?」

「そんなにいうならヒッキーが副委員長になれば良いんじゃないかな?」

「それは名案ね」

「凄惨の間違いだろ。俺がそんなポストについたらめちゃくちゃ俺が楽して俺が死ぬ」

 

 周りの人間全員使ってやるから、全員一色だと思ってやるから。

 

 …………とまあ、俺が何かにかかわると、人間関係がろくな結果になった物じゃないのは周知の事実。いや自覚していたはずなのだが。

 

 まあ、そのことに関しては少し時間を進める事にしよう…………

 


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