彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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転移者の年表的なものを着くってみました。

ドラゴンタイプ
七月中旬、中部地方の都市跡地に転移。九月に諏訪到着。うたのんとみーちゃんを数万体のバーテックスから救う。

炎タイプ
七月下旬、沖縄本島近くの小さな島に転移。
超巨大バーテックスと戦い、飲み込まれていた棗を助ける。

格闘タイプ
七月下旬、岡山県の南部に転移。死にそうな感じになりつつ、十月の半ば頃くらいに四国に。
杏を深夜ばりにテンションがハイになりつつも助ける。

氷タイプ
他の人たちより少し遅れて、九月の下旬くらいに北海道カムイコタンの近くに転移。
バーテックスの大群に襲われ、最早人々が死に絶えた街(子供が数人生き残っていた事が後に判明)にて、雪花を助ける。ヤンデレ被害者その一。

ゴーストタイプの人
年月不明。関東地方に転移。

この作品を読むのに、参考にしてくれると・・・・・・


9:龍は、知らず知らずの内に外堀を埋められる

[諏訪/草薙竜介の居住している部屋/十月末/昼下がり]

 

 さて、どうしたものか。

 

 「バーテックスが来ないから、平和ね~」

 「そーだな。確かにな、しらと・・・・・・いや歌野、苦しいから離して下さい名前呼びしなかったのは悪かったから。息が~フゴフゴ」

 

 しら・・・・・・歌野には、名前呼びをしなければ正面から抱きすくめられ、

 

 「ええーと、えいっ」

 「あの~ふじm・・・・・・いえ、水都さん?」

 

 歌野とほぼ同時に名前呼びを強要してきた水都には、こうして何故か、歌野に俺が抱きしめられていると決まって背後から抱きしめられる。

 

 先週くらいからずっとこうだ。一体何があったんだ。

 

 「ん~、りゅー君はなかなか抱きしめ具合が良いわね。スリープするときに使う抱きまくらとしてテイクアウトしちゃおうかしら」

 「うたのん、それ名案」

 「何サラっと言ってんだ歌野!?そして水都!横目でちらりと見えたが良い笑顔でサムズアップなんてしてんじゃねぇ!?」

 

 俺は身長が平均よりもかなり小さい為に、こうして同い年の女の子にさえ、こう抱きしめられると上手く身動きが取れなくなる。

 というかこの歌野と水都の板挟み・・・・・・略してうたみとサンドイッチ状態(全っ然略せてねぇ!?)はいつまで続くのだろうか。

 

 ぎゅー。むにゅむにゅ。

 

 まあ、顔とかに胸やらが当たるわいいにおいするわ柔らかいわで、そろそろ俺の思春期の脳みそが爆発しそうで大変なので解放してくれるとありがたい、切実に!

 

 「あの~?そろそろ離してくれるとありがたいんだがお二方?」

 

 俺がそういうと、もっと抱きしめる力が強くなった。なぜゆえに?

 

 ぎゅむー。むにむに。

 

 ああああああヤバいもう何がヤバいってもういろいろやばい柔らかいいいにおいーーーーーーーーーーーー

 

 ーーーーーーあ、ヤバい。もっそろ昇天しそう(あらゆる意味で)。

 

 *

 

 諏訪に一ヶ月半くらい前にやってきた少年、草薙竜介。私はりゅー君と呼んでいる。

 初めの頃は、一週間ほど一人で諏訪の守護をさせてしまって、ちょっと罪悪感があったりもした。

 

 りゅー君も、畑を更地にしてしまった事で罪悪感を感じていたのか、諏訪に来て初めの一週間ちょっとくらいは畑仕事ばっかりで全然私達と付き合いがなくて、呼び名も名字で呼んでいて、何だか距離がある感じだったけれど、最近は私とみーちゃんでりゅー君が住んでいる部屋に突撃して遊んだり、時々泊まったりなんかもしている。

 

 この前なんて、何時までも名字なのは嫌だ!友達なんだから名前呼びで呼べー!リピートアフターミー!って感じで、名前呼びにしてもらった。

 

 それにしても・・・・・・最近、他の女の子がりゅー君と話していたりすると、何だか嫉妬のようなものをしてしまう。

 私とみーちゃん以外の女の子と楽しそうに話しているのを見ると、何だか黒い感情がふつふつと沸き上がってきて、「私とみーちゃん以外にその笑顔を見せないで」と思ってしまう。

 

 ・・・・・・りゅー君の事を好きだと思っているのは、ほんの前に自覚したけれど・・・・・・私はこんなに独占欲と嫉妬が強かったのだろうか。

 別に、みーちゃんとりゅー君がイチャイチャしててもあまり嫉妬は湧いて来ない。他の女の子はダメだけど、みーちゃんなら、と思える。

 

 みーちゃんもどうやらりゅー君の事が好きみたいで、私がいない間にずっとりゅー君を抱きしめて、てこでも離さないと抱きしめられる本人から聞いた。

 本人はいろいろ大変そうだが、抱きしめたくなるのは解る。

 

 聞けば、私達と同い年なのに身長が平均よりもかなり小さい。私達よりも小さいのだから驚く。本当にりゅー君はしっかりご飯を食べているのだろうか。そう思うくらい小さい。

 

 だから抱きしめやすいし、それにほっぺやふとももがぷにぷにで触り心地も抱きしめ心地も抜群で、パーフェクトな感じの為にもう抱きしめたくなってしまうのもしょうがない。

 名前呼びしなかった時の罰と称して抱きしめたりしているが、あれもただスキンシップがしたいのと、ただ抱きしめたいだけだったりする。

 

 ・・・・・・りゅー君抱きまくら案件、真剣にシンキングしてみようかしら。

 

 *

 

 [同日/夜]

 

 (幸せだなぁ・・・・・・)

 

 竜介君をベッドの上で抱きしめながらそう思う。

 どうやら、自分が思っている以上に竜介君の事を好意的に思っているらしく、抱きしめていたら多幸感があふれ出てきて止まらない。

 

 ごく最近になって、私とうたのん以外の女の子と仲良く話している竜介君を見て、何だかどす黒い感情がすごくあふれ出てきて、怖くなって、それでうたのんに相談したら・・・・・・私は、竜介君を自分以外の誰にも渡したくないと、そう思えるくらい好きになっていたらしい。

 

 何時からこんなに好きだったのだろう。あの時かな?と、振り返ってみるけれど、これといった心当たりがない。

 気がついたら好きになっていた。

 一緒にいたら、それだけで幸せで、抱きしめたらもっと幸せで、お話をするだけで楽しくて・・・・・・気がつけば、心が竜介君の事でいっぱいで。

 

 「ちょ、水都さーん?そろそろ離して。じゃないと俺の思春期ぼでーが反応しちゃうからぁ!?」

 「もう少しこのままでいて欲しい・・・・・・かなって」

 

 本当は、もう少しとは言わず、このすごく幸せな感覚が永久(とこしえ)に続けば良いのになんて、そう思ったり。

 

 *

 

 「みーちゃん、もうどうしようもないくらい、りゅー君の事ラブでしょう」

 「・・・・・・うん」

 「・・・・・・外堀、一緒に埋める?みーちゃん」

 「・・・・・・!」(全力の肯定)




予告:次は氷

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