彼等は総じて化け物(モンスター)である   作:千点数

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 本日三投目ぇ!


12:お客様は天の神・・・・・・お帰り下さい(by大社一同)

 [四国/香川/十一月上旬/昼下がり]

 

 それは、突然やってきた。

 幽霊の如く、俺や勇者の通っている中学校の敷地内に突然表れ、雷鳴のような大声で大気を響かせる。

 人々はその姿に畏怖し、自然と頭を下げる。

 

 それは、一人の年若い、可憐な少女にも見える中性的な青年の男だった。

 服装は、白い袴に、神秘的なオーラを纏う剣を持っている事以外に特徴はない。

 だが、人の姿をとっているが、中身は全くの別物だと『理解出来てしまう』。

 身体から発する雰囲気、気配が異常。明らかに人間のそれじゃない。

 勇者と呼ばれる少女達も、辛うじてその覇気に押され、畏怖し、平伏することは無かったが、冷や汗をダラダラ流しているのが見て解る。

 

 「だから!ここに!別世界からの戦士はおるかと聞いているのだ!誰か応えるものはおらんのか!応えるならばなら土着の神々でも誰でも構わん!何処にいるか解ればよい!」

 

 ・・・・・・隣にいる巫女のひなた曰く、その正体は神サマらしい。

 その御名は・・・・・・

 

 「ふむ、そういえば、まだ名前を名乗ってなかったな。これは失敬。

 我が名は武甕槌(たけみかづち)!今回は国譲りではなく、ましてや天の神としてでもなく、一つの(つわもの)として、純粋に、尋常な闘いの為に来た!さあもう一度聞こう!別世界より来たる戦士はここにいるか!!」

 

 その男・・・・・・いや、『天の神』武甕槌は、高らかに、堂々と名乗りを上げ、周囲に雷と覇気を撒き散らしながら更に豪快な大声で問い掛けをした。

 さっきとは比べものにならない覇気で、隣の勇者や巫女の冷や汗の量が倍加する。

 

 武甕槌とは、日本神話における有名な武神にして雷霆神。

 主なエピソードとしては、古事記でも日本書紀においても、『国譲り』が有名だろう。

 

 今、この場にいる誰もがそのビッグネームを聞いて驚き、引き腰になり、殆どの人間が頭を下げ、そうでない人間も冷や汗を垂れ流していた。

 

 ・・・・・・俺以外。

 

 「ぎゃーぎゃーうっせぇんだよ近所迷惑考えろや」

 

 うん、授業中ぐっすり健やかに寝ていたのに近所迷惑な大声で無理矢理起こされたら誰が相手でも・・・・・・例え神サマ相手でもキレると思う(理不尽)☆

 

 で、激おこプンプン丸な俺は教室の窓から飛び降りて、

 

 「俺がアンタの探す別世界の戦士、格闘タイプの釘宮天地だ。釘宮『様』と呼びやがれ神サマ(迷惑野郎)

 

 『ビルドアップ』を積みまくりつつ、俺は目の前のコイツに負けないくらい堂々と名乗りを上げた。

 

 *

 

 「おお、そうか貴様がか!」

 「だからうっせぇって言ってんだろ。ここ住宅街。近所迷惑。解る?」

 「おおっと、これは失敬。あっはっは」

 

 にしても俺の神サマのイメージと随分違うな。

 勇者、巫女、そして大社から聞いた話だと、天の神が人類の粛正の為にバーテックスを地球全土に放ったのだと言う。つまり、目の前のコイツ敵。

 

 で、俺は転移前から読んでた古事記とかから、天の神(尚、土着の神も含む)って人間よりも我が儘で話聞かない通じないの自分勝手で七面倒臭い自己中集団だと勝手にイメージしていたんだが・・・・・・コイツ、そのイメージにまるっきり当て嵌まらないんだが。

 

 何か威風堂々としていて、雰囲気は神サマのそれだけど何か真っ当な武人のような感じもある。

 そして、何よりも・・・・・・コイツの性格、どっかで既視感あるんだよな。何か誰かに似てる。誰だっけか。

 

 「さて、釘宮とか言ったな?」

 「『様』をつけろ『様』を」

 「先ほど言った言葉に虚偽は無いな?」

 「無視かよ・・・・・・」

 

 武甕槌が、真剣な表情で俺を睨む。

 

 「ああ、一言一句に至るまで嘘はねーよ。事実だ事実」

 

 武甕鎚が俺を暫く真剣な表情で睨む。

 俺もそれを睨み返してみる。

 

 数十秒程睨めっこしたあと、武甕槌は満足げに頷き、

 

 「うむ、ならば良い。では単刀直入に言おう。(おれ)と闘え」

 「後にしろ。もう数刻待て。まだ授業が終わってない」

 「何!?決闘を拒むのか!?」

 「そうは言ってねぇよ。後でいくらでもやってやるから茶菓子でも食って待ってろよマジで。あとお前の出してるその覇気みたいなの仕舞え。ほら、あそこのおじいちゃんおばあちゃんなんてびびってぎっくり腰になってんぞ」

 「・・・・・・ふむ、確かに。ならばこうしよう」

 

 武甕槌の出すオーラとか雰囲気が急速に『堕ちて』、人間に近いものになった。

 所々で深呼吸や、安堵の声が聞こえる。

 

 「三刻程待ってろ」

 「あいわかった。ではその間、茶菓子でも食らい待っているとしよう。何処か美味いところは知らんか?」

 「あそこの藍色の暖簾出してる店はなかなかだぞ。俺も通ってる。安いし」

 「ほう!それは楽しみだ。・・・・・・さて、持ち合わせはあっただろうか」

 

 それと思い出した。何かこの神サマ、誰かに似てると思ったら、俺のとーちゃんに似てるわ。戦闘狂だし、脳筋丸出しだし、馬鹿丸出しだし、声デカいし。

 

 さて、その後。

 授業どころじゃなくなった学校の教室で、俺は大勢の巫女さんから囲まれて説教をくらっていた。

 やれ言葉遣い考えろだとか、やれ態度どうにかしろだとか、やれ機嫌損ねたら世界が終わるだとか、やれ神に喧嘩売るのは馬鹿の所業だとか・・・・・・ってオイ。

 

 「最後の喧嘩売ってんのかだとしたら利子着きで買うぞ勿論トイチでな!」

 

 馬鹿とは聞き捨てならんなオイ。俺をとーちゃんや武甕槌(脳筋戦闘馬鹿共)と一緒にするんじゃねぇ!!




 脳筋馬鹿を書きたかっただけなんです。
 反省も後悔もしていません。

 ・・・・・・次回、決闘。
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