2人の赤龍帝 〜真なる赤龍の魂を持しもの〜 作:大熊猫シャンシャン
「貴様…裏切ったのか…答えろ…フリードォォォォォォォォ!!!!!!!!!」
身体に剣が突き刺さったバルパーが怒りを込めて叫ぶ。
その問いかけに対してフリードは、
「何言っちゃってんの? 俺はあんたの仲間じゃねぇーよ」
と、いつもと変わらないおちゃらけた雰囲気で答えた。
「ふざけるな!」
バルパーは、剣を体から抜きながら後ろに跳びのき傷口を治療するが、慣れていないため、なかなか治らない。
「俺は、あんたに雇われたんじゃないコカビエルの旦那に雇われたんだよ」
「そうだな、裏切ったのは俺だな」
上空から声が聞こえると同時に、血が止まったバルパーの胸元に光の槍が突き刺さった。
「な⁉︎」
心臓からは、外れているが動けなくなるほどの激痛がバルパーを襲い動けなくなってしまった。
「俺の目的は貴様の持っていた結晶を手に入れることだ。そして今、結晶持っていないお前はただの邪魔者だ。死ね」
「お…のおれ…」
そして今度こそ確実に息の根を止めるため、先ほどより魔力と大きさが桁違いの槍を構え放とうとした瞬間
「ただでは…死なん!」
バルパーの真下に魔法陣が現れ、バルパー自身が光り始めた。
「!?まずい!」
それをいちはやく察知した僕は、さっきまで動けなかったのが嘘のように、全身全霊の力でフリードの足を掴み後ろに投げた。
「逃げろフリードォォォォ!」
「どういうこったぁぁぁぁ」
フリードを後ろに投げた瞬間、激しい衝撃が体を襲った。
そうバルパーは自分自身を爆破したのだ。
そして走馬灯のようなものが見えてくる…
今とは全く違う、僕を拾ってくれた昔の優しかった部長 少しSだったけど僕に暖かさをくれた朱乃さん
いつも僕を心配してくれる小猫ちゃん
他にも様々な人との出会い
昔の楽しかった…夢のような時間の記憶が蘇ってくる。
きっと、僕はもう死ぬのだろう。
悔いがあるとすれば、彼が来てから変わってしまった部長たちを救えなかったことと、せめて最後に彼女に…アーシアにもう一度会い伝えたかった愛していると…
そこまで考えて僕の意識は闇の中に消えた
「………」
「き……」
「きば」
声が聞こえる気がした
「木場!」
そして今度ははっきりと聞こえた僕を呼ぶ声を
「起きろ木場!」
「お願いします起きてください」
もう一つ声が聞こえた、懐かしくそして愛おしい声
「……お…き…てる…よ……」
そして意識が一気に覚醒した
気がつくと僕はボロボロの校庭ではなく白い部屋で辺りには色々な機会があり酸素マスクをつけられて体に様々なチューブが繋がっていた。
そして目の前には
「良かった、間に合ったか」
「良かったですぅぅぅぅ 目を覚ましてくれてぇぇ」
髪型が違うが一誠くんに似ている顔、誠次くんと泣きながら僕に抱きついてくるアーシアがそこに居た。
「もう私、目を覚ましてくれないかと」
「ごめんね心配かけて」
僕も精一杯アーシアを抱きしめた。
最後に彼女に出会えて良かった、本当にそう思った。