アマゾン・ストラトス   作:I S S E I

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謹賀新年

明けましておめでとう御座います。

何とか書けました。

今回オリジナルアマゾンを出します。


一夏の苦悩 全力の闘い

一夏 side

 

俺は鈴が出て行った後、俺はベンチに座って佇んでいた。

 

一夏「俺は最低だ。だけど、実際に相手(束姉)がいるから仕方ないんだ。それに俺は・・・」

 

俺は言い掛けて気配に気付いた。

 

一夏「立ち聞きなんて悪趣味だぞ、クソ兄貴」

 

俺はベンチから立ち上がりながら、ドアの向こうに居るクソ兄貴にそう言った。

 

春十「まったく、そんな察知能力はアニメか漫画だけにしてほしいな。それと勘違いするな、俺はリハビリを予て散歩してただけだ」

 

クソ兄貴はドアを開けながらそう言った。

 

一夏「見え見えな嘘を言うな。此処はアリーナの更衣室だぞ、観戦の時も同様に受け付けの手続きがないと入れない事はお前も知ってる筈だぞ。なのに何で此処に居るんだ」

 

春十「・・・チッ、お前は何処ぞの某高校生探偵か?あぁそうだよ、情報収集にお前達の訓練を見てたんだよ。その後に出口へ行こうとしたら、更衣室からお前と鈴の声が聞こえたんだ。しかも聞いてみたら失恋現場に鉢合わせしたって訳だ」

 

クソ兄貴は観念したのか正直に話した。

 

一夏「(嘘は無いな)だからと言って盗み聞きはするな。それと、さっきの事は黙っとけよ。もし鈴を脅すような真似をしたら・・・[本気で]お前を殺すからな」ギロッ

 

春十「!?」ビクッ

 

俺は最後に殺気をぶつけながら脅しを掛けた。

 

一夏「他に用が無いならさっさと病室に戻れ。俺も着替えて帰る」

 

春十「・・・」

 

クソ兄貴は無言で更衣室を出ていった。

 

春十 side

 

何なんだアイツは!?

 

あの雰囲気、アレはかなりヤバイ。

 

春十「あの目、殆ど喧嘩した事が無い俺でも分かる。あれは危ない奴の目だ」

 

俺は一夏が俺を睨んだ時の目に恐怖を感じた。

 

春十「クソッまだ震えが治まらねえ」

 

俺は病室に戻る為に歩いているが、体の震えが治まらない。

 

心の底から恐怖を感じたのは生まれて初めてだ。

 

春十「畜生、俺ともあろう者が一夏ごときに怯えちまうなんて。だけどアイツ、あんなヤバイ目をするなんてなぁ。この2年で何が遭ったんだ?」

 

俺は一夏の豹変にそう思った。

 

千冬 side

 

私は代表決定戦以来ずっと考えていた。

 

一夏にどう償いをすれば良いかを。

 

千冬「一夏、許してくれなくても良い。でも、どう詫びれば良いか?」

 

私は見回りをしながらそう考えていた。

 

海岸に差し掛かった処で、スーツを着た男と鉢合わせした。

 

しかし、此処はモノレールでしか行き来出来ない孤島。

 

なのに此処に知らない男が立っている。

 

それが余りにも不自然だ。

 

千冬「お前は何者だ?此処は一般人が立ち入って良い場所ではないぞ」

 

スーツの男「・・・」

 

忠告したが男からは反応が無かった。

 

千冬「分かっていると思うが、拘束させてもらう」

 

私がそう言って近付いた時だった。

 

スーツの男「人間が俺を拘束するか、出来るものならやってみろ。勿論、命懸けでな」

 

男がそう言った瞬間、凄まじい熱気が男から発せられた。

 

千冬「熱っ!!」

 

余りの熱さに私は怯んでしまう。

 

千冬「な、なに!?」

 

私は再び男を見て驚愕した。

 

スーツの男は、アマゾンだった。

 

???アマゾン「この姿を見て驚いたか?だがそれで見逃す訳が無いがな」

 

アマゾンはそう言ってゆっくりと此方に近付いてきた。

 

一夏 side

 

俺は着替えを終えて帰路に着いていた。

 

何時しか、帰りに海を眺めるのが日課になっていた。

 

一夏(俺は何をやってるんだろうな?[狩りたいモノは狩り、守りたいモノは守る]って決めたのになぁ。なのに俺は、守りたい者を傷付けてばかりだ)

 

俺は自己嫌悪していた。

 

自分の流儀を変えるつもりはない。

 

だけど、やっぱり罪悪感は有る。

 

そんな事を考えながら海沿いを歩いていると、アマゾンがダメ姉にせまっているのを見付けた。

 

一夏「へっ因果応報だな。此処で喰われるのを見物するか。でもあのアマゾン、今までのアマゾンとは違うな。腕がゴリラ、足がチーター、顔が狼、頭に兎の耳。まるで合成獣、名付けるならキメラアマゾンだな」

 

俺はアマゾンを分析してそう名付けた。

 

キメラアマゾン「さて、餌に成る覚悟は出来たか?」

 

千冬「餌になど成ってたまるか!!弟に、一夏に償うまで死んでたまるか!!」

 

キメラアマゾンの問いに、ダメ姉はそう叫んだ。

 

一夏「[償う]ねえ、綺麗事の代名詞だな。なら、[今]の俺を見ても同じ事が言えるか聞いてみるか」ニヤッ

 

俺はそう言って、キメラアマゾンとダメ姉に話し掛けた。

 

一夏「おいおい、夕食にしては時間が早くないか?」

 

千冬「一夏!?」

 

キメラアマゾン「・・・コイツ、人間じゃない」ボソッ

 

俺の登場にダメ姉は驚き、キメラアマゾンは小さく呟いた。

 

千冬「逃げるんだ一夏!!!」

 

キメラアマゾン「逃がさん」

 

ダメ姉が叫んだ瞬間、キメラアマゾンが俺に襲いかかってきた。

 

一夏「遅いな」

 

ガシッ

 

キメラアマゾン「なに!?」

 

千冬「一夏!?」

 

俺がキメラアマゾンの左クローを右手で手首を掴んで止めると、キメラアマゾンとダメ姉は驚いた。

 

一夏「そう言えばアンタ、さっき償うとか言ってたよな?」

 

千冬「聞いていたのか!?」

 

一夏「あぁ、最初は傍観するつもりだったが気が変わった。よっ」

 

キメラアマゾン「うわ!」

 

一夏「そらよ!」

 

キメラアマゾン「かはっ!!」

 

俺はダメ姉にそう言った後、小手返しでキメラアマゾンを投げ転がし、更に蹴り飛ばした。

 

一夏「アンタは考えなかったのか?何でIS初心者の俺が、代表候補生とタメ張れるのか」

 

千冬「束から教わったからだろ?」

 

一夏「普通はそう思うよな。確かに正解だ・・・半分はな」

 

千冬「半分?」

 

俺はダメ姉と問答した後、ベルトを着けた。

 

一夏「もう半分はこれさ・・・アマゾン」

 

俺はベルトの左グリップを捻った。

 

〔ジ・リ・オン〕

 

ボオオオオォォォォン

 

黒い熱風と共に俺はアマゾン体に成った。

 

千冬「い、一夏なのか!?」

 

一夏「そうだ。だが、アンタが償う対象の[人間]の織斑一夏は死んだ。今の俺は[アマゾン]の織斑一夏だ」

 

俺はそう言って、キメラアマゾンに向かって歩いて行った。

 

千冬 side

 

一夏がアマゾンに成っていた。

 

これは生涯で1番のショックだ。

 

一夏を蔑ろにしていた付けが、こんな形で帰ってきてしまった。

 

しかも、出来損ないと蔑まれていた頃に反比例するかのような一夏の強さ。

 

(春十からの解説[脚色を推理変換])

 

千冬(一夏、私はどう償えば良いんだ!?私の誤った考えが一夏を苦しめ、一夏を変える切っ掛けを作ってしまった!)

 

ボフッ

 

自分へのやり場の無い怒りが沸き上がり、思わず砂を殴った。

 

NOside

 

キメラアマゾンと対面する一夏。

 

キメラアマゾン「まさか貴様が噂のアマゾンだったとはな。裏では有名だぞ」

 

一夏「それは光栄だな。それと1つ聞くが、お前は野座間が作ったアマゾンか?」

 

一夏はキメラアマゾンにそう問い掛けた。

 

キメラアマゾン「違う、俺は別の組織に作られた」

 

一夏「俺が思い付く限りじゃ亡国企業しか選択肢が無いんだがな」

 

キメラアマゾンの否定に、一夏はすぐさまが質問をぶつけた。

 

キメラアマゾン「何故いきなりその組織に結び付く?」

 

一夏「簡単な事だ。俺が裏で知られているように、俺も裏を知っている。だから俺が知る限り、野座間と同等かそれ以上の技術を持つのは亡国企業だけだからな」

 

キメラアマゾン「お前をガキと侮っていたが、警戒した方が良さそうだな。その推理力、俺を片手で投げる格闘技術、此処からは本気で行くぞ。[アイツ]からは無傷で捕らえろと言われているが、抵抗するなら手や足の1本はもいでも大丈夫だろう」

 

一夏の推理を聞いて、キメラアマゾンは構えながらそう言った。

 

一夏「成る程な、俺が女性権利団体の奴等を殺し回ってる事を知っているから、俺その物を実験に利用しようって事か」

 

キメラアマゾン「まさか其処まで的中するとは驚いた。本当に侮れないな」

 

更なる一夏の推理に、キメラアマゾンの警戒心が更に強くなる。

 

一夏「おしゃべりは此処までだ。この学園の人達を喰い殺されたら堪ったものじゃねえからな」

 

そう言って、一夏は早歩きでキメラアマゾンに近付いた。

 

間合いに入った瞬間、キメラアマゾンの肩に飛び乗り、首を巻き込んで胡座を組み、左右の足首を掴んで固定した。

 

一夏「これは人間が4000年前から受け継いできた戦闘技術だ」

 

そう言って時計回りに回ろうと体を倒した。

 

キメラアマゾン「まずい!!!」

 

キメラアマゾンは少し倒れた瞬間に技の効果に気付いて側転で技を回避した。

 

一夏「それは折り込み済みだ」

 

それと同時に先読みしていた一夏も足を放してキメラアマゾンと同じように側転で着地し、脇越しに右アッパーを顎に入れた。

 

ガンッ

 

キメラアマゾン「グッ!!」

 

更に左アッパーを鳩尾に入れ、更に右フックでキメラアマゾンを吹き飛ばした。

 

ドオオォォン

 

背中から叩き付けられ怯んだ隙に、一夏がダッシュでキメラアマゾンに近付いていく。

 

だがキメラアマゾンは右手をついて左低空回転蹴りでカウンターを仕掛けた。

 

しかし一夏は急停止してそれを足で止めた。

 

千冬「な、何なんだこの闘いは?」

 

それを見ていた千冬は呆然と立ち尽くしていた。

 

キメラアマゾン「貴様、目だけでなく耳も使っているな」

 

一夏「此処まで闘れば流石に気付くよな、その通りだよ。俺は目と耳で相手の動きを先読みしている。これも経験の為せる技だ」

 

一夏は自慢気にそう言った。

 

一夏「そろそろ本気で殺り合おうぜ、様子見はいい加減に飽きたからな。さっさと俺に出させてくれよ、全力をよう」

 

キメラアマゾン「・・・良いだろう、だが後悔するぞ。俺を本気にさせたんだからな」

 

一夏の挑発にも取れる促しに、キメラアマゾンの範囲気が変わる。

 

一夏「これからが本番だな。アマゾンに成ってから初めて全力を出せそうだな」

 

一夏はそう言って殺気をキメラアマゾンに向けながらファイティングポーズで構えた。

 

キメラアマゾン「ふん、ガキが調子に乗るな」

 

キメラアマゾンも答えるように股を開いて中腰に成り、右を引き手に左を斜め下へ膝に手を翳すようにして構える。

 

お互いに殺気を出しながら間合いのギリギリ外で向かい合って硬直する。

 

千冬「・・・これが、アマゾン同士の闘いか」

 

千冬は既に観察に入っていた。

 

長いようで短い硬直の後、2人同時に突っ込んだ。

 

ガキンッ

 

ガキンッ

 

一夏「グッ!!」

 

キメラアマゾン「グッ!!」

 

互いに頬を殴り付け軽く怯むが、更に拳を打ち合う2人。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

繰り返される殴り合い守り合い。

 

それが数分間続いた。

 

一夏「ハァ、ハァ、ハァ」

 

キメラアマゾン「ハァ、ハァ、ハァ」

 

肩で息をしながら呼吸を整える2人。

 

一夏「こんな時に不謹慎だが、楽しくて仕様がないぜ。此処まで全力を出せたのはお前が初めてだ」

 

キメラアマゾン「心外だが同意見だ、俺も楽しいぞ」

 

闘いで意気投合する2人。

 

千冬「・・・何処のバトル漫画だこれは?」

 

2人に聞こえないように突っ込む千冬。

 

一夏「だが腹が減ってきたから、そろそろ決着を着けようぜ」

 

キメラアマゾン「そうだな、生き残るのはどっちか1人。俺か、それともお前か」

 

ポキポキ ポキポキ

 

そう言ってキメラアマゾンは両手指の間接を鳴らす。

 

そして一夏は無言でアクセラーグリップを捻った。

 

〔バイオレント・ストライク〕

 

音声が合図かのように、お互いに走りだし間合いを積める。

 

一夏「はああああ!!!」

 

キメラアマゾン「止めだ!!!」

 

一夏は助走を着けたドロップキック、キメラアマゾンはジャンピングストレートパンチをそれぞれ繰り出した。

 

交差の後、少し離れて背中を向けたまま着地した。

 

一夏「グッ」

 

一夏は脱力してバランスを崩すも、膝と手を付いて耐える。

 

キメラアマゾン「ガハッ!!」

 

対してキメラアマゾンは吐血しながら前のめりに倒れた。

 

キメラアマゾン「見事だったぞ、織斑一夏」

 

その言葉を最後にキメラアマゾンは融解してスライムとなり、腕輪だけが残った。

 

一夏「俺も楽しかったぜキメラ。でも出来れば、お前とは繰り返し闘いたかった」

 

一夏もキメラアマゾンに向けてそうそう言うと、ベルトを外してアマゾン体から戻った。




今回は此処までです。

一夏の種族を知ってしまった千冬。

この先に待っているのは和解か、それとも決別か。

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