彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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3:自分以外の力持ち

 [早朝]

 

 よい・・・・・・しょぉお!

 

 「ほれ、もっと腰入れんとニィちゃん!」

 「は、はい」

 

 鍬で、俺がこの間更地にしてしまった土地を耕す。

 ここ数日、早起きをしては白鳥や爺さん婆さんと一緒に畑を耕している。

 

 タダ飯食らいをする訳にもいかない、という事で、俺が更地にしてしまった土地を耕して畑に戻す、という作業を手伝う事にしたのだ。

 というか元は俺のせいでこうなったのだ。自分のしでかした事の後始末くらいやらねば。

 

 汗が滴り落ちる。

 やはり、九月も終盤とは言え、まだまだ残暑が残っている。暑い。

 もう少し、もう半月もせずに涼しくなるらしいが。

 

 「よっこい・・・・・しょっとぉ!」

 「おーし、それじゃあ、ちょいと休憩しようか。

 それにしても若いってのは良いねぇ・・・・・・ワシらが大人数でやる広さを一人でやっちまうなんて。ほれ、水とタオル」

 「ああ、どうも。ありがとうございます」

 

 有り難く受け取る。

 まあ、そこは人外スペックの身体能力(ポケモンのステータス)を持っている俺である。

 いくら攻撃と特攻に種族値がぶち抜けていて尚且つ努力値も同じくその二つに極振りしている火力馬鹿だとしても、体力は常人よりもある。

 

 故に、俺が更地にした土地をみんなで三日で全て耕してしまうのも、しょうがない事なのだ。

 ・・・・・・白鳥が広大な畑を見て目を輝かせ、何を育てるか、譫言のように呟いている。

 

 俺が更地にしてしまった土地は半径一キロくらいだった。

 『りゅうせいぐん』を軽く使っただけでこれだ。

 もしも、全力で使おうものなら・・・・・・。

 

 ・・・・・・想像したくないな。あの時使った『あくうせつだん』も、実際は全力を出していないし。

 怖いんだよな~。ドラゴンタイプの技は、強力無比なものが多いが、ヘタすればそれこそ大陸が滅ぶようなものもある。

 

 危険だな。・・・・・・しばらくは威力百以上の技は封印だなこりゃあ。

 

 閑話休題!

 

 それにしても、あの神が言うには、俺の他にもうあと三人。

 転移者が存在しているという説明だった。

 

 一人は、極寒の北方へ。

 一人は、瀬戸内海へ。

 もう一人は南方の海へ。

 

 ・・・・・・海に転移ってそれつまり転移の瞬間にドボンなのだろうか。

 だとすると、海へと転移してしまった俺以外の転移者にはご愁傷様と言いたい気分だ。

 

 他人事? ・・・・・・まぁ、他人事っちゃあ他人事だ。

 だが、同情はしよう。なーむー。

 

 *

 

 ちょうど、その頃。

 南方の海に、一人の少年が落っこちた事を俺はまだ、知らなかった。




 次、炎行きます。

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